Sasayama’s Weblog


2005/04/13 Wednesday

アメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)は、実際はどういったのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:55:32

 
2005/04/13(Wed)

null どうも、今日の日本の報道は、「当面、アメリカの大幅金利引き上げの可能性はない」との、ニューヨーク市場の好反応ばかりを載せているが、実際は、連邦公開市場委員会(FOMC)は、どういっているのだろう?

12日公表した3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の中身は、こういうことのようらしい。
(議事録の現物は、こちらのサイト
http://www.federalreserve.gov/FOMC/minutes/20050322.htm)

まづ、インフレ懸念については、今後も、インフレが制御下のままにあるかどうかは、疑わしいとしている。

FOMCとしては、インフレ制御可能とする金利水準以上の利上げをしたいのだが、結果は、0.25パーセント刻みの「一定のペース(measured pace )」での利上げとの結論に達した。

しかし、この「一定のペース(measured pace )」という言葉の意味については、0.5パーセント幅の引き上げもありうることを排除するものではないという。

FOMCのメンバーは、良性のインフレ見通しについては、あまり、確かな見通しを持っていないようである。

しかし、前回の会合時よりは、経済の活性化が進み、インフレ圧力は、強まりつつあるという認識では一致してるようである。

控えめなペースでインフレーションは、高まりつつあるが、その進捗ペースは比較的緩やかであり、この数四半期にどうこうなるというインフレ見通しは、FOMCは、持っていないとしている。

より高いインフレリスクについては、少し高くなりつつある傾向にあると見ている。

また、トータルの利上げ幅については、増加していると見ているが、当面での加速的な引き締め措置については、経済停滞が一部にまだ残っていることは明らかなので、今の時点では、必要ないものと見ている。

生産性の向上については、単位労働コストの上昇や価格の上昇によって、制限されてくるであろうと見ている。

以上が3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の中身であるが、問題の焦点は、市場は、この「一定のペース(measured pace )」という言葉を、「当面の金利の大幅引き上げはない」との解釈のみしたのであるが、連邦公開市場委員会(FOMC)では、「これは、別に0.5パーセント引き上げの可能性を排除したものでもなく、また、「一定のペース(measured pace )」での金利引き上げでも、長期金利は、上昇しうるとの可能性もある」と示唆しているという、市場の反応とFOMCとの真意とのあいだに、すれ違いが生じている。

ちなみに、日銀などでは、この「measured pace」の訳語として「慎重なペース」としているようだが、これは、不正確のように思える。

丁寧に言えば、「中立的金利水準にむかって、淡々と、スケジュールにしたがって、一定のテンポで、金利引き上げを進めていくこと」
ということになるのかもしれない。

もっとも、この「中立的金利水準」として、どの程度をグリーンスパンさんが考えているのかについては、諸説あるのが問題なのだが。

グリーンスパンさん特有のちょっと先に起こりうる事象を先取りして、「ほら、私のいうとおりになったでしょう。」と思わせることによって、グリーンスパン神話が辛くも保たれるというのは、先週の石油下落予測にも見られたのだが、今回のFOMC議事録好評と同時に発表された、アメリカの史上最大貿易赤字の数字は、もう、このようなグリーンスパンさん特有のマジックが、そうそう通用しなくなってきていることを、図らずも示しているものと思われる。

参考 「一定のペース(measured pace )での金利引き上げ」という意味についての議事録での確認事項

「しかしながら、FOMCのメンバーは、この「一定のペース(measured pace )」という言葉の意味について、これは、明らかに、次の二つのことを条件にしている。
すなわち、第一には、経済の発展が、資源の高度利用のレベルへと、漸進的に確実に回帰している半ばにあるということ。
第二には、インフレーションが、低いままであるということである。
従って、この「一定のペース(measured pace )」という言い回しは、(金利引き上げの)立ち上がりのペースを早めることを排除するものでもないし、また、政策調整を取り除く過程において、状況が許せば、(金利引き上げを)中止することをも、排除するものではない。」

Members noted, however, that the existing “measured pace” language was clearly conditional on the economy evolving in a way that promised a gradual return to high levels of resource utilization and on inflation remaining low, and thus believed that the wording did not rule out either picking up the pace of firming or pausing in the process of removing policy accommodation should circumstances warrant.

参照 http://www.marketwatch.com/news/story.asp?guid=%7B3CA12E9D%2DECA0%2D4CFB%2D8531%2DD7D34855ADED%7D&siteid=mktw

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