2005/05/17(Tue)
どうも日本のマスコミは、OIE基準のことは書いても、SPS協定のことは書かないものだから、やや、バイアスのかかった記事が書かれるのだけれども、実際、たとえば、アメリカと日本とのリンゴの火傷病についての、紛争パネルなどの例をみると、輸入国の農産物の検疫措置が過剰かどうかの判断は、OIE基準と国内安全基準との乖離の幅が「適切な保護の水準」(ALOP(Appropriate Level of Protection))の範囲内にあるかどうかで決まってしまうのである。
(こちらの外務省のサイトもご参照)
だから、このSPS協定での「適切な保護の水準」と「OIE基準」とは、相対的な関係にあるのである。
今度のOIE総会で、牛肉の安全性について、OIE基準がゆるめに設定されるならば、このSPS協定での「適切な保護の水準」と「OIE基準」との間の乖離は、広がるのであって、もし、輸入国が、現在の国内安全基準を守ろうとすれば、広がったSPS協定での「適切な保護の水準」と「OIE基準」との間の乖離についての科学的証拠を用意しなければならないのである。
跳び箱にたとえれば、跳び越してくる側(輸入国側)から見れば適切な高さ(国内安全基準)の跳び箱だと思っていると、いつの間にか、飛び出し地点(OIE基準)が深く掘り下げられていて、飛び出す側(輸出国側)の方から、「何でこんな高い跳び箱を作ったんだ。もっと低くセイ。」とイチャモンをつけられているようなもんだ。
いわば、今回の食品安全委員会の答申のように、国際紛争になる前に、国内安全基準のバリアーを下げてしまうということは、輸出国にとっては、願ってもない「腰抜け輸入国誕生」ということになるわけである。
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