Sasayama’s Weblog


2002/05/21 Tuesday

沈み行く国-日本は、アジアの病人か?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:14:19

  
2002年5月21日(火) 

シンガポールの「ザ・ストレーツ・タイムズ( the Straits Times )」2002/05/21付け記事より
http://straitstimes.asia1.com.sg/analysis/story/0,1870,120675,00.html?が、原文

「日本経済は、いくつかのひずみと政治の停滞、改革へのトップの積極的姿勢の欠如に満ちている。過去のソビエトと、今の日本とは、恐ろしく似ている。」と、GWYNNE DYER は、いう。

今の日本は、経済システムを変革できずに、究極は崩壊へと向かう、21世紀のソビエトとなってしまうのか?

10年前、ソビエトが崩壊した時、世界第2位の経済大国であって、経済が最もうまくいっている日本に対して、このような質問をすることなど、誰も考えなかった。

しかし、当時でさえ、日本は、いくつかの点で、ソビエトと、類似性を見せていた。

腐敗した単一政党による力の独占、問題産業の市場からの撤退への拒否、いろいろな点で経済をゆがめた、チェックなしで無制限に放出される補助金、等の点においてである。

それから10年後の今、この両国の比較は、恐るべく類似化している。

「可処分所得にしても、国内総生産にしても、家計支出にしても、デフレにしても、日本の経済政策は、すべての点において、最悪の状態にある。」と、マツダの社長である Mark Fields氏は、昨年、語った。

日本を、よく見せる唯一の方法は、計画図をひっくり返すことしかなかった。

ただ、それは、日本の首相小泉純一郎氏が、彼の改革者としてのイメージも大衆からの支持も、うしないはじめる前にやるべきことであった。

過去12年間、日本経済の実態は、ほとんど成長しておらず、その間、株式市場は、75パーセント低下した。

金融機関は、不良債権の重みでよろけ、昨年は、零細な地方銀行や信用組合は、一週間に一行の割合で、閉鎖されていった。

失業率は、アメリカよりも高い6パーセントに上り、国が、構造問題に真正面に取り組めば取り組むほど、失業率は上がりつづけ、ピーク14パーセントほどに達するであろうとされる。

しかし、小泉さんが総理になる前までは、そのようなハプニングが起こる恐れは、少なかった。

そして、小泉さんが、総理として留任したとしても、改革が現実化する見込みは、急速に低下している。

ちょうど一年前、小泉さんが、自民党総裁選挙で、驚くべき勝利をおさめたとき、彼こそ、乙女の祈りに答えられるものと思われた。

日本の多くの政治家が慎重で面白みのない中で、小泉さんは、ロックスターのカリスマ性を持ち、白髪のパーマをかけたライオンのようなヘアースタイルの持ち主であった。

そこで、自民党の広報担当者は、小泉さんを獅子郎と名づけ、ポスターやTシャツや各種グッズを小泉ファンに売り、自民党の過去の体質との明白な決別を図ろうとした。

総理就任後、最初の月の支持率は、約90パーセントにのぼった。

しかし、その人気は、彼のみのものではなく、その半分は、戦後政治家の中で最も庶民性があった田中角栄氏の娘であり、彼女自身も恐ろしい政治家である、田中真紀子氏の人気によるものであった。

実は、彼女は、自民党の派閥(すなわち、森さんという、戦後の日本の総理の中で、最悪で、最も国民に愛されなかった方にコントロールされた派閥)との関係を絶つことを、同盟の条件とすることで、小泉総理よりもはるかに際立っていた。

田中氏と小泉氏との同盟関係は、最初からギクシャクしたものであったが、それでも、しばらくの間は、その同盟関係は機能した。

小泉総理は、経済改革、政府補助金の増嵩に終止符を打たせること、そして、公共事業の10パーセントカットから、改革をはじめた。

しかし、このことは、過去47年間、有力な自民党の選挙基盤である地方に対しての政府資金の安定した流れこそが、自民党の比類なき力を保ってきたということを知っている、派閥の領袖たちを、怒らせることになった。

その一方で、田中真紀子氏は、外務大臣として、単なる政府の一員としての操り人形となることを拒絶し、ブッシュ大統領のミサイル防衛計画や環境政策についての疑念を漏らし、外務省高官を怒らせた。

外務省内における彼女の内なる敵は、絶えず、彼女の不利になるニュースをリークし、ついには、彼女を追い出すよう、自民党内の彼女の政敵と連携するまでした。

今年の1月に小泉総理は、彼女を罷免し、そして、小泉総理の人気も急落していった。

田中氏は、小泉総理を評して、今年の2月、こういった。
「小泉さんは、聖域なき構造改革などと、言葉の上では、派手なことをいっているが、小泉さん自身が、いまや、抵抗勢力の一員となってしまったじゃないですか。彼は、今、ワルにかこまれている。」

もはや、小泉さんは、自民党外では、「日本のゴルバチョフ」とまで、いわれるようになってしまった。

しかし、小泉さんの仲間たちは、ゴルバチョフが自身の党を破壊してしまったという、過去の歴史に気づいている。

彼らには、日本を救おうといる力を捨てようとする気はない。

支持率が40パーセントをわったもとにおいては、小泉さんが、改革の約束を中身のあるものにすることには、もはや、限界がある。

では、日本は、これからどこへ向かうのだろうか?

大国というものは、過去との決定的な決別なくして、長期間にわたる低落から逃れ得ない。

旧ソビエトは、20年間の停滞を経験したし、オスマン王朝は、ほとんど1世紀の間、「ヨーロッパの病人」と、いわれつづけてきた。

仕事についている多くの日本人は、高い生活水準を維持しつづけているし、技術的にも優秀な経済のマネージャーでもある。そのような日本人だからこそ、一時の経済危機を取り繕うことはできるだろうし、長期にわたる金融危機の悲惨な結末を回避することはできるだろう。

結局は、小泉さんがよけるような挑戦状を、他の指導者が、たたきつけるだろうが、それにしても、この日本という国は、あまりに早く老化してしまったので、10才の人口よりも70才の人口の多い老大国日本にとっては、根本的な変化は容易には受け入れられがたい。
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