Sasayama’s Weblog


2008/09/01 Monday

カーブ・フィッティングと日本の経済政策の誤りへの危惧

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 19:23:14

2008/09/01(Mon)

大分以前に書いたブログ記事「これまでの経済の常識を覆す、六つの謎」に、どうしたことか、今朝から異常な多くのアクセスが続いている。

まあ今日的に、あたっている点が多いということなのだろうか?

この小論では、以下の6つの謎について触れた。

その一つ−自国通貨は、安くてもいい。

その二つ-自国通貨安となっても、貿易収支赤字は、自動調整に向かわない。

その三つ-双子の赤字がいくらあっても、自国通貨安になるとはかぎらない。

その四つ-長期金利を決めるのは、短期金利であり、長期債券の短期ものも長期ものも、差がなく、フラットの利回りになってしまっている。

その五つ-日米の金利差(the US-Japan interest rate spread)放置が、ドル暴落を防ぐ

その六つ−中国の巨大市場の存在は、金から物への価値転換を加速化し、金本位的な考えが横行する。

この小論を書いたのが3年前の2005/03/28であったが、現在の状況と照らし合わせて、その後も謎が変わった点は何もない。

特に、その六つについては、このとき
「これまでのドルを中心としたあらゆる経済指標が、連動せず、あるいは、無連関または、無反応になるなど、ばらばらな動きを見せ、世界経済は、石油の高騰、鉄鉱石価格の高騰などに代表されるように、中国のモノ需要とモノ供給の巨大で気まぐれな動きに、より振り回されてくる。
そして、通貨の動きから、資源価格の動きに、あらゆる指標は連動し始めてくる。」
と書いたのだが、まさに、現在の状況は、そのものズバリの状況になっている。

これらの「六つの謎」の現実化というのは、これまでの経済なり経済政策の常識が通じない世の中になったということなのだが。

投資の世界にカーブ・フィッティングという言葉がある。

つまり、過去のヒストリカル・データに基づいて、最適のシステムを作り、トレードを始めてみると、そのとたん、その最適のシステムは、非最適のシステムと化してしまう、という話だ。

既知のデータにおいては、完璧でも、それがいったん未知の世界に入ったとたん、新たなあらゆるデータがノイズと化してしまうということである。

今の日本の経済政策、景気対策においても、これと同じようなことがいえそうな気がしている。

すなわち、あらゆる与件が変質を遂げている中で、過去の経済政策手法を精緻化し踏襲してみたところで、ノイズだらけの実効しか得られないという、日本の経済政策の無力化に対しての危惧である。

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景気対策は、消費刺激策を優先すべし

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:56:07

2008/09/01(Mon)
 
nullアメリカがサブプライム対策の一環として、所得税還付として税還付小切手(tax rebate check )を交付することを、超党派で決定したのが、今年の1月であった。

このときは、日本と同じく上下院でのねじれ状態(グリッド・ロックという。)にある共和・民主の上下両院議長が中心となって、驚くべき速さで、この案を纏め上げた。

超党派での話し合いは、John Boehner氏、Nancy Pelosi議長とポールソン長官との間に行われた、

この税還付小切手交付は、今年の5月ころから実際にアメリカの各家庭にいきわたったが、その後、発表された消費指数には、くっきり、その消費刺激効果が表れていた。

もちろん、この一時策が過ぎ去った後の消費の反動落ちも、懸念されていることも事実ではあるが。

今回の公明党の主張する定額減税構想も、これと同じ消費刺激効果を持つものである。

しかし、これを、アメリカと同じ税還付によるのか、それとも税徴収額調整によるのかでは、その消費刺激効果に格段の差がつくものと思われる。

すなわち、還付によったほうが、消費刺激効果は、一過性との欠点はあるが、一種のビック・プッシュ政策効果としては、相当大きいものがあるはずだ。

現在の景気後退の原因は、サプライ・サイドにはなくて、デマンド・サイドにあることは確かだ。

定額減税を主張する公明党の認識は、間違ってはいない。

その意味で、今後の日本における景気刺激策は、あくまで、消費刺激策によるべきであるし、この点では、アメリカに見習った早期の超党派による取り組みが必要になるものと思われるのだが、選挙にはやる永田町に、その点を期待するのは、かなり無理のようだ。