Sasayama’s Weblog


2009/09/16 Wednesday

覚書-円高・円安、インフレ・デフレ、マネタリーベースなどなどの関係について

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 20:38:00

2009/09/16(Wed)
 

ちょっとこんがらがってきましたので、ここらで、考え方の整理をして見ましょう。

円高と円安、インフレとデフレ
円高−インフレ抑制効果あり−デフレへの先行指標−輸入デフレ
円安−インフレ促進効果あり、-インフレへの先行指標−輸入インフレ、円安インフレ、コストプッシュ・インフレ

ねじれ1.デフレで円安-消費財が依然としてデフレ-
円安のインフレ促進効果が阻まれている要素がある。
要素
賃金が上がらない
金融機関の信用供与がなされない

ねじれ2.インフレで円高-消費財が依然としてインフレ-
円高のインフレ抑制効果が働いていない
要素
賃金抑制ができていない
金融機関の過剰信用供与が続いている

実質金利格差
日本の金利>海外の金利→円高要因
日本の金利<海外の金利→円安要因

インフレ率格差
日本のインフレ率>海外のインフレ率→円安要因
日本のインフレ率<海外のインフレ率→円高要因

外貨建純資産の変動
対外資産の増加→対外通貨を売って円を買う→円高要因
対外資産の減少→円を売って対外通貨を買う→円安要因

購買力平価
適正レート=日本の価格÷海外の価格。

期待実質金利=名目金利−期待インフレ率=事前的実質金利
期待実質金利が高い-名目金利の上昇が期待インフレ率の上昇に先行する
期待実質金利が低い-名目金利の上昇が期待インフレ率の上昇に遅行する。

事後的実質金利=名目金利−事後的に実現したインフレ率
事後的実質金利が高い=事後的に実現したインフレ率が、名目金利設定時に想定したインフレ率よりも、低い
事後的実質金利が低い=事後的に実現したインフレ率が、名目金利設定時に想定したインフレ率よりも、高い

名目金利は、物価上昇率が高いときには高く、それが低いときには低い
名目金利の変化は物価の変化に遅れるため、名目金利の変化と物価変化率との関係はしばしば曖昧になる。
名目金利は過去の物価変化の影響を長期にわたって受ける。
事後的な実質金利はインフレ率にかなり左右される。

世界の実質金利比較(=名目金利−インフレ率)

アメリカ4.0パーセント、
フランス3.5パーセント、
イタリア3.4パーセント、
ドイツ3.1パーセント、
カナダ2.8パーセント
日本2.7パーセント
イギリス2.1パーセント、

参考「REAL INTEREST RATE FORECASTS
日本は、デフレがきいて、意外と実質金利は高い。

マネタリーベース(日銀が供給する通貨)とインフレ・デフレ
マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」
マネタリーベース拡大-インフレ
マネタリーベース縮小-デフレ

マネー・サプライとインフレ期待・デフレ懸念と物価
マネーサプライ=日銀も含めて金融部門全体から経済に供給される通貨
インフレ期待増-仮需要増-マネー・サプライ増−物価上昇
またはこの逆のサイクル
デフレ懸念増−仮需要減-マネー・サプライ減−物価低落
またはこの逆のサイクル

マネタイズ(国債・債務の貨幣化、マネタイゼーション)とインフレ・デフレ
マネタイズする-インフレ期待高まる−物価上昇
マネタイズしない-デフレ懸念高まる−物価下落
しかし、巨額な財政赤字の存在は、マネタイズによるインフレ期待効果を弱める

二つのデフレ
資産デフレ
円高デフレ

デフレ・スパイラル(Deflation Spiral)
供給過多・需要不足-物価低下-生産者の利益減-従業員の賃金減-企業の雇用保持余力低下-失業者増-購買力減-供給過多・需要不足

流動性の罠(Liquidity Trap)
金利を下げる-景気の見通しが悪く、通貨供給量(マネーサプライ=現金流通量+預金など)が増えない-不況やデフレがとまらない
供給した金が貯蓄や債券の購入にまわり、銀行に戻るため、通貨流通量が増えない。

インフレ圧力とデフレ圧力
インフレ圧力(inflationary pressures)
デフレ圧力(deflationary pressures)

不胎化(sterilization)と為替介入
不胎化を伴う為替介入(Sterilized Intervention)-不胎化介入-為替介入と同時に国債の売却・発行などの措置で効果を相殺-日銀は国内市場で日本国債など他の資産を売却しドルを買う。円の総量は増えない。
不胎化を伴わない為替介入(Unsterilized Intervention)-非不胎化介入-為替介入のみで、同時に国債の売却・発行などの措置をせず、効果を相殺しない-日銀の為替介入資金を市場で調達しない。円の総量は増える。

政府紙幣(または無利子永久国債)発行(セイニアーリッジ-Seigniorage-政策)
財務省が政府紙幣発行権を日銀に売却-日銀より小切手−政府の日銀口座に入金-その分で、財務省は、国債減額または歳出増−日銀は、その分を日銀券発行

政府紙幣発行額の適正値=デフレギャップ相当額+保有国債の償還分乗り換え

デフレギャップ=総供給(生産水準)-総需要(有効需要)
ただし、完全雇用時想定生産水準(総供給)を基準。
数十兆円から数百兆円と推定

売りオペと買いオペ
売りオペ-日本銀行が自ら所有する有価証券、手形類を金融機関に売却することで、市場の流通資金を少なくする公開市場操作-Selling operationまたは資金吸収オペレーション(Fund absorption operation )-共通担保オペ、国債買現先オペ、短国買入オペ、CP等買現先オペ、国債買入オペ-FEDではRePO=REPurchase Operations(売り戻し条件付き債券買いオペ)
買いオペ-日本銀行が有価証券、手形類を金融機関から買い取ることで市場の資金を増やす公開市場操作-Buying operationsまたはPurchasing operations または資金供給オペレーション(Fund provision operation )-共通担保オペ、国債買現先オペ、短国買入オペ、CP等買現先オペ、国債買入オペ-FEDではreverse repos

売りオペの効果-日本銀行にある民間金融機関の当座預金残高減少-金融市場での資金量減少−金利上昇−有価証券価格下落-金融引き締め効果
買いオペの効果-日本銀行にある民間金融機関の当座預金残高増加-金融市場での資金量増加−金利低下-有価証券価格上昇-金融緩和効果

アメリカFEDが信用収縮状態を打開するためにとる従来型政策手段

1.利下げ(Rate Cuts)

2.流動化資金投入(Liquidity Injections)

公開市場操作(オペ.reposとreverse repos)
プライマリー・クレジット・ファシリティー(格付けが高い優良金融機関向けの優先信用供与の連銀貸し出し)
Term Auction Facility(TAF) (一時的な期間入札ファシリティー)
Term Securities Lending Facility (TSLF) (債券貸し出しプログラム)

3.割引率引き下げ(Lower The Discount Rate)

4.預金準備率引き下げ(Lower Reserve Requirements)

5.ユーロ/ドルのファンドのスワップ(Swapping Euro/Dollar Funds)

6.口先介入(Verbal Intervention)

なお、今回の金融危機で、上記手段に加わり、米国債買い上げなど、さまざまな緊急手段が編み出されてきた。

 

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