2003年06月04日
サイトhttp://news.bbc.co.uk/1/hi/business/2961318.stmでBBCのEvan Davis さんは、次のような見解を述べている。
Evan Davis さんは、デフレが怖くない理由として二つの理由を挙げている。
第一に、低利子率の元では、金融政策は無効であり、この状況の下では、物価低落が、必ずしも経済を永久に奈落の底に落とすものとはならないからだ。
経済が欲するとなれば、ヘリコプターから札束をばら撒くことで、経済を刺激することだって、中央銀行には、代替手段として持っているからだ。
だから、需要刺激というのは、必ずしも、挑戦的なものであるとは限らない。
第二に、デフレは、必ずしも、景気後退とは同義語ではない。
物価低落は、時として、需要があまりに低くして起こるのでなく、供給能力が高すぎて起こる場合もあるからである。
現在のわれわれの状況は、そのうちの後者の方であるにちがいない。
中国の世界経済への参入、製造部門でのテクノロジーの著しい進展、これらは、いずれも、総量としての世界の供給能力の上乗せにつながっている。
これらの生産能力の供給過剰は、結果として、物価低落とデフレ環境を創出している。
しかし、この場合においても、物価低落は、永久的に経済を絶望の淵に追い込むことを意味しているのではなく、市場が消費者に対して、『買いやすくなりましたよ。もっと買ってくださいね。』と語りかけている現象に過ぎないのだ。
消費者の消費意欲を刺激するには、二つの方法がある。
ひとつは、消費者ローンの金利を下げ、消費者の負債を増やすことによって、物価の上昇はそのままにして、消費者の購買を増やす方法である。
もう一つの方法は、物価低落のままにし、デフレの状態におきながら、消費者の懐を余裕の状態に置きながら、消費を増やす方法である。
どっちの方法がよりよいのだろう?
というのだが、この論の結論は、欧州中央銀行の利子率を下げるべしとの結論になっていて、物価低落は永遠だが、利子率の低下は永遠でないという、非負制約という流動性の罠におちいってしまった日本の痛い失政に付いては、触れられていない。
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