Sasayama’s Weblog


2003/11/07 Friday

今日の各紙夕刊を騒がせている「筋肉からも異常プリオン」の元ネタは、これ。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:33:18

  
2003年11月07日

http://content.nejm.org/cgi/content/short/349/19/1812 の、the New England Journal of Medicine の記事が、その元ネタだが、原文によると次のようなことらしい。

弧発性CJD患者の異常プリオン蛋白質PrPScは、これまで、中枢神経系統にのみ存在すると認識されてきたが、このたび、スイス・チューリッヒのUniversity Hospital Zurichで開発された、ソディウム・リンタングステン酸でPrPScを沈殿させる方法(sodium phosphotungstic acid precipitation )により、ウエスタンブロット分析の精度をたかめた検査方法によって、1996年から2002年にかけて弧発性CJDで死亡した36人の患者の神経外組織を調べたところ、PrPScの分布が、中枢神経系統以外にも、広がっていることがわかった。

Akiary v.0.51

すなわち、すべての患者の脳には、もちろん、PrPScは、分布していたが、それ以外にも、脾臓組織にも、28人中10人について、PrPScが発見され、骨格筋組織には、32人中8人について、PrPScが発見された。

また、3人の患者については、脾臓にも筋肉組織にも、PrPScがあった。

このような中枢神経系統以外にPrPScがみつかった患者の多くは、長い間CJDをわずらっていた患者で、中枢神経系統にのみPrPScがあった患者に比べ、異常な多型分子変異体が見られた。

このことから、中枢神経系統以外から発見されたPrPScは、長期の病気の期間と関連性があるものと思われる。

以上がthe New England Journal of Medicineの記事であるが、文中の、「ソディウム・リンタングステン酸でPrPScを沈殿させる方法(sodium phosphotungstic acid precipitation )」は、2001年7月に、イギリス・ロンドンのImperial College School of Medicineで開発された検査方法であり、また、「筋肉中にもプリオン」との説は、2002年の3月に、ノーベル賞学者プルジナー教授(Stanley B. Prusiner) が、「牛の筋肉にもプリオン」との警告を発しており、格別新しい説でもないが、今回の研究成果は、そのプルジナー教授の説を、sodium phosphotungstic acid precipitation 法によって、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病についても、適用しうることを実証したことに意義がある。

上記論文に関する各国のニュース

New risk of CJD transmission revealed
Prion researcher awarded
Pinning down prion pathogenesis
Scientists Closer to Understanding Prion Disease
Muscle ‘could pose tiny CJD risk’
Brain disease could be ‘catching’
New test may help diagnose CJD
Study suggests brain disease could be “catching”
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2003/10/23 Thursday

「新型BSE」を強調する日本の学者の怪

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:32:24

  
2003年10月23日

今回茨城で発見されたBSEは、国立感染症研究所によってプリオン遺伝子に変異は認められないと判断されたにもかかわらず、やれ、これと同種のBSEが、イタリア、フランスで発表されたなどと、ことさら「新型BSE」であることを強調する日本発の学者情報が飛び交っているのは、どうしたことだろう。

大体、外電記事を見ても、フランス発の新型BSE情報などはないのに、http://www.japantoday.com/e/?content=news&cat=1&id=275522

http://www.japantoday.com/e/?content=news&cat=8&id=276617 や
http://www.asahi.com/english/nation/TKY200310080164.html
http://www.hpj.com/dtnnewstable.cfm?type=story&sid=10173

のように、日本の学者が、学界情報として、イタリア、フランス新型BSE発生説を、強調しているのである。

ここには、肉骨粉直接投与説のみに固執する、日本の学者の頑迷さが見え隠れする。

このサイトでも、かねてから言っているように、この問題は、BARB(Born After the Real Ban )問題といわれるものであり、別に、異型のプリオンだからといった問題ではない、BSE一般の問題なのである。

だから、BARB問題に真正面に向き合うためには、肉骨粉直接投与による単独原因説を否定してかからねば解けないパズルなのである。

1996年8月1日の肉骨粉等牛由来飼料全面使用禁止後も、BSEの牛がでているのは、何を原因にしてのことかが、科学的に証明されていないということを、学者自身が認めなければ解けないパズルなのだ。

それには、牧草感染説、スクレイピー感染説、母子感染説、広大な規模での交差汚染説などを含めた、原因の総合的な見直しが必要な段階に入っているということだ。(参考-The Horn Committee A Report on the Review of the Origin of BSE)

ちなみに、
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/fs/food-disease/news/oct1603bse.html
での、ミネソタ大学 Will Hueston氏の見解によれば、
今回の日本の若齢牛BSE発生は、多くの人々が認識している以上に、多くの発生があることを意味しているという。

なぜなら、この牛は、発症にいたるまでに、BSE発生原因物質に対して、かなり大規模の曝露歴があったとみなさなければならないからである。

若齢牛BSE発生はまれな例であり、このことは、この牛が、相当大量のBSE発生原因物質に曝露されていたとみなさなければならない。

Hueston氏のいうに、曝露の度合いが大きければ大きいほど、発症までの潜伏期間は短くなるという。

Hueston氏は、1990年代にBSE発症原因物質は、静かに日本に蓄積され、その間に、多様な交差汚染が進んでいったと見るべきであるとしている。

そこで、核心的な疑問となるのは、BSE発症原因物質の曝露の度合いであるという。

すなわち、どの程度の数の牛が、どの程度の期間にわたって、いかなるBSE発症原因物質に曝露されていたか、ということであるという。

また、Hueston氏は、今回の日本の若齢牛BSEが、これまでのものとはちがうタイプの異常プリオンを持っていたとの日本の農林水産省の見解に対して、「ある病理学者と話したところでは、この異型プリオンの発見は、単に、BSE初期のケースであることを示すのみであるとの考えであった」という。

すなわち、BSE初期の無発症状態の下でのプリオンは、発症状態でのプリオンのタイプとは異なるということであるという。

このように、今回の日本の若齢牛BSE発生問題は、単なる「新しいタイブのプリオンによるBSE発生」として、とらえてしまっては、問題の本質を、いたずらにぼかしてしまうことになる。

今必要なのは、Will Hueston氏が指摘するように、BSE発症原因物質への曝露量が多く、曝露歴が長かったことで、BSE潜伏期間が短くなったという仮説にたって、「どの程度の数の牛が、どの程度の期間にわたって、いかなるBSE発症原因物質に曝露されていたか」を、検証する時期にさしかかっているということであろう。

その意味では、2003年10月8日の朝日新聞の社説での「パニックになる必要はない」との趣旨の一連の記事内容は、フェイル・セーフの観点 からいえば、物事の本質を見誤った認識といえる。
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2003/10/07 Tuesday

いよいよ、日本のBSEにも、BARB問題到来。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:31:18

  
2003年10月07日

10月6日に確認された8頭目のBSE感染牛は、これまでの7頭よりも格段に若く、感染ルートが遮断された後に生まれた牛だったということで、問題視されている。

これまで、BSEの潜伏期間は「2〜8年」とされ、2歳未満の感染例が出ることは極めてまれで、今回の結果は、全く新しい型のBSEである可能性があるほか、新たな感染ルートの可能性も示しているとのことだ。

この問題は、かねてこのサイトでも、何度となく問題視してきた、BARB(Born After the Real Ban )問題というものだ。

すなわち、1996年8月1日の肉骨粉等牛由来飼料全面使用禁止後も、BSEの牛がでているのは、何を原因にしてのことかが、科学的に証明されていないということだ。

2002年2月、北アイルランドで、生後31カ月の牛が、BSEの発症をし、ウェールズでは生後29カ月の牛がBSEの発症をした。

この二つの事実で、英国の公式筋では、生後30カ月未満の牛について、BSE検査の必要性如何について、見直しをした。

以下のサイトは、これまで、私のサイトで、BARB問題に付いて触れたページである。

ようやくにして、日本でも、BARB問題に付いての関心が、今回のBSE発生を機に、生じたことはうれしいが、それにしても、今日の朝刊などを見ると、新聞記者諸君の不勉強ぶりばかりが気になる。

追記-2003/10/08

日本の新型BSE発生が、カナダ・アメリカ間の若齢生体牛輸出再開に影響。

今回、日本で、生後23カ月という若い牛が国内8例目の牛海綿状脳症(BSE)の感染牛と確認されたことに付いて、アメリカUSDAが深い関心を寄せている。

というのは、アメリカは、カナダから、生後30ヶ月以下の若齢生体牛について、輸入の再開をしようとしているが、もし、今回の日本での若齢BSE牛の発見で、アメリカからの輸入牛肉のなかに、カナダからの若齢BSE牛の肉も含まれるのではとの懸念を、日本は持つのではないかと、憂慮している。

まあ、とんだ、玉突き衝突的な関係だが、日本の全頭検査が、アメリカのBSE検査の整備を促すことに、結果的になっている構図といえる。

ちなみに、今年8月には、アメリカ・メキシコは、カナダからの生後30ヶ月以下の牛からとった骨なしミートカットの輸入再開にふみきっている。

上記については、
http://www.wisconsinagconnection.com/story-national.cfm?Id=1090&yr=2003  
http://www.canada.com/calgary/calgaryherald/info/business/story.html?id=F1460769-8451-4388-8BEA-D50BBA665FF2 
http://www.hpj.com/testnewstable.cfm?type=story&sid=10024
http://www.canada.com/edmonton/edmontonjournal/story.asp?id=DFA87FA4-A9F4-4CD1-BBCC-94510B273CD1
http://www.producer.com/articles/20031009/news/20031009news02.html

http://www.canyonnews.com/10-9%20Cattle.htm
を参照

これまでに、当サイトで提言した、BARB問題に関するサイト

2002年10月30日「毎日新聞10月25日付け記事「BSE全頭検査を見直せ」に付いて意見」
2002年05月10日 「英国で、狂牛病対策ルールの一部見直しへ」
2002年02月10日 「世界の狂牛病問題は、すでに、新たな展開をみせている」

BARB(’born after the real ban’)に関する参考リンク集

最重要文献
BARB BSE cases in the UK since 1 August 1996
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out237_en.pdf
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out353_en.pdf

日本語文献
EU:科学運営委員会、BSEの起源等についての新たな意見
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/01120601.htm
BSE疫学検討チーム報告書の概要
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20030930press_3b.pdf
疑問が残るBSEの撲滅
http://www.maff.go.jp/kaigai/2002/20020913eu24b.htm
イギリス:新たなBSEの発見、コントロール緩和の希望を打ち砕く
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/020208.htm
EU:BSE問題の最近の展開、バーン委員が報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02022201.htm
アイルランド:肉骨粉禁止後生まれの牛にBSE
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02050601.htm
EU:BSEをめぐる最近情勢、バーン委員が報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02070901.htm

英語文献
BARB cases
http://pub70.ezboard.com/fwolftracksproductionsfrm2.showMessage?topicID=224.topic
Opinion on the six BARB BSE cases in the UK since1August1996
http://bse.airtime.co.uk/PA1212.html  
http://www.adsa.org/newsletter/02janadsa_today.htm
A BSE Case Born in March,1997 
http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/animal-health/03_1997.pdf http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/animal-health/barbq%2Ba.pdf
BARB Cases 
http://www.seac.gov.uk/minutes/final77.pdf
BSE LOOPHOLE BEING EXPLOITED, SAYS EXPERT
http://bse.airtime.co.uk/PA1212.html
BSE has been diagnosed in a cow born in December 1996 
http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/575.html
MORE BABs/BSE has been diagnosed in a cow born in November 1997 and 2 in 1998 http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/430.html
BSE: What’s new 
http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/whats-new.html
Custom Feeding Contracts - What’s Different Since BSE?  
http://www.gov.on.ca/OMAFRA/english/busdev/facts/info_customfdg.htm
FSNET DECEMBER 5, 2001  
http://131.104.232.9/fsnet/2001/12-2001/fsnet_december_5-2.htm 
Age of Onset Distribution 
http://www.pubs.royalsoc.ac.uk/proc_bio/appendices/arnold2.pdf
Epidemiological status of BSE in France ・update on born after the ban・cases http://www.eurosurveillance.org/em/v05n09/0509-224.asp
BSE Epidemic 
http://www.seac.gov.uk/papers/seac77_4.pdf
MBM contaminated feed ingredient fears  
http://www.organicconsumers.org/madcow/mbm3102.cfm
FSNET DECEMBER 14, 2000 
http://131.104.232.9/fsnet/2000/12-2000/fs-12-14-00-01.txt
Invasive Species 
http://biology.usgs.gov/cro/WNV8-14-02.htm
Over Thirty Month (OTM) Rule Review June 2003 Consultation  
http://www.foodcomm.org.uk/otms.pdf
A pandemic waiting to strike 
http://www.smh.com.au/articles/2002/08/19/1029114077060.html
The European Commission Issues an opinion on the Evolution of the Epidemic of BSE in Great Britain  
http://www.adsa.org/newsletter/decadsa_today.htm
monthly report April 2003 
http://www.which.net/campaigns/food/meatsafety/misc/bserep0403.pdf
PRIONS: HEALTH SCARE AND BIOLOGICAL CHALLENGE 
http://www.unizh.ch/pathol/neuropathologie/pdf/AguzziA_et_al_2001_Prions_health_scare___NatReviews2_118-126.pdf
Other SSC Opinions related to BSE risk in individual Member States 
http://europa.eu.int/comm/food/fs/bse/scientific_advice04_en.html
EU Commission says lift ‘mad cow’ ban on Britain 
http://www.cnn.com/WORLD/europe/9806/10/eu.madcow/
BSE ’still reaching Britain in feed’
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/1839504.stm

ドイツ語ほか文献
BSE durch Futter ・ertragen
http://www.konsument.at/seiten/p2445.htm
EEB: Aclaraciones sobre el origen de la enfermedad
http://www.frisona.com/web/tecnologia/articulos/art16.htm
368
  

2003/08/07 Thursday

日本への対応をめぐって対立深まるカナダの牛肉関係機関

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:27:40

   
2003年08月07日

http://www.producer.com/articles/20030731/news/20030731news16.html によれば、カナダのBSE対策の初期に、日本からの調査依頼に対して、冷淡な態度をとったことが、カナダの牛肉の安全性に対する日本の疑念を増幅させ、ひいては、アメリカを始めとしたカナダからの牛肉輸入解禁を遅らせているのではないのかとの、カナダ牛肉輸出連合からの非難に対して、カナダ食品検査機関 (CFIA)が、そんなことはないと、反論するなど、両者、泥仕合を展開していることをつたえている。

非難をしているのは、カナダ牛肉輸出連合のTed Haney氏で、氏は、7月中旬に下院議会の農業委員会で、「カナダは、日本の問題の取り扱いに失敗した。」と述べた。

さらに氏は、「本来、政府、CFIA,業界は、アメリカに対して、アメリカがカナダ牛肉の輸入解禁をするための、懸命な説得活動を行うべきであった。」とも述べた。

これに対して、CFIAのRichard Fadden氏は、こう反論する。

「Ted Haney氏は、物事の一部だけ話しているのであり、われわれは、日本側と常に接触している。そして、そこには、何の問題もない。」という。

これに対して、Ted Haney氏は、「問題は、日本からの再三の技術調査団のカナダ派遣要請に対して、カナダ側は、その要請を無視したばかりでなく、冷たくあしらった。」という。

しかし、CFIAは、「そのときにはすでにアメリカからの派遣人員も到着していたし、それ以外の国の調査団をもホストするには忙しすぎた。」と弁明する。

実際、日本側は、6月上旬にも技術者派遣の要請をカナダ側にしたが実現しなかったばかりでなく、その後の国際専門家チームのメンバーにも、日本は含まれなかった。

その後、遅ればせながら、日本の技術チームがカナダにきたり、また、カナダのCFIA主任獣医Brian Evans氏が日本を訪問したり、カナダのJean Chr醇Ptien 首相と日本の小泉総理との電話会談があったり、日本の農林水産大臣が、オタワを訪問したりという両国間の行き来はあった。

Ted Haney氏は、「日本がカナダの牛肉の安全性に対して、態度をかたくなにし始め、原産国証明の必要性をカナダ・アメリカ両国につきつける最初の3.5週間の間、カナダは、なんら日本との調整に関与しなかった。そして、その間、日本は、二回も、カナダへの技術チーム派遣をカナダ側に要請したが、その二回ともカナダ側から断られた。」という。

Ted Haney氏が言うに、日本は、蚊帳の外に置かされ続けたために、政治的な抵抗を,この時期、示し始めたのだという。

それゆえ、日本は、「もし、アメリカの牛肉にカナダの牛肉が混入していることが証明できない限り、9月1日からは、日本での800万ドルに及ぶアメリカの牛肉市場は、なくなるものと思われる。」との言明に踏み切ったのである。

Ted Haney氏は、「カナダが、あまりにも、アメリカのご機嫌取りに走り、アメリカ市場のみが、カナダの輸出牛肉の鍵を握っていると、ここ何十年も思い込んでいることに、日本は、不満をつのらせている。」のだという。

Ted Haney氏は、さらにこうも言う。「もし、われわれが、情報を共有し、協同行動をとり、隣国の友人とともにことにあたり、解決策を得、輸出解禁にいたれば、まるで、親がもにくっついていくコガモのように、だれしも、それに同調していっただろうに。」

これに対して、CFIAのRichard Fadden氏は、こう反論する。
「カナダが何をしようとしまいと、それで日本側の態度が変わったとは思えない。ちなみに、この1.2.3週間の間で、日本の態度に変わった点が、なんかありましたっけ?何もなかったじゃないですか。」

カナダ農業連合もまた、カナダBSE発生の初期段階で、その対策にあたり日本を含めなかったことを批判する書簡を、オタワに対し提出することを、このたび決めた。
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2003/07/21 Monday

「カナダのBSE危機は長引く」との農業エコノミストの見解

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:27:14

   
2003年07月21日

http://www.canoe.ca/CNEWS/Canada/2003/07/20/141192-cp.html の仮訳

農業エコノミストの見解によれば、当初は数日か、長くて数週間で終わると思われたカナダのBSE危機は、このままで行くと、さらに長引くことになり、カナダの多くの畜産農家は、破産に追い込まれるであろうとしている。

カナダの政治家の間には、アメリカや他の国が早期に禁輸措置を解くであろうとの楽観論を述べる向きもあるが、 Lethbridge大学教授のKurt Klein 氏によれば、問題解決には多くの難題があり、そんなことはありえないとする。

このような悲観論は、農家の間にも広がりつつある。

Manitoba畜産生産組合の専務であるKeith Robertsonによれば、「農家は、当初の2-3週間は、禁輸措置は必ず解かれるものだとの確信を持っていた。しかし、それから9週間もたった今では、万策尽き果てたという状態だ。」と、述べている。

5月下旬に禁輸措置がとられた後、カナダの政治家は、アメリカに対して、禁輸措置を解くよう、激しくロビー活動で働きかけた。

しかし、アメリカは、日本からの「カナダへの禁輸措置を解けば、日本はアメリカからの牛肉輸入の禁輸措置に踏み切る。」との圧力で、アメリカ側の態度は硬直してしまった。
Keith Robertson氏は「アメリカにとって、日本の牛肉市場は、財政的にも大切なものであり、カナダへの禁輸措置解禁で、これらの日本市場が危うくなるようなことは避けたいとの思惑がある。」という。

もう一つの禁輸解禁を妨げる要因として、多くの国は、最初のBSE発生後、7年間を経て、その後も発生しないのでないと、禁輸解禁には踏み切れないという考えを持っていることにある。

そのことは、カナダ自身が使っているガイドラインにも、ある。

カナダ食品検査機構のClaude Lavigne氏によれば、「現在完全にBSEフリーといえるのは、7カ国にすぎない。」という。

カナダは、オーストリア、ギリシャ同様、一つのBSE発生ケースのある国とされている。

カナダは世界の国々、特にアメリカ・日本両国に対して、カナダの牛肉の安全性を確保するために完璧な手段をとることを保障しようとしている。

1990年代に日本に客員教授でいたKlein氏によれば、「日本は、これまで、外国からの食料輸入に付いて、慎重な態度をとりつづけてきた。だから、このBSE 問題のようなものが発生すれば、それをいい口実にして、禁輸措置をつづけがちである。それに加え、カナダ側にとっても、日本にBSEが発生してからの1- 2年間というもの、日本からの牛肉輸入に乗り気でなかった。」という。

日本のBSE発生時、カナダは、日本からの生体牛の禁輸はしたが、20キログラム以下のカットビーフの禁輸措置はとらなかった。

カナダの農家は、カナダの農家が野垂れ死にする前に、これら国際間の紛争を解決するよう希望している。

BSE発生前、カナダは、毎週7万頭の牛をと畜していたが、BSE発生後には、その半分の4万頭にまでおちこんでしまっている。
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2003/07/13 Sunday

なぜ、アメリカUSDAは、BSE簡易検査(Rapid Test)の採用に乗り気でないのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:26:47

  
2003年07月13日

http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=20030708-044102-7940r
によると、アメリカの牛肉がBSEフリーであるかどうかを立証するには、あまりにもスクリーニングの数が少なすぎると United Press International は報じている。

最近のカナダのBSE報告では、アメリカでのBSEの可能性について言及されたが、この可能性をアメリカ側が否定するためには、BSE簡易検査(Rapid Test)の早急な実施によるしか方法がないとしている。

このBSE簡易検査によれば、2-3時間で結果が出てくるので、何百万頭の牛のスクリーニングが可能となり、結果、アメリカの牛肉の安全性も、確保されうるとしている。

現在のimmunohistochemistry testは、結果が出るまでに8日を要する。

昨年、USDAが実施したスクリーニング数は、三千万頭のと畜数のうち、わずかに、二万頭に過ぎなかった。

これは、BSE発生如何を突き止めるには、ありに少なすぎるスクリーニング数であると、識者は指摘している。

USDAがBSE簡易検査の採用をためらっているのは、一頭でも、BSE陽性または擬似陽性の牛が発見された場合の、あまりの財政的負担の大きさにあるとしている。

ある獣医は、「もし、五百万頭の牛を検査したなら、必ずBSEの牛は出てくるだろう。だから、USDAは、BSE簡易検査の採用をためらっているのだ。」と断言する。

また、この識者は「ダウナー牛についても、健全な牛と同様のスクリーニング検査をすべきである。」と、主張している。

現在、アメリカには、昨年、二十万頭のダウナー牛がいるが、そのうち、スクリーニング検査にかけられたのは、わずか、二万頭に過ぎなかった。

病気の牛についても、スクリーニング検査される数は、ヨーロッパに比し、著しく少ない。

カナダとアメリカとの間には、ここ数年、百五十万頭の生体牛が両国を行き来し、百二十万メートルトンの牛肉が、カナダからアメリカに入ってきている。

カナダでのBSE発生を契機に、もし、このアメリカ・カナダ両国で簡易検査採用を決めたならば、その効果は絶大だろう。
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2003/06/16 Monday

もし、アメリカにBSEが発生したら?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:24:48

   
2003年06月16日

http://www.kansascity.com/mld/kansascitystar/news/opinion/6075152.htm より

上記サイトでは、カナダでのBSE発生によるアメリカ市場における影響は、一時的には、生体牛の先物市場に影響はあったものの、次の日には、市況は回復したように、目だった影響は今のところ見られないが、これは、大いにありうることだが、カナダではなくアメリカでBSEが発生したとしたなら、アメリカの消費者は、どのような反応を見せるのであろうかと、いっている。

そして、アメリカの消費者にとって、BSE発生は新たなリスクある事態であり、たとえ、消費者教育の努力がなされたとしても、消費者の不安は増大するのではなかろうかとの見方を示している。

さらに、輸出市場に与える影響は甚大で、このような事態となれば、アメリカは、直ちに、輸出市場のマーケットシェアの15パーセントを失うであろうとしている。

アメリカにおいてBSEはないとしながらも、人間の健康に関心を持つ一部のグループでは、これまでにも、ハンバーガーを中心とした脳や脊髄のような神経組織を含む製品に付いてのリスクを指摘しているところから、いざ、アメリカでのBSE発生ともなれば、そのような製品の内外のバイヤーに、その安全性を保証することはむづかしくなるとしている。

おそらく、ファストフードなどにおける神経組織の使用は、健康上の理由としてよりも、経済上の理由として、禁止されるであろうとしている。

なぜなら、この使用禁止によって、消費者の信頼を取り戻し、ミート産業のBSE対策コストを低減させうるからだとしている。

また、もう一つの手段として、牛の識別システムの導入がなされる必要があり、このトレーサビリティー・システムの導入こそ、消費者と輸出産業の信頼を回復しうる手段となりうるとしている。

このような状況にいたっては、日本やドイツがBSE発見の際に当初とったような、根拠のない安全宣言をすることはおろかなことであるとしている。

この数週間の間にアメリカにおいても、BSEが発見される可能性は、大いにあるとして、その場合は、牛肉に対する消費者信頼回復に資する追加的な措置がとられるであろうとしている。

上記サイトは、ハンバーガーの原材料であるMRM(mechanically recovered meat )(機械で死体からそぎとった肉)の危険性に付いて、アメリカは、もっと明らかにすべきとのメッセージを言外に伝えている。
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2002/10/30 Wednesday

毎日新聞10月25日付け記事「BSE全頭検査を見直せ』に付いて意見

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:21:36

  
2002年10月30日

毎日新聞10月25日付け記事「BSE全頭検査を見直せ」(小島正美(生活家庭部)さんの記事)
(URL http://www.mainichi.co.jp/eye/kishanome/200210/25.html 参照)
に付いて、下記のとおりの意見を送付しました。

本日の「BSE検査体制を見直せ」(小島正美(生活家庭部)氏署名記事)を拝見させていただきました。

文中、若干気になる点がありましたので、失礼をも省みず、指摘させていただきます。

文中「英国では生後30ヶ月以上の牛は食用を禁止し」ていること、また「昨年欧州諸国で(中略)このうち、もっとも若い牛でさえ生後42ヶ月だった。」の点です。

おっしゃるように昨年に限定しての話であれば、この点については正しいのですが、今年に入ってから、この点につきましては、新しい事実が続出し、専門家の間では、これまでの「生後30ヶ月以上の牛の食用禁止」のルール(Over Thirty Month Scheme (OTMS))を見直す動きにあります。

どうして、そのような事態になったのかといいますと、二つの理由があります。

第一は、BARB(Born After the Real Ban )問題というものです。

すなわち、1996年8月1日の肉骨粉等牛由来飼料全面使用禁止後も、BSEの牛がでているのは、何を原因にしてのことかが、科学的に証明されていないということです。

SSCは、昨年11月29日の会合で、BARB(Born After the Real Ban )問題についての報告「The six BARB BSE cases in the UK since 1 August 1996 」を発表しました。

それによりますと、SSCは、これまでの原因とされてきたもの以外に、母子感染や牧草汚染の可能性を含めた、新たな汚染の原因があるのではないのか、もし、このBARBの牛が55頭以上でてきた場合には、これまでのスキームをみなおさなければならない、との見解をのべています。

第二は、今年2月、北アイルランドで、生後31カ月の牛が、BSEの発症をし、ウェールズでは生後29カ月の牛がBSEの発症をしました。

この二つの事実で、英国の公式筋では、生後30カ月未満の牛について、BSE検査の必要性如何について、検討をはじめました。

そして、2003年の初頭までに、このルールを見直すことにしました。、http://www.foodstandards.gov.uk/news/newsarchive/72117参照。

以上のように、BARB(Born After the Real Ban )問題について、科学的な結論がられていない状況のもとで、新たな30ヶ月前後の牛のBSE発症となり、Over Thirty Month Scheme (OTMS)ルールの見直しという状況になっていることを、ご理解いただきたく、あつかましくも筆を取りました。
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2002/07/02 Tuesday

「ワールドカップ帰りのサッカーファンは、家畜に近づくな。」って、本当?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:17:31

   
2002年07月02日

私の狂牛病リンクを相互リンクしていただいている草壁さんの情報によると、南ドイツ新聞では、「農場関係者は、ワールドカップ帰りのサッカーファンに対し、一週間の間は、家畜に近づくなといっている。」との記事を載せている。

これによると
「農場経営者は、ワールドカップ・ファンから、動物を守るべし」との題で、次のように書いている。

「ドイツの農場経営者は、韓国から自宅に帰ってきたワールドカップ・ファンを、一週間の間は、家畜に近寄らせてはならない。

このアドバイスは、バイエルンの農場経営者組合が、農家に与えたものである。

農場経営者組合は、ソウル市南部で発生している口てい疫が、ドイツ国内に持ち込まれることを恐れている。

このレポートの中で、農場経営者団体は、これらの家畜伝染病のウィルスが、衣服などにも付着してくることもありうることに、注意をはらっている。狂牛病も、この例外ではない。」としている。

いやはや、大変なことですね。
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