Sasayama’s Weblog


2008/09/17 Wednesday

事故米問題の根本には、ミニマムアクセス米がある

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 18:58:26

2008/09/16(Tue)
 
null今回の事故米問題を取り上げるジャーナリズムは、本来の問題のポイントを故意にか見逃しているようにも見える。

問題は、さかのぼって、ミニマムアクセス米が、なぜこのように事故米となって、市場にエントリーしていったのか、ということについての問題意識の欠如である。

本来は、ミニマムアクセス米の輸入は、主要食糧の需給及び価格の. 安定に関する法律第30条及び第31条に基づく互恵平等の観点からのものではあるが、実質は、厄介ものの輸入としてしか、行政担当者には、受け入れられていないというのが実態である。

(関税米とミニマムアクセス米の検査基準については、「輸入食品等モニタリング計画」をご参照)

加工用コメ(特定米穀)にまわされるものとしては、
,佞襪げ(くず米)
コメの大きさによる選別のための網目(1.8-1.85mm)以下のもの
標準変形加工製品
生産調整面積にカウントされた加工用米
ミニマムアクセス米(破砕精米=ブロークン)
などがある。

このうち、ミニマム・アクセス米(MA米)は、1993年のコメ自由化の受け入れに伴い、コメへの高関税を課す代償として、一定量の輸入義務を受け入れたことから始まり、現在は米国、豪州、中国、タイなどから年間約77万トン輸入しているようだ。

ミニマムアクセス米には、一般とSBS(売買同時契約方式)とがある。
(SBS(売買同時契約方式)=Simultaneous Buy and Sellの略。国家貿易の枠内で実需者(メーカー等)の多様なニーズに柔軟に対応できるよう、輸入業者と買受予定者の需要者が連名で、外国産米の「政府への売渡し」と「政府からの買受け」に関する申込みを同時に行う契約方式で価格・数量を申込む。毎年約10万トン)

輸入先国別では、
一般では、米国、タイ、オーストラリアが中心
SBSでは、中国、アメリカ、オーストラリアが中心
となっている。

ミニマム・アクセス水準は当初の1995年には国内消費量の4%、以降1998年まで0.8%ずつ増加してきた。

1999年4月より関税措置に切り換えたことにより、毎年0.4%の増加となった。

2000年度は国内消費量の7.2%(76.7万玄米トン)の輸入を行うこととなった。

2000年度以降はドーハ・ラウンドの合意が実施に移されるまでこの輸入数量が暫定的に続けられている。

ミニマムアクセス米の在庫は、昨年時点で203万トン(玄米換算)(今年3月末では112万、5月末では、130万トン)と、主食用国産米の年間需要の4分の1にあたり、その保管費用は217億円に上ると見られる。
参考「全国食料保管協会 平成20年度事業計画 」

このようななかで、ミニマムアクセス米が、主食用米に転用されているのではないかという疑念は、以前からあった。

特に、ミニマムアクセス米を変形加工する変形加工工場(政府所有米穀委託変形加工工場、さらに細かい破砕精米に変形加工)の業者の中には、主食用卸業者の許可も同時に受けている兼業業者も多く、また、破砕米の形ではなく、丸米のまま購入するところも多いため、このような懸念が生まれてきたものと思われる。

農林水産省も、時々は、実態調査をしているようだが、問題の根幹には、触れずじまいで、今日に来ているのだろう。

(備考
食糧庁は、 2002年8月9日付けで加工団体に「加工原材料用米穀の適正流通の確保について」一部改正を通知し、加工用米における丸米の流用防止に、委託工場の調査を行うなどチェック体制の強化を打ち出していた。
主な内容は以下の通り。
(1)丸米を使用している買受人の工場倉庫等に対して加工等を行う都度、調査する
(2)丸米については買い受けた全量が主食用へ転用できなくなる状態まで加工処理されていることを確認することを明文化
(3)破砕精米と砕精米については丸米(完全粒)と破砕米に分離して使用していないことを確認する
(4)買受人が買い受けた米穀を再調整、または搗精するために委託した工場を調査の対象とした
(5)変形加工工場において変形加工された破砕精米からサンプリングを行うことを明文化。)

とにかく、毎年増え続ける在庫負担に、行政当局は、いかに、ミニマムアクセス米の在庫を減らすかにのみ、精力が注がれてきた、というのが実態なのだろう。

汚染されていないミニマムアクセス米でさえ、この体たらくだから、ましてや、汚染されたミニアクセス米の事故米となれば、農林水産省で、いかに厄介者扱いされていたか、このことからもわかるだろう。

2003年度から2007年度の間における政府の汚染米販売量は、約7400トンであり、そのうち、ミニマムアクセス米は約5285トンとなっている。

参考-ミニマムアクセス米の異物混入の例はこちらのサイトうるち精米等の異物混入について」などをご参照

ミニマムアクセス米の汚染米の占める比率がおおいのは、汚染されたミニマムアクセス米を輸出国に返品すれば、輸入義務量のカウント数量からその分が削減されるため、輸入義務量の消化に支障をきたすためであると見られる。

このように、ミニマムアクセス米が本来持つ互恵平等の観点からは程遠い、「日本の米を守るための高関税のトレードオフとなるのであれば、ミニマムアクセス米は、汚染されたものであっても、目を瞑っておく」、というのが、これまでの農林水産省のミニマムアクセス米の質に関するスタンスだったのだろう。

こんななかでの農林水産省にとっては、事故米大量購入の業者などは、地獄の中で出会った仏か神様のように見えても、おかしくはないだろう。

その辺の不祥事が必然的に起きうるマクロの構図というものも、ジャーナリズムは、見落としてはならないものと思われる。

ここにきて、国際商品市況の高騰によって、米の輸出停止をする国が多くなり、日本のミニマムアクセス米も、幸か不幸か、輸入義務に7万トンたりないという事態になってきた。(19年度未達分7万トンについては、再入札を行わないことが決まり、19年度の輸入量は70万トンで確定)

ちなみに、農水省では、おりしも、9月5日にミニマムアクセス米の一般入札(20年度第1回ミニマムアクセス一般輸入米入札)をしている。

米国・タイ産が中心で、予定数量4万1千トンのうち2万8千トンが落札(加重平均落札価格はトン10万2,361円)されたという。
(9月17日予定の平成20年度第1回SBS入札は、事故米問題の余波で延期となった。)
参考「第1回MA一般輸入米入札結果の概要(20年9月5日)」
加工原材料用MA米の9月分定例販売の結果」「原料用穀類の販売価格

このような中での、今回の汚染ミニマムアクセス米の不祥事だ。

いわば、この問題は、国際的な商品市況の高騰の中で、必然的に浮かび上がってきた、あぶり出しの構図の元に生まれてきた構造的な問題とも見られる。

 

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