Sasayama’s Weblog


2009/04/30 Thursday

タイミングよく昨日のPNASに発表されたハイブリッド・ウイルスに関するダニエル・ペレツ氏らの論文

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 22:09:50

2009年4月30日
 

豚インフルエンザ問題の渦中で、偶然か、タイミングよく、メリーランド大学のダニエル・ペレツ(Daniel Perez)氏らのハイブリッド・ウイルスに関する論文がPNAS(The Proceedings of the National Academy of Sciences)の2009年4月29日号に発表された。

題名は「Minimal molecular constraints for respiratory droplet transmission of an avian–human H9N2 influenza A virus」

次で読むことが出来る
Abstract(PDF)

Full Text (PDF)

概要、次のとおりである。

インフルエンザがパンデミックになるには、インフルエンザ・ウイルスの種間の伝送が必要になり、それには、新しい血球凝集素(HA)のサブタイプが新しい宿主に適応しうるように、遺伝子再集合や点(突然)変異が必要になる。

そして、呼吸器からのエアゾール化した飛まつによって、インフルエンザ・ウイルスは、伝達される。

1957年と1968年の二つのパンデミックは、低病原性の鳥インフルエンザとヒト・ウイルスとの再集合に起因するものであった。

しかし、そのパンデミックにいたるコンディションについては、あまり理解されていなかった。

そこで、メリーランド大学研究グループは、鳥インフルエンザ・ウイルスであるH9N2に風土的な状況を付与し、ユーラシアにおけるヒト状レセプター特性のもとに、フェレットを使って、鳥とヒトとのウイルスを再集合させたハイブリッド・ウイルスが、フェレットにどう感染しうるかを調べた。

この実験で示されたのは、鳥とヒトとのウイルス再集合のハイブリッドのウイルスは、内部にH3N2のヒト・インフルエンザ遺伝子を持ち、表面にあるたんぱく質は、H9N2鳥インフルエンザウイルスの遺伝子を持ったものであったが、この表面上のたんぱく質の存在によって、容易に、種間を乗り越え、感染することがわかった。

このようなことから、インフルエンザ・ウイルスの種間の伝送に必要な変異は、ごく2-3の変異でよく、それによって、容易に、種間の伝送は、達成されるとの結論を、研究グループ゜は出した。

このことは、現在問題の豚インフルエンザについても、おなじ様なことが言えるという。

一般に、ヒト→ヒト感染や鳥→鳥感染など同じ種間の感染が容易に行われるのは、それぞれの種の免疫系が、過去に曝露されたウイルスと同じものかどうかを記憶しているところから生まれているためという。

その伝送の中間に、豚のような、鳥ウイルスとヒトウイルスとの両方の宿主となる種が介在すると、ハイブリッドの鳥・ヒト・ウイルスを生むことになり、これらのハイブリッドウイルスは、ヒトに感染は出来るが、それらの表面上に持つたんぱく質によって、免疫反応から逃れることが出来るのだという。

 

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