Sasayama’s Weblog


2004/11/14 Sunday

CMカットは、著作権法違反か?-同一性保持権の侵害の問題-

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:26:59

 
2004/11/14
DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが、「著作権法に違反する可能性もある」と日本民間放送連盟会長が述べたという

ソニーのビデオ規格「ベータマックス」に対し米ハリウッドの映画会社数社が訴訟を起こしたベータマックス訴訟では、映画会社側が、「テレビ番組を録画して、違法に販売されている。ビデオデッキが手を貸しているのではないか」と主張したが、「ビデオデッキのユーザーは視聴時間をタイムシフトしているだけの“フェアユース(公正使用)”がメイン。著作権侵害には当たらない。一部ユーザーが違法な使用方法を見つけたといって技術そのものを違法にはできない」と米連邦裁判所はソニー側に勝訴と判決した。

この問題は、同一性保持権の侵害問題ということで、過去の判例としては、いろいろあるが、ときめきメモリアル事件等が代表的なものである。

また、これらのCMカットを技術的に可能にしたということからでは、例のwinny事件でも問われた、著作権法違反を「幇助」したということで、CMカット機能開発者も幇助罪に問われる可能性もなしとしない。

で、日本の著作権法20条に規定されている、この同一性保持権というものだが、アメリカの著作権法では、第106A条において、「Rights of certain authors to attribution and integrity」の中で、「distortion」−歪曲-として、規定されている。

この「distortion」が許される例外として、次のものを挙げている。(1) 時の経過または素材の固有の性質の結果である視覚芸術著作物の改変は、第(a)節(3)(A)にいう歪曲、切除その他の改変ではない。
(2) 著作物の保存または公開(照明および配置を含む)の結果である視覚芸術著作物の改変は、重大な過失によるものでない限り、第(a)節(3)にいう破壊、歪曲、切除その他の改変ではない。
(3) 第(a)節(1)および(2)に定める権利は、第101条の「視覚芸術著作物」の定義の第(A)号または第(B)号に定める品目の中もしくは上にまたはそれに関連して、一の著作物を複製し、描写し、記述し、その他使用することには適用されず、また、かかる著作物の複製、描写、記述その他の使用は、第(a)節(3)にいう破壊、歪曲、切除その他の改変ではない 等があげられている。
http://assembler.law.cornell.edu/uscode/html/uscode17/usc_sec_ 17_00000106—A000-.html 参照

ただし、以上に該当したものであっても、第107条のフェアユース条項に該当するものについては、著作権法違反に当たらない。

すなわち、
(1) 使用の目的および性質(使用が商業性を有するかまたは非営利的教育目的かを含む)。
(2) 著作権のある著作物の性質。
(3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性。
(4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価値に対する使用の影響。 この点のフェアユース条項の有り無しが、日米での同一性保持に関する著作権法の解釈の大きな違いである。

では、CMTカットが、同一性侵害に当たるかどうかについてなのだか、ここで関係してくると思われるのが、著作権法28条「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」において問題とされる、不可分一体性論が、この場合適用できるのかという点だろう。

東京高裁平成12年3月30日の「キャンディ・キャンディ」事件東京高裁平成12年4月25日判決「脱ゴーマニズム宣言事件」においては、「漫画は、絵と文が不可分一体となった著作物であるかどうか。」が争われた。

また、著作権法2条1項13号の「共同著作物」という観点から見た場合どうなのだろう。

この判例としては、東京高裁平成元年6月20日判決の原色動物大図鑑事件等がある。
アメリカの著作権法の場合、著作権法201(C)において、次のように定められていいる。

「(C) 集合著作物への寄与物  集合著作物の各個の寄与物に対する著作権は、集合著作物全体に対する著作権とは別個のものであり、当該寄与物の著作者に原始的に帰属する。著作権または著作権に基づく権利の明示的な移転がない場合、集合著作物の著作権者は、その特定の集合著作物、その改訂版および同一の双書における以後の集合著作物の一部として当該寄与物を複製しまた頒布する権限のみを取得したものと推定する。」

これらは、たとえば、データベースの並べ替えによる著作権の帰属如何が問われる場合などに、問題となる。

これらをテレビ番組とテレビコマーシャルの関係に当てはめてみた場合、どうだろう。

一連のコマーシャルを含むテレビドラマについて、ドラマからコマーシャル、コマーシャルからドラマの一連の流れの中で、そのコマーシャル部分を飛ばして、並べ替えをしたことが、著作権法違反に当たるかどうかということなのだろうが、どうも、その点、この場合は無理がありそうだ。

ましてや、ハードの技術開発者への幇助罪の適用など、まったくの難癖に過ぎないと見るのは、私だけであろうか。

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