Sasayama’s Weblog


2009/07/06 Monday

読売新聞の記事にあった河岡教授が変異を確認したとする上海のH1N1ウイルスはどれなのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:41:26

2009年7月6日
 
2009年6月26日 の読売新聞の報道で、次のようなものがあった。

「中国で発見の新型インフル、変異は解析ミス

中国で発見された新型インフルエンザウイルスの増殖能力を高める変異は、遺伝子解析のミスだったことが25日わかった。
解析した中国・復旦大のグループがデータを修正した。新型ウイルスの増殖にかかわる遺伝子のある部分で、遺伝情報が1文字分だけ変化すると、人間の体内で増殖力が高まることが懸念されている。上海市の女性患者から採取した新型ウイルスを、復旦大が解析したところ、この変異があったとされていた。」
というものである。 
参考「中国で発見の新型インフル、変異は解析ミス

ところが不思議なことに、この復旦大の解析ミスについての記事は、海外報道記事や中国国内報道記事を探しても、この日本の読売新聞のこの記事以外には、見当たらないのである。

一方、2009年6月20日のこれも同じく読売新聞の記事に以下のようなものがある。

「新型インフル、人体内で急速増殖能力変異ウイルス 中国で確認

中国の患者から採取した新型インフルエンザウイルスが、人の体内で効率よく増殖する能力を獲得していたことが19日わかった。東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)は「人での感染が爆発的に広がる恐れがある。動向を監視する必要がある」と、注意を呼びかけている。
河岡教授によると、この新型ウイルスは上海市の女性患者(22)から先月31日に採取された。世界中のウイルスの遺伝情報を集めたデータベースに登録されていたものを、河岡教授が分析した。新型ウイルスは、豚と鳥、人のウイルスが混ざり合ってできている。増殖にかかわる遺伝子は鳥由来で、鳥の体温(42度)で最も効率的に増える。
ところが、上海で見つかったウイルスは、この遺伝子が1文字分だけ変異して、人の体温(36度)で、効率的に増殖できるように変化していた。
マウスの実験では、ウイルスのこの部分を変化させると、増殖力が爆発的に増え、病原性が高まることが分かっている。」
参考「新型インフル、人体内で急速増殖能力

この二つの記事につながりがあるのだろうか?

この二つの記事では、いずれも、該当するウイルス名を記していないために、よく、わからない。

そこで、これまで、上海で検出され、データベースに登録されたウイルスを「Influenza A (H1N1) (a.k.a. Swine Flu or North American H1N1) Update」でみてみると、つぎの五つがある。

A/Shanghai/1/2009(H1N1)(変異はなかったとされている。5月23日に採取、30歳男性、復旦大學はこの名前のウイルスを登録していない。参考サイトはここ)
A/Shanghai/37T/2009(H1N1) (変異はなかったとされている。上海第一例目輸入性甲型流感疑似病例.6月11日に登録、30歳男性)
A/Shanghai/60T/2009(H1N1)(変異があったとされている。6月2日と6月22日に再度登録、性別不明)
A/Shanghai/71T/2009(H1N1) (変異があったとされている。上海第五例輸入性甲型H1N1流感患者、6月11日に登録、女性)
A/Shanghai/143T/2009(H1N1)(6月2日に登録。)

このうち、,蓮5月23日に採取された30歳の男性のもので、これについては、復旦大學は、関与していないものと思われる。(感染者の年齢・性別の一致からすると、△氾佻燭ダブっているようにもみえるのだが。)
参考
Swine influenza (H1N1) protein structure model database

復旦大學が登録しているのは、

2009年6月11日に登録の
A/Shanghai/37T/2009(H1N1)(「上海第一例目輸入性甲型流感疑似病例」の「オーストラリアから帰国の「30歳の男性」で、5月23日にオーストラリアから帰った患者から検出)
参考
5月24日上海発現第一例輸入性甲型流感疑似病例 」
上海三例甲型H1N1流感患者痊愈从我中心出院

A/Shanghai/71T/2009(H1N1)(5月30日にアメリカからかえった患者より検出、上海第五例輸入性甲型流感疑似病例)

それに、

2009年6月2日と2009年6月22日に登録の
A/Shanghai/60T/2009(H1N1)(5月29日に採取されたもの)
参考
Influenza Research Database

となっている。

参考
上海分离出两株甲型H1N1流感病毒

変異は、A/Shanghai/60T/2009についてみれば、ふたつあり、サイトによれば

Site=627 Consensus=E 186 Alt=K(1) ThisSite=K
Site=701 Consensus=D 186 Alt=N(1) ThisSite=N

すなわち、
E627KとD701Nであったということであり、このどちらの変異も、ヒトへの適応性を示す変異とされている。

このうち、上記読売新聞の河岡教授についての記事の「この新型ウイルスは上海市の女性患者(22)から先月31日に採取された。」に該当するのは、いA/Shanghai/71T/2009(H1N1) ということになるのだが、果たしてどうなのだろう?

また、同じく上記読売新聞の復旦大學の解析ミスについての記事の「上海市の女性患者から採取した新型ウイルスを、復旦大が解析したところ、この変異があったとされていた。」に該当するのも、、いA/Shanghai/71T/2009(H1N1) ということになるのだが、私の見方としては、A/Shanghai/60T/2009(H1N1)のほうではないかと思う。

なぜなら、こちらのほうは、いったん、6月2日に登録し、再び、6月22日に登録しなおしているからである。

こちらのほうも、どうなのだろう?

この、いA/Shanghai/71T/2009(H1N1) の女性は、「上海第五例輸入性甲型H1N1流感患者7日康復出院」によれば、「上海第五例輸入性甲型流感疑似病例」の患者で、年齢は「23歳」の「アメリカ某大学」にいる人で「5月28日にキャセイ航空香港経由ドラゴン航空KA870便に乗って帰国した」もので、「5月30日」というのは、自分で体温を測って、発熱を確認した日で、実際の感染確認は、5月31日のようだ。

実は、上記のデータベースにのっていないウイルスで、A/Shanghai/70T/2009
というものがある。

この記事「WHO: No Sign Of H1N1 Mutation (Yet) 」において
「We don’t currently have any details on the clinical course of the person infected with this mutated strain, nor do we know if it has been transmitted to others. 」
との記述があり、変異が否定されている。

また、この記事では、変異があったのは、このA/Shanghai/70T/2009 ではないかとしている。

しかし、このA/Shanghai/70T/2009については、「Swine influenza (H1N1) protein structure model database」にみるように、復旦大學登録のウイルスには、はいっていない。

このようなことから、下記のような疑問点が沸き起こってくる。

.Εぅ襯垢僚票腓寮別がわかっていないのは、2009年6月22日に登録のA/Shanghai/60T/2009(H1N1)と6月2日に登録のA/Shanghai/143T/2009(H1N1)のみである。

これを除いての女性のウイルスとは、A/Shanghai/71T/2009(H1N1)のみである。

となると、読売新聞のふたつの記事がともにただしいとすると、河岡教授が分析した女性のウイルスは、復旦大學がいったん登録して、解析ミスを認めたウイルスということになってしまうのだが、どうなのか?

読売新聞の記事が正しいとすれば、河岡教授が変異を認めたウイルスのなまえは、どれなのか?

I旦大學がいったん登録して、解析ミスを認めたウイルスのなまえは、どれなのか?
いったん、6月2日に登録し、ふたたび、6月22日に登録しなおしているA/Shanghai/60T/2009(H1N1)が、それらしいのだが、果たしてどうなのだろう。
もし、これとすると、読売新聞の「上海市の女性患者から採取した新型ウイルス」との記述は、はたして正確なのであろうか?

ぅ如璽織戞璽垢砲里辰討い覆A/Shanghai/70T/2009は、復旦大學がいったん登録して、その後抹消したウイルスなのか?

ゲ浪教授が変異を認めたウイルスの名前は、A/Shanghai/71T/2009(H1N1) なのではなく、実は、今はデータベースにのっていない、A/Shanghai/70T/2009(H1N1) だった可能性はないのか?

などの疑問点が、なお、残されているのだが。

読売新聞は、この諸点を明確にしないと、それらのふたつの記事の信憑性までも問われかねないことになる。

 

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