2002年09月08日
2001年3月、食品中のカドミウムの国際許容基準などを協議する、WHOとFAOの合同の補助機関であるコーデックス委員会(The Codex Alimentarius Commission)の食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)は、食品中のカドミウム許容基準を0.2ppm以下にするとの基準値提案について、日本などからのすべての利用可能な科学的データにもとづき、新基準値を審議することで合意した。。(原文は、このうちの169参照)
2002年3月、食品添加物・汚染物質部会は、米の中の基準値は精米に限定すべきとの日本側の主張をとりいれ、基準値については、加盟国にコメントをもとめ、次回会合での決定にゆだねた。(原文は、このうちの141.143参照)
これらの国際的な動きをうけ、厚生労働省は、7月10日薬事食品衛生審議会・食品規格毒性合同部会において、米に含まれるカドミウムの新安全基準を、現行の1ppm(精米換算では、0.9ppm)から、0.4ppmに強化することを軸に検討に入った。
ここで、コメの中に含まれるカドミウム新基準値問題を考える上での、基本的な視点について、メモしておきたい。(ここも参照)
1.カドミウムの人体への蓄積度は、腎臓への蓄積度によって、測定されうる。
2.カドミウムへの人体への蓄積は、主に、食品、飲み物、喫煙によって蓄積されるが、このうち、飲み物による蓄積は、微小である。
3.カドミウムの人体蓄積の過程は、土−作物−動物−人間−土−作物−人間という、サイクルに基づく。
4.カドミウムが豊富な土は、Ultisol(赤黄色ポドゾル性土(赤黄色土))で、豊富でない土は、Vertisol(グルムソル(熱帯黒色土))である。
5.カドミウムの一日あたり摂取量の高い国は、日本・韓国で、低い国は、ドイツ・スェーデン・中国・台湾であり、中間は、クロアチア・フィンランド・スペインである。
6.人体へのカドミウム蓄積量が一番少ないのは、ポーランドで、一番多いのは、日本である。
7.カドミウムをもっとも多く含む食物はコメで、そのほか、小麦・にんじん・じゃがいもなどが多い。
8.米食をする国は、カドミウム蓄積量が多く、米食をしない国は、カドミウム蓄積量が少ない。
9.日本人のカドミウム蓄積量が、近時減少してきたのは、米の消費減少と輸入食品摂取の増加によるものである。
10.以上のことから、カドミウム国際基準値の検討にあたっては、米食国における、コメの一日あたりの摂取量や吸収率などから、曝露歴を総合的に考慮し、判断すべきである。
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