Sasayama’s Weblog


2005/07/07 Thursday

「H5N1感染の渡り鳥が、この秋、世界に感染拡大させる恐れあり」との研究

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:11:00


2005/07/07(Thu)

nullこの研究をしたのが、香港大學微生物學科と、中國科學院微生物研究所のそれぞれの研究チームで、香港大學微生物學科の研究がネイチャーに、中國科學院微生物研究所の研究がサイエンスに、このほど、それぞれ発表された。

香港大學研究チームの研究では、青海湖の3種の野鳥から採取されたH5N1遺伝子の97が、タイやヴェトナムでヒト感染をおこしたH5N1とは明らかに違うものであることがわかったとし、このことからして、多分、青海湖でのウイルスは、ひとつの進入経路から入ってきたものと判断され、おそらく、中国南部の家禽ウイルスからはいってきたものとしている。

そして、この青海湖で野鳥同士感染しあい、湖が、ひとつのブリーディング・センターと化したとしている。

しかし、その感染も青海湖で、燃え尽きたとは考えられないので、今後、今年9月に渡り鳥が、ミャンマーやインドに帰還する際、ウイルスは、拡大する危険性があるとしている。

また、家禽に入り込んでしまったウイルスの監視は、必要だとしている。

また、中国科学院研究チームの研究では、野鳥への感染によって見られる症状は、震え、痙攣などであって、渡り鳥の脳や膵臓にダメージを与えているとしている。

この研究チームでは、野鳥から4つのウイルスを取り出し分析した結果、この4つのウイルスは、2004年に香港で見つかったハヤブサから検出されたウイルス(A/Pf/HK/D0028L/04)と非常によく似ていたとしている。

また、ウイルスの毒性テストを、8羽の鶏と8匹のマウスを使って検証してみてところ、20時間以内に、すべての鶏は、死亡し、4日以内に、すべてのマウスは、死亡したとしている。

同様のテストを、昨年中国のアヒルから取ったウイルスでテストしたところ、致死性は、これよりも劣っていたという。

しかし、これら二つの研究では、現在青海湖にいる野鳥が、健康であるのかどうかについては、言及していない。

参照
「Wild birds could spread H5N1 virus beyond Asia, reports say」
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/avianflu/news/july0605avian.html
「中國青海湖大量候鳥死於禽流感」
http://china.donga.com/big/srv/service.php3?bicode=020000&biid=2005070746208
「Deadly Bird Flu Virus May Spread in Birds, Endanger People, Scientists Warn」
http://www.theconservativevoice.com/ap/article.html?mi=D8B63VR80&apc=9009

追記 2005/07/11 
7月7日に「Nature」に中国青海省でのH5N1流行に関してウイルス学的研究の論文を発表した香港大学のウイルス学者が、中国当局から研究の妨害を受けていると雑誌「Scientist」編集部へ訴えているという。
http://www.the-scientist.com/news/20050706/01参照

この記事「Nature’s article on bird flu questioned」http://news.xinhuanet.com/english/2005-07/08/content_3194462.htmでは、香港の研究者たちが、青海湖でのウイルスのサンプルを所持しているとは、かいていないとして、この研究の妥当性に疑義を投げかけている。

サイエンス発表の研究は是認され、ネイチャー発表の研究のみが、中国当局からお咎めを受けたのは、おそらく、青海湖のH5N1遺伝子型に触れた面があったからなのであろう。

これについては、Recombinomicsなどでは、サイエンスの記事をもとに、青海湖のH5N1の遺伝子にタイ・ヴェトナムと同じ哺乳類多型が見つかったことで、ヒト感染の可能性の大きさを指摘している。

一方、香港大學研究チームの研究では、青海湖の3種の野鳥から採取されたH5N1遺伝子の97が、タイやヴェトナムでヒト感染をおこしたH5N1とは明らかに違うものであることがわかったとしている。

このことから、中国当局に不都合なのは、「タイ・ヴェトナムと同じウィルス説」よりも、「タイ・ヴェトナムとは異なるウィルス説」のほうだったといえる。

気になるのは、これは、Recombinomicsでも触れているのだが、今回の二つの研究では、二つとも、この青海湖のH5N1が、アマンタジン耐性を持っていたかどうかについて、触れていなかったということだ。

もしかして、香港の研究は、「タイ・ヴェトナムとは異なるウィルス」ということで、言外に、アマンタジン耐性を持っていたといったのではないのだろうか。

このことは、中国当局にとっては、かなり都合の悪い話になるであろう。

Recombinomics では、サイエンスの記事を元に、青海湖で見つかったH5N1は、四種類あって、 BhGoose/QH/1/05, BhGoose/QH/2/05, BhGull/QH/1/05, GbhGull/QH/1/05 であり、PB蛋白の E627K.第一エクソンより下流のV649Iに変異が見られたとしている。

このことは、2004年に香港でハヤブサから発見されたPf/HK/D0028/04のPB蛋白 G1971A と一致しているとされている。

H5N1 におけるこれらと同じ多型は、きわめてまれで、そのほかには、A/chicken/Guangdong/191/04, A/black headed gull/HK/12.1/2003, A/Ck/HK/WF157/2003, A/chicken/Hong Kong/31.4/02, A/chicken/Hong Kong/409.1/02, A/chicken/Hong Kong/96.1/02, A/duck/Guangdong/22/2002, A/duck/Fujian/17/2001 があるだけとされている。

ネイチャーでの香港大學研究チームの研究にたてば、今回の青海湖のH5N1は、中国南部の家禽からきたものとされ、サイエンスの中国科学院研究チームの研究では香港主因説となるようにみえる。

中国当局がこれらの国際的疑心暗鬼を払拭できるためには、まず、青海湖のH5N1の遺伝子配列を公開することから始まるものと思われる。

http://www.recombinomics.com/News/07100501/Qinghai_V649I_Swine.html参照

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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