2004年04月20日
仏紙ルモンドのPhilippe Pons氏が「自らの解放費用を払わざるを得ない日本の人質」Au Japon, les otages devront payer leur libération との論評を4月19日付け仏紙ルモンドに掲載した。
以下は、その概訳である。
「自らの解放費用を払わざるを得ない日本の人質」
解放された日本人人質は、日本に到着しても、彼らは、何のコメントも出さず、押し黙ったままだった。
発表されたPTSD症状は誘拐のみによるものではなかった。
人質たちは、明らかに、家族が世間から「日本の政府を困らせた」との批判を受けたことに対して、ショックを受けていた。
解放後、人質のうちの高遠さんと、郡山さんの二人は、当初、イラクに戻りたいといっていた。
この発言に対して、保守系メディアと政府は、理解のない、激しい怒号の反応を示した。
小泉首相の「人質は、目を覚ますべきである。」とのコメントや、中川経済産業大臣の『自己責任論』や、井上防災担当大臣の「家族謝罪論」などの発言が相次いだ。
また、井上大臣からは、家族に対して、帰国費用の一部を支払うよう、要求された。
一方、バグダードでは、イラク・イスラム聖職者協会は、「小泉首相から人質解放に貢献したことへの感謝の一言がなかったことを残念に思う。」としながら、日本の人質をほめたたえ、「私たちは、これら尊い人類愛にもとづく日本の人質の若者を誇りに思う。彼らの率直で向こう見ずな行動は、死刑制度の存続や難民法の厳しい規制などの点で、決して他国から好意的におもわれてはいない日本のイメージを高めた。然るに、日本の政治指導者や保守的メディアは、人質が無責任であるとの批判を、喜び勇んで、繰り返している。」とのコメントを出した。
(皮肉なことに) アメリカのパウエル氏は、励ましの言葉として『もし、誰も、危険な目にはあいたくないのなら、決して、進歩はないであろう。』とのコメントを出した。
次の記事もご参照
Japon : l’élan humanitaire
当サイトでは、イラク問題や、イラクの日本人人質問題に関する、海外メディアの翻訳を、このほかにも、いくつか、下記のように、掲載しています。
「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」とのタイムズの記事
「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」とのロサンゼルス・タイムズの報道
『日本の人質にとって、解放は、単に、ストレスを加えるのみであった。』とのニューヨークタイムズの記事
仏紙ルモンドのPhilippe Pons氏が、人質事件で自己責任問う声に皮肉
「必死に救いを求めているのは、いまや、アメリカ自身だ」との、英ザ・ガーディアン紙の記事
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