Sasayama’s Weblog


2009/12/27 Sunday

甘いんじゃないかな? 政府試算の予算の経済押し上げ効果予測

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:46:06

2009/12/27(Sun)
 
12月25日閣議了承の2010年度予算の経済押し上げ効果予測

物価下落10年度、政府見通し0.8% 

国内総生産(GDP)成長率実質で1.4%、名目0.4%

消費者物価指数前年度比0.8%低下

09年度第1次補正予算減額による経済押し下げ効果-実質成長率マイナス0.1ポイント押し下げ

09年度第2次補正予算案緊急経済対策による経済押し上げ効果-実質成長率プラス0.6ポイント押し上げ

10年度当初予算案子ども手当による経済押し上げ効果-実質成長率を0.2ポイント押し上げ(7割が個人消費に回ると予測)

農家の戸別所得補償による経済押し上げ効果-実質成長率を0.1ポイント押し上げ

というのだが、

デフレ・スパイラルの状況が、定額給付金当時より悪化していること、

定額給付金の総額が、今回の児童手当地方負担分(5680億円)を含む2.3兆円とほぼ同じ2兆円であったにもかかわらず、その経済成長率押し上げ効果は、プラス0.1-0.2程度であったこと、

定額給付金に比して、交付対象者が圧倒的に少ないことから「範囲の経済効果」(Economies of Scope)は、見込めないこと、
(これまでの児童手当対象者12百万人+新たに子供手当てに加わってくる対象者約5百万人=約17百万人、
月1万3000円×12ヶ月×17百万人=約2兆6千五百万円−地方負担分、
これまでの児童手当は家庭内での児童数によって、一人5千円から1万円、
以上の対象者の上積み分と、児童手当と子ども手当ての差額分が経済効果としてつみあがってくる。)

定額給付金の場合は、消費に向かったのは、2割程度であったと見込まれているのに、そのときよりも、経済状況が極度に悪化しているところから、子ども手当の7割が個人消費に回りうる可能性は少ないこと、

などから、直感的に見て、かなり甘い見通しのように思える。

今回の経済状況から見て、これらの子供手当てや農業者戸別所得補償などの直接支払い型の政府支出の多くは、貯蓄や借入金返済原資として回ってしまう、いわゆるデフレの罠に吸い込まれてしまう確率が高いと見込まれるところから、経済成長率押し上げ効果は、ほとんどないものと見込んでもいいのではかなかろうか。

それと、これらの直接支払い型政府支出は、事務費や送金手数料などのトランザクションコスト(TransAction Cost)が高いため、納税者番号制度の整備や住民基本コードとの連携、小切手支出などのソフトが伴わない限り、途中ロスの多い政府支出となる点も、解決課題としてある。

これからも、これらの直接支払い型政府支出を現政権が志向されようとするのなら、どうして、これらのソフトのスキームの充実を先行させないのだろうか?

もっとも、納税者番号制度などは、遊戯組合など、民主党の支援団体とかなりバッティングする可能性の多いことは、十分承知しての指摘なのだが。

参考
直接支払い的補助金は、「流動性の罠」にひっかかるのでは?」

 

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