Sasayama’s Weblog


2002/09/28 Saturday

「日本経済回復戦略は、依然として不透明」-ウォールストリートジャーナル記事から-

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:20:31

   
2002年09月28日

この記事は、9月27日のウォールストリートジャーナル記事「Japan’s Strategy to Repair Economy Remains Murky」の仮訳です。

日本の財政当局首脳は、金曜日行われるG7会議において、世界第二位の経済大国の10年間にわたる経済不振を阻止する戦略に付いて、述べる予定である。

この問題は、日本の財政当局自身は、問題とは思っていないようにも見える。

先週、日銀が、日本の金融システムがあまりに不安定のあまり、その安定のために、銀行保有株式を買取るという、これまでにない第一歩を踏み出すことを声明したため、これまで、ぎりぎりで守備一貫性を保ってきたと評されていた日本の政策当局者たちは、秩序なき状態に投げこまれてしまった。

今週、日本銀行の当局者は、次のように話している。

「この金融機関保有株式購入の真の目的は、日本政府に、もっと攻撃的な政策をとらせるためのショックであり、日本銀行が、経済成長を刺激させるための第一ステップである。」

しかし、当面は、日本政府が、金融機関や経済に対して、どのような次のステップを踏むか、についてや、戦略が決まった場合、誰が、それを遂行するか、などについての、日銀の動きは、すべて未定の状態にある。

先週、政府は、経済浮揚政策パッケージの公表を10月末まで、延期した。

これは、今年に入って三度目のことで、当初は、現行の金融機関対策を容認すると予測されてきた。

さらに、日銀速水総裁と、塩川財務大臣が、G7会議でワシントンに飛んでいるにもかかわらず、国内にいる政治家たちは、政府がすでに資金投入した銀行への公的資金再注入による救済が望ましいものかどうかという重要な問題について、瀬踏みをしているような有様である。

福田官房長官は、木曜日、「この段階にいたり、私どもは、注意深く、考慮している。」と語った。

小泉首相は、つい最近まで、公的資金による金融機関の救済は、必要ないと語っていたが、「そのタイミングはデリケートな問題である」とコメントするようになった。

東京における政策の手詰まり状態は、多くの日本の会社が上半期決算を終える月曜日にいたる微妙な数日の間も、証券・債権市場を混乱させている。

9月20日、日本の投資家は、日銀と政府とのシグナルが対立していることに、あまりに困惑したため、多くは、取引を見送った。

結果、財務省は、ここで、初めて、10年物国債入札の札割れを経験した。

これら混乱の中心は、金融機関不良債権問題をどう扱うかについてであり、これは、世界経済における日本の弱点とみなされる、まさにアキレス腱である。

日本の金融機関は、1990年代初期に地価や株価が低落し始めたときに、債権や保有株の巨大な運用での損失が広がったとみられる。

公表されている数字を見てさえ、不良債権金額は、52兆円に上るとされ、非公式な評価では、その2から4倍はあると見られている。

政府の戦略では、この2年間で、不良債権の悪質な部分を処理すると提唱している。

アメリカ財務省筋やIMF、くわえて身内の日銀からの圧力で、小泉首相は、不良債権処理の計画を加速することを余儀なくされている。

しかし、アナリストたちは、真の問題解決のためには、政治的には受け入れがたいようなドラスティックなステップを踏む必要があるとしている。

これらのステップのうちには、自力でカバーできない金融機関の損失を国が吸収したり、公的資金の注入や、不良債権を市場価格以上で国が買いとることや、困窮な借り手を、清算や再編成することによって、再建を加速させるといったことを含んでいる。

柳沢金融担当大臣の運命がどうなるかが、新しい金融機関政策をとることが難しいかどうかを計る手がかりになると、日本の専門家たちは見ている。

柳沢大臣はこれまで、日本の金融機関には、十分に資本があるので、公的資金の注入は必要ないと、いい続けてきた。

柳沢大臣の更迭がなったばあいは、政府が、不良債権問題について、より攻撃的な政策を施すであろうと、市場にみなされる。

日本のメディアは、小泉内閣改造で、柳沢大臣は、月曜日には、内閣をはじき出されるであろうとみている。

柳沢大臣は、水曜日、報道された自らの辞意を否定した。

小泉首相は、一年半前官邸に入ったのだが、その間、不良債権処理の行動加速を約束はしても、それは、以前の提案の蒸し返しにすぎなかっった。

日銀は、金融システムの状態について、来月、厳しい評価を公表することを約束すれば、政府は熱意をもってことに当たるだろう、という。

ワシントンでのG7会議で、オニール長官率いる米財務省は、日本に対し、より迅速な対案の提示をうながす可能性がある。

「もし、日本が、経済成長を回復したい意欲があり、世界経済での重要な役割を果たしたい意欲があるのなら、不良債権問題とデフレ問題の解決に努力する必要がある。」

と、今週、大統領経済諮問委員会議長のR.Glen Hubbard 氏は、述べている。

今週、IMFは、日本経済は、今年は0.5パーセントのマイナス成長をし、2003年には、1.1パーセントという中途半端な成長をするであろうとした。

IMFの主幹エコノミストであるKenneth Rogoff 氏は、こういう。

「日本は、10年間にわたる第三の景気後退から抜け出しつつあるようにみえる。
しかし、日本が基本的な問題解決に努力することを怠れば、さらに今後10年間、これまでと同じような最悪の経済休息状態に見舞われないとは、誰も保障できない。」
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