2008/05/29(Thu)
今年2月に環境庁が募集した「エコツーリズム推進法施行規則」に関するパブリックコメントで、私は、次の点を指摘した。
これに呼応して、環境省は、下記のように、施行規則原案を修正した。
1.第6条(立入りの承認が不要な行為)関係
「農林水産業に関係する行為」の規定が曖昧。
特に、入会権等地域において慣行化した権利のある地域への立入りをめぐり、トラブルが生じる懸念がある。
水理管理の為の行為等に制約が出ないよう、規定を明確化すべき。
特定自然観光資源にビジター利用者として立ち入る場合と、地域生活者として立ち入る場合の扱いを分けるべき。
地域生活者によるコモンズ的行為を許しうる規定とはなっていない
環境省の回答
御意見を踏まえ規定ぶりは工夫します。
第6 法第十条第二項ただし書の主務省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一農林水産業に関係する行為
二法令の規定による土地若しくは施設の管理行為又は法令の実施に当たって必要な事前調査を行うこと。
(立入りの承認を要しない行為)
第七条 法第十条第二項 ただし書の主務省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 農林水産業を営むために必要な行為
二 農山漁村における住民の生活水準の維持改善、森林の保続培養並びに水産資源の適切な保存及び管理を図るために行う行為
修正の意味
農山漁村住民の規制地域への生活行動のための立ち入りは、罰則から除外されるようになった。
2.第4条(自然観光資源の指定から除くもの)関係
県条例で環境関連の地区指定をされた地域であってエコツーリズム推進法第8条第1項ただし書の主務省令で定められていない地域において、市町村が特定自然観光資源に指定する場合についての記載がない。
エコツーリズム推進法第9条第4項の規定に基づき定める条例が、市町村条例でなく県条例である場合の取扱いが記載されていない。
特定自然観光資源たるものの概念はローカルルールでの判断に委ねられており、その妥当性を検証するスキームが用意されていない。
何らかのスキームを用意する必要がある。
環境省の回答
エコツーリズム推進法では、各市町村ごとに、全体構想の作成やこれに基づく特定自然観光資源の指定を行うこととしています。
これらについて、都道府県条例による規定とは整合性をとられることが望ましいですが、具体的な調整は当該各都道府県と各市町村との間でなされるものですので、施行規則において特に記載することはしません。
市町村に対しては、必要に応じて、県条例で環境関連の地区指定をされた地域等適切な保護がなされている地域との調整を行うべきであることを国から周知することとします。
エコツーリズム推進法では、市町村ごとに条例を定めることとしているため、本施行規則案においても、県条例については扱いません。
特定自然観光資源の指定の前提となるエコツーリズム推進全体構想は、地域の様々な主体が参加し検討、作成された上で主務大臣の認定を受ける必要があります。
これらの過程において、特定自然観光資源の妥当性が検証されることになります。
法第八条第一項ただし書の主務省令で定める自然観光資源は、次に掲げるもの(法第九条第一項第四号の条例で定める行為の規制又は法第十条第一項の制限を講ずる必要があるものを除く。)とする。
法第八条第一項 ただし書の主務省令で定める自然観光資源は、次に掲げるものとする。
ただし、条例による行為の規制等により特に保護する必要がある自然観光資源として認定全体構想に規定されるものを除く。
修正の意味
原案では、市町村条例との関係のみについて規定していたが、修正では、単に「条例」とすることで、県条例をも含むこととなった。
また、「認定全体構想に規定されるものを除く」としたことで、ローカルルールにおける自然観光資源の二価値性を排除することとした。