2009/07/28(Tue)
継ぎ足す竹の余裕がないのに、両足の高さが不揃いの竹馬の足の高さを調整しようとしているうちに、地に足がついてしまった、というような、パラドックスが、昨日、発表された民主党のバラマキ・オンパレード・マニフェストには見られますね。
つまり、継ぎ足せる竹がない限りは、低位均衡に向かわざるを得ない、というパラドックスです。
ここで、連想させられるのは、一昔前の発展途上国の開発戦略論争です。
ここでは、均衡発展(Balanced Growth)か不均衡発展(Unbalanced Growth)かの論争がありました。
ヌルクセ(R.Nurkse)に代表される前者の均衡発展論においては、投資や産出物がすべての経済社会部門において同率的・同時的に拡大させる戦略が主張されました。
一方、ハーシュマン(A.O.Hirschman)に代表される後者の不均衡発展論においては、先に水平的・垂直的な不均衡を作り出すことによって、それにキャッチアップしうる跛行的発展のダイナミズムを生み出すという戦略が主張されました。
その際、ストリーテン(P.Streeten)という学者が、次のような均衡発展論批判を展開したのです。
「バランスにあまりに重きをおくことは、経済の停滞をふせぐよりは、むしろ、停滞を引き起こすことになり、また、経済発展を阻害するボトルネックは、ある条件の下では、成長を抑止するが、他の条件の元では遅れている補足的行動の成長を強力に刺激するものとなる。」
なんか、このストリーテンの均衡発展批判論が、そのまま、今回のバラマキへの批判論に摩り替わりうるものとなるように見えます。
不均衡な経済社会部門をバラマキによって、補填し続ける限り、経済社会全体のパイを増やしうる発展は究極達成できない、ということなのではないでしょうか。
いったい、今回のバラマキに裨益をあずかりえない人は、部門は、階層は、だれになるのだろう?ということをアブリダシ的に検証してみれば、バラマキによってさらに生まれうる不均衡の実態は明らかになるのでしょう。
逆に言えば、バラマキで裨益をうける措置階層区分に該当するものは、だれなのか?ということでもありますね。
「措置階層とは、自立的に誇りを抱けなくなった裨益の民であり、措置とは、最終的には、誇りを取り戻させるための手段であり、そのための補助輪に過ぎない。」
と考えれば、措置をすると同時に、その措置が必要となくなるための脱出回路・卒業回路が用意されていなくてはならないのではないでしょうか。
たとえぱ、いったい、戸別所得補償制度で裨益を受ける農業者たちは、措置階層と名指しされることで、社会的な満足をうることができるのでしょうか?
今必要なのは、それらから脱出できるための、細かな換金回路の用意であり、不均衡発展論にもとづいたビッグ・プッシュ戦略の展開であると思われるのですが。
このことについては、私はねかねてから、中山間地直接支払い制度発足の折からも、主張してきたことです。
参照
「欧州連合(EU)の農村開発政策」
http://www.sasayama.or.jp/library/tosyo-11.html
つまり、直接支払いは、補助金の産直とも言うべきものですが、一見、そのインセンティブの対象のフォーカスは限定されているように見えてて、実は、政策効果発現において、リーケージ(漏れ)が多く、また、直接支払い金受領者に支払い金がいきわたるためのトランザクション・コスト(郵送料・送金料、手数料、連絡事務費など)が、増嵩するなど、インセンティブとしてのフォーカスは甘く、必ずしも、費用対効果には、疑問符がつけられるものであると、認識すべきです。
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