Sasayama’s Weblog


2004/10/02 Saturday

原油価格についてのQ&A

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:49:02

004年10月2日(土) 

以下の原油価格に関するQ&Aはhttp://www.kansas.com/mld/eagle/business/9700496.htmを仮訳したものです。

Q-原油価格は、ここ五年で、1バーレル10ドル変動してきて、今年には1バーレル50ドル近くしているのはなぜですか?需給バランスが、そんなに変わっていないのですが。

A-そうではありません。
アナリストがいうに、原油価格は、純粋に需要と供給に基づいていれば、一バーレル35ドル周辺に張り付いているはずなのです。
しかし、他の要因が今年の原油価格を押し上げているのです。
たとえば、それは、イラクの油田でのサボタージュであったり、ロシアにおける油田の操業停止をめぐる脅しに満ちた政治的争いであったり、そして、今は、世界の大手石油生産国であるヴェネヅェラでの政治的な不安定や、年間20パーセントの需要増加が見込まれている中国の需要動向などによるものです。
これらの懸念要因によって、1バーレル15ドルの押上げが計られているのです。

Q-かつては、OPECが、世界の原油価格を安定させました。
もはや、そのようなことはないのですか?

A-いいえ。
今日の原油価格は、ロンドンの国際石油市場やニューヨークのニューヨーク商品取引所で決められます。
OPECが原油生産を控えることによって、原油価格を引き上げることができました。
しかし、世界の原油需要が、年間3から5パーセントの上昇を見るに及び、OPECは、1980年代初期にできたようなやり方で原油価格を引き下げるに十分なほど、原油生産を増産することができなくなりました。

Q-われわれは、OPECを頼りにできるのですか?

A-以前ほどは頼りにできなくなっています。
1977年には、OPECからの輸入分の70パーセントは、アメリカの輸入分でした。
それが、今では、42パーセントにまで落ち込んでいます。
今では、カナダとメキシコがアメリカへの大きな供給国となっており、それは、サウジアラビアからのアメリカへの供給よりも大きいものとなっています。
12パーセントを占める第三の供給国であり、OPECのメンバーでもあるベネズェラを除けば、ペルシャ湾岸国のアメリカへの原油供給比率は、17パーセントに過ぎないのです。

Q-国際石油市場に影響を与えるために、アメリカ大統領は、戦略的石油備蓄を使用することはできないのですか?

A-これら石油備蓄量は、世界石油市場に影響を与えるほど多くはないのです。
ルイジアやテキサス南東の岩塩ドームに備蓄されている備蓄量は、六億バーレルで、これは、アメリカの国内市場で消費されるわずか30日分にしか過ぎないのです。
おまけに、ホワイトハウスは、この備蓄に毎日高価な原油を九万バーレルも購入して、世間からの批判を浴びています。
最大日量六十六万バーレルを取り崩すことはできますが、それでは、世界の日量八千万バーレルもの需要のある需給方程式を変えることはできそうもありません。

Q-今年は大統領選挙の年で、大統領候補両陣営から、エネルギー問題について、常に話があります。
共和党員は、もっと掘削することを望んでいますし、民主党員は、現状維持で、代替燃料への転換を望んでいます。
両陣営は、どういっているのですか?

A-両陣営は、「エネルギー的自立」をよく口にしています。
それは、アメリカの原油消費が日量二千万バーレルに対して、原油生産量が、五百五十万バーレルの可能性を元にしたものでも、北米の原油備蓄量が、世界の5パーセント以下になる可能性を元にしたものでもありません。

Q-大手石油会社各社が、原油価格を共謀して高値に吊り上げているという話があります。
これらの石油会社は、確かに、今年は、十分な利益をあげているのでしようね?

A-たとえ、これら大手石油会社が、共謀して、原油価格を吊り上げえたら、1998年から1999年にかけての、原油価格が一バーレル12ドル下がった時の状態にはならないでしょう。
共謀の容疑が、しばしあっても、カリフォルニア司法長官のビル・ロックイヤー氏が、今年いったように、彼の調査によっては、共謀の証拠は見つからなかったといっています。

Q-原油の高値にもかかわらず、ガソリンの小売価格は低値に向かって推移しているようにみえますが、これはどうしてですか?

A-ひとつは、原油からガソリンへ精製し、小売店のスタンドに運び込むまでのタイムラグによるものと見られます。
先週原油価格が42ドルでしたが、小売段階でのガソリン価格は、おそらく、7月から8月にかけて出荷された45ドルから48ドル価格の原油によって精製されたものでしょう。

Q-大手石油会社は、原油価格高騰に責任があるのですか?

A-原油価格が高い時には、大手石油精製所は、突然の価格下落から身を守るために、原油の在庫を当用買いに切り替えます。
このことは、ガソリンの供給や価格への上昇圧力となります。
また、大手石油会社は、原油資源採掘の最前線に常にいるわけではありませんが、エクソンモービルのリー・レイモンド氏などは、「化石燃料は次の半世紀までは、エネルギーの主な源であり続けるであろう」とも「自分の会社は、代替エネルギーに十分な資金を投資している。」とも、挑戦的な言辞を弄しています。
他の批判としては、空前の原油価格にもかかわらず、石油会社は、原油資源の調査採掘予算の増加に消極的であるとの批判があります。
パリを本拠地とする国際エネルギー機関は、大手石油会社に対しては、あまり好意を持っていませんが、公然とそのような批判を石油会社に向けて、しております。
大手石油会社は、原油価格の下落によって、会社自身が燃え尽きてしまわないように、用心しているといっています。
しかし、世界の原油需要は、激変を除いては、30ドル以下の原油価格は、過去のものであると言っているように見られます。

Q-代替燃料を原油に置き換えることは、現実的なのでしょうか?

A-ガソリンと電気を結合したハイブリッドエンジンは、トヨタ・プリウスやホンダの新シビックのように、すでに出現しています。
これらの車は、注文してから新車が届くまで、8ヶ月から一年かかるようです。
デトロイトでも、ハイブリッド車を用意しているようですが、市場に届くまでには、かなり時間がかかるでしょう。
自動車メーカーは、ハイブリッド車が、初期のバージョンを買ったトレンディな環境志向派顧客以上のマーケットに育つものか、まだ、確信していないようです。
かつて、アメリカが、1970年代のオイルショックの10年間の間、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)やミニバンを採用したことを思い出してください。
ハイブリッドを超えるものとしては、燃料電池車があり、電気を作るバッテリーのようなものの中で、水素と酸素を結合するものですが、これは、1990年代後期のインターネット熱に似たブームを呼んでいます。
しかし、この燃料電池にも、出力、耐久時間、水素資源(水素の主たる源となる天然ガス自身が、アメリカでは枯渇しているということ)そして、新しく水素燃料施設を創設するための一般資本支出などについて、課題が残っています。

Q-世界の石油資源は、いつごろ使い果たすのかについての、最新・最良の予測はあるのでしようか?

A-そのような予測は、20世紀に現代の石油産業がスタートしてからというもの、定期的に発表されています。
ひところは、1980年までに石油は使い果たすとの予測もありました。
アメリカのエネルギー情報機関と国際エネルギー機関は、世界で確認されている備蓄量として、九千億バーレルと見ており、ペルシャ湾の産油量の三分の二と見ております。
今年の世界の石油消費量は、日量八千万バーレルと見ており、そのうちアメリカでは、日量二千万バーレルと見ております。
石油の消費は、2025年までには、日量一億四千万バーレルと見ており、その増加の主なものは、アジアでの消費の増加と見ております。
深海の油田や山中の油田や他の掘削に金のかかる地形の中に埋蔵されている石油資源の多くが掘削可能となるまでは、それらは十分であると見られます。
世界であると見られている埋蔵量のうち、5パーセント足らずが、北米大陸にあるものと見られます。
ですから、ベストの推測をするとすれば、2025年までは、深刻な石油資源枯渇は、起こらないと見られます。
いずれにしても、遅かれ早かれ、石油資源の枯渇は起こります。
お好きな予測でどうぞ。

Q-アラスカの北極国立野生生物保護地域で石油の掘削をブッシュ大統領がしたがっていると聞きました。
その分で、いくらぐらいの石油量がまかなえるのですか?

A-1998年に出されたアメリカの地質調査の報告では、ここでの石油資源量は、技術的には、103億バーレル取り出せるものと計画されています。
埋蔵量は、20年から30年かかって、一日当たり百万バーレルと見ております。

Q-アメリカは、国内の需要に対して何か管理してきたのですか?

A-アメリカは、世界の人口のうちの5パーセントを占めており、世界の日量原油生産量の四分の一を消費しています。
アメリカの原油需要は、1978年では日量一千八百五十万バーレルであったのが、1985年には、一千五百七十万バーレルに落ち込みました。
その主な理由は、価格に課せられた資源保護策の故です。

Q-サウジアラビアの石油が不足していることで話し合いはあったのですか?

A-ヒューストン・エネルギー・バンクのマシュー・シモンズ氏は、今年、サウジアラビアの石油生産がピークになると宣言し、物議をかもし出しました。
シモンズ氏は、報告書で、サウジアラビアは、原油を地上に引き出させるために、水圧をかけているとしており、このことは、油田が枯渇に近づいているサインだと、報告しました。
彼は、サウジアラビアの石油の将来は、他の原油産地の多くのように、得がたく、より高価になるであろうといっています。

Q-これからも、イラクは、原油高騰の要因になるのですか?

A-イラクからの原油は、アメリカの輸入の5パーセントを占めています。
イラクでの懸念要因が、サボタージュから生じているのですから、今年の原油価格に対しては、一バーレル当たり15ドル加算されることになります。
イラクの石油に賭けることは、これまでのところ、いい結果を生んでいません。
イラクの原油埋蔵量は、一千百五十万バーレルとされてはいますが、イランの一千二百五十万バーレルより、少ないものです。
しかし、石油生産者にとっては、イラクはサウジアラビアではありません。
原油生産は、これまでのピークの日産三百万バーレルから、今年は、百六十万バーレルにダウンしました。
問題は、サボタージュにあるというよりは、フセイン時代に単に原油生産を無視していたためといえましょう。
なぜなら、フセインは、石油でもって世界を脅すよりは、国民を恐れさせることを好んでいたからです。               
                                  (以上)
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