2002年06月02日
今回の政府首脳の非核三原則に関する不規則発言について、私は、まさに、インド・パキスタン間の緊張で、核戦争の危機が叫ばれている中で、本来、日本が世界唯一の被爆国として、全世界に、訴えなければならないときに、まことに、とんでもないことをいってくれたとの気持ちでいっぱいである。
小泉総理は、このURLのように、「あれは、どうってことはない。」と、努めて、問題視しないそぶり を見せたというが、すでに外電は、このURLのように、逐一、その発言の詳細を、世界につたえはじめている。
これらの外電のなかには、
4月6日の小沢一郎氏の福岡発言「日本がその気になったら、一朝にして何千発の核弾頭が保 有できる。」 (このURL参照)
5月13日の安倍晋三官房副長官の早稲田大学講演「大陸間弾道弾や小型原子爆弾の保有は、憲法上可能」(このURL参照)
5月31日の福田官房長官の「将来国民意識が変化してくれば、非 核三原則が変わる可能性あり」(このURL参照)
等の、一連の問題発言の経緯を紹介し、これらの発言が、日本の政党に、与野党にかかわらず常在する、たまさかのものでない、確信的なものに裏付けられてのものであることに、言及しているものもある。(このURL参照)
一方、広島・長崎の被爆県では、インド・パキスタンに核禁止のうったえをしようという矢先に、政府高官によるこのような発言が相次いだことに、このURLのように、強い怒りを示し(このURLやこのURLも参照)
、また、復帰30周年を迎えたばかりの沖縄では、このURLのように、アジアに向かっての新たな核の橋頭堡になりかねないことに、強い危惧の念を抱いている。
さらに、ワールドカップさなかのアジア諸国は、このURLのように、本来、これを機会に、アジアの一体感を醸成すべきときに、との反発の声を上げている。
このような日本の政治家による無神経な論調が続いているなかで、パキスタンのムシャラク大統領は、6月1日、CNNの インタビューで、「正気の人間なら、核戦争をはじめることなど考えないはず。」と、このURLのように、語ったという。
シンガポール訪問中の中谷防衛庁長官は、このURLのように、「核保有は、何の利益も、もたらさない。」と、非核三原則の見直しを強く否定したそうだが、もはや後の祭りである。
これらの近隣諸国の過敏な反応を形作ったのは、いろいろな日本の政治家によってつくられてきた、これまでの素地があったからである。
それは、小泉総理の靖国参拝であり、小沢一郎氏の福岡発言であり、冷戦後あるいは自社さ政権以降、左翼的言動が政界で後退した後で、それを埋める形で勢いを増した、この種の発言の跋扈である。
いわば、これらのかたがたの確信的信条にもとずく一途な言動が、アジアの燃え草に徐々に火をつけていったといえる。
その最大の貢献者は、ご丁寧にも、総理就任後二度にわたり靖国参拝された小泉総理ご自身である。
石橋湛山先生は、小国主義を唱え、「アジアの燃え草を拾うなかれ」と、このURLのように、常々言われた。
日本の経済力がまさに退化しようとし、これからは、経済力をかさに着ず、敗戦後の謙虚な日本に戻り、緊張いよいよ激化するアジアの平和を、今うったえなければならないときに、これら政治家の一連の無神経な言動は、国民から、この際、強くいさめられてしかるべきである。
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