2008/05/08(Thu)
前秋田県知事佐々木喜久治さんがご逝去されたという。
つつしんで哀悼の意を表します。
秋田県に食糧費問題というのが勃発し、その責任を一心に引き受け、任期半ばにして、辞任された後は、ひっそりと、余生を過ごされたようだ。
でも、今となってみれば、佐々木さんご自身のみ、一身に攻められる問題でもなく、ましてや、佐々木さんご自身のスキンダルなどでは毛頭なく、あとになってみれば、長崎県や宮崎県、岐阜県などなど、いわば、全国の県庁に、実は、ざらにあった問題であったのだが、佐々木さんは、そのことについては、一切口に出されずに、静かに余生を過ごされた。
当時の秋田県内のポビュリズム的な嵐に巻き込まれてしまった、不運な結末ではあった。
佐々木さんは、まさに「酒の国」秋田県知事らしい酒豪で、祝賀会の席など、招待席に一升瓶をドンと置かれて、すすめられるままに、一切乱れず、淡々と、杯を飲み干されていた。
また、趣味のカメラは、プロ級の腕前であられた。
政治家自らの真価は、棺を覆うて後にのみしかわからない、というが、まさに、佐々木さんのご生涯は、名知事に値するご業績に満ちたご生涯だったと、讃したい。
「ポピュリズムを味方につけることに成功しても、その後に、実績を残せなかった首長」よりも、「ポピュリズムに敗れ、去ることを余儀なくされても、生涯に実績を残し得た首長」のほうが、棺を覆うて後の評価は高いはずだ。
「つばくろや何も語らず逝きし人」
「満開の花の道行く棺かな」
「花見んと目覚めよ棺の中の人」
「ひとひらが棺に入りけり朝桜」