2009/05/22(Fri)
洗足学園の校長から、感染者からの「申し訳ない」とのお詫びの言葉が紹介されていたが、どうも、感染者からそのような言葉をいわせる日本の風土なりマスコミの風土には、おかしいものがありますね。
いわば、感染者からの「疾病贖罪」意識にたった言葉を間接的にも強要する、暗黙の社会的圧力が、もし、この日本の風土にあるとすれば、まさに、疾病に対する「島国根性」が、まだ、日本にある、ということですね。
沖縄の離島に行くと、昔、飢餓やマラリアなどの風土病やハンセン氏病や妊婦など、ハンディを持つにいたった島人を社会的に切り捨てた、島としての、やむを得ざる疾病拡大防御なり口減らしなりの歴史をかいま見ることがあります。
(例-与那国島のトゥング田や、クブラ割り、与論島の飢餓状態から脱するための三池炭鉱への移住 波照間島のマラリアによる全住民強制疎開 など)
それと同じような意識が、今回の新型インフルエンザ報道にもあるような気がしてなりません。
ウイルスが感染者に対して申し訳ないというのならわかりますが、感染被害者が近隣にたいして、申し訳ないとの言葉を言わせる、無言の社会的な圧力の存在は、先進国として決してほめられたものではありません。
ハンセン氏病への偏見を生んだ風土が日本にまだ生きている、となると、いっそうの息苦しさを感じてしまいます。
それにしても、マスコミの報道記事のなかには、「新型インフルエンザに感染した生徒の容体や様子などについての会見中に涙ぐむ洗足学園中学校・高校の前田隆芳校長」などというおためごかしの解説をつけているものもありますね。
「八王子市の女子生徒からは21日朝、母親を通じ「周りの人や先生方に本当に申し訳なかったと伝えてほしい」と伝言があったという。会見の中でそのことを説明しようとした前田校長が、言葉に詰まり、めがねを外してハンカチで涙をぬぐう場面もあった。」
新型インフルエンザ患者に対して、知らず知らずに社会的なレッテルを張っているのは、そして、感染者やその家族たち、関係者たち、をこのように泣かせているのは、むしろ、マスコミなんじゃありませんか?