2003年11月01日
http://www.gulf-news.com/Articles/news.asp?ArticleID=101768 によると、
日本とアラブ諸国との関係は、日本にとって、クルドオイルの60パーセント分をアラブ諸国からの輸入に依存しているという関係にもかかわらず、また、アラブ諸国にとって、日本は世界第二の輸入国という関係にもかかわらず、両者の間には、関係強化を妨げるいくつかの障害があるとしている。
その障害の一つは、アラブ諸国の持つ保守的な伝統や価値観について、日本が理解不十分であることだという。
一般的に、日本は、この地域が、リスキーで不安定な地域であると見ている。
また、滞在ビザ支給の厳格さや、長期滞在の手続きの煩雑さなど、官僚機構の諸制限の強さが、この地域におけるビジネスをやりにくくしていると、日本はみている。
さらに、商標権保護法制の不備や、知的所有権保護法制の不備、日本の商社が現地で活動する場合、ローカル・スポンサーを必要とすることなどが、日本とアラブとの経済関係の伸張を阻害していると見ている。
一方、アラブ諸国側にとっても、日本の文化や思考形態に付いての理解が不足しているように見えるとしている。
アラブ諸国は、むしろ、西欧的管理手法やビジネス手法になれており、日本のそれにはなじみがない。
まして、日本語を話せるビジネスマンは皆無に近いし、日本文化を理解できるまでに、日本に長期滞在したビジネスマンもほとんどいない。
アラブ諸国のビジネスマンは、日本が、アメリカや中国、東南アジア、ヨーロッパの市場のみ優先し、アラブ諸国のマーケットを、残り物のように扱っていると、不満を漏らす。
その結果、日本とアラブ諸国との商取引は、時として、後回しにされ、そのことが、長期にわたる商取引実現を妨げていると見ている。
また、アラブ諸国のビジネスマンは、日本流の経営スタイルやビジネス手法を理解できないと思っている。
日本のコンセンサス手法は、ビジネスのテンポを遅らせ、時には、いらだたしく思わせることが多い。
日本は、アラブ諸国におけるジョイントベンチャー・プロジェクト確立について、アメリカやヨーロッパよりも、著しく劣後している。
アラブ諸国が必要としているのは、生産拠点の確立だけなのではなく、日本の技術や経営手法のアラブ諸国への移転・適応・取得なのである。
しかし、それが実現しないのは、日本が、長期的戦略重視よりは、単なる商取引を優先しているからである。
これから、日本とアラブ諸国との関係強化を図るためには、次のことが必要であるとしている。
日本サイドとしては、アラブ諸国の文化に付いての理解を深めることである。
たとえば、プライベートな場面においても、政治的行為が重視されるということ、市民の日常生活において、宗教の占める比重が大きいこと、性的役割なり関係が、西欧よりも、固定的であること、などについての理解である。
もちろん、アラブ諸国も、近年、いろいろな面で著しい変化を見せている。
官僚機構の元での規制緩和は進み、IT産業においては、国際的にひけをとらない、英語の出来る優秀な人材が育ちつつある。
現在、すでに、アメリカやヨーロッパの会社に対してアラブ諸国が果たしているように、アラブ諸国が、日本の会社にとっての、有力なサポートセンターとしての機能を果たすことも、十分可能である。
その協力関係は、単にビジネスの分野にとどまらず、教育、文化、ツーリズム、金融、商業、貿易など、各方面で、実現可能である。
これまで懸念されてきた、商標権侵害や知的所有権侵害に対しても、規制強化を図りつつあり、このことが、両国の信頼性を取り戻すことになりうるとしている。
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