2008/09/01(Mon)
大分以前に書いたブログ記事「これまでの経済の常識を覆す、六つの謎」に、どうしたことか、今朝から異常な多くのアクセスが続いている。
まあ今日的に、あたっている点が多いということなのだろうか?
この小論では、以下の6つの謎について触れた。
その一つ−自国通貨は、安くてもいい。
その二つ-自国通貨安となっても、貿易収支赤字は、自動調整に向かわない。
その三つ-双子の赤字がいくらあっても、自国通貨安になるとはかぎらない。
その四つ-長期金利を決めるのは、短期金利であり、長期債券の短期ものも長期ものも、差がなく、フラットの利回りになってしまっている。
その五つ-日米の金利差(the US-Japan interest rate spread)放置が、ドル暴落を防ぐ
その六つ−中国の巨大市場の存在は、金から物への価値転換を加速化し、金本位的な考えが横行する。
この小論を書いたのが3年前の2005/03/28であったが、現在の状況と照らし合わせて、その後も謎が変わった点は何もない。
特に、その六つについては、このとき
「これまでのドルを中心としたあらゆる経済指標が、連動せず、あるいは、無連関または、無反応になるなど、ばらばらな動きを見せ、世界経済は、石油の高騰、鉄鉱石価格の高騰などに代表されるように、中国のモノ需要とモノ供給の巨大で気まぐれな動きに、より振り回されてくる。
そして、通貨の動きから、資源価格の動きに、あらゆる指標は連動し始めてくる。」
と書いたのだが、まさに、現在の状況は、そのものズバリの状況になっている。
これらの「六つの謎」の現実化というのは、これまでの経済なり経済政策の常識が通じない世の中になったということなのだが。
投資の世界にカーブ・フィッティングという言葉がある。
つまり、過去のヒストリカル・データに基づいて、最適のシステムを作り、トレードを始めてみると、そのとたん、その最適のシステムは、非最適のシステムと化してしまう、という話だ。
既知のデータにおいては、完璧でも、それがいったん未知の世界に入ったとたん、新たなあらゆるデータがノイズと化してしまうということである。
今の日本の経済政策、景気対策においても、これと同じようなことがいえそうな気がしている。
すなわち、あらゆる与件が変質を遂げている中で、過去の経済政策手法を精緻化し踏襲してみたところで、ノイズだらけの実効しか得られないという、日本の経済政策の無力化に対しての危惧である。
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