Sasayama’s Weblog


2005/04/22 Friday

全農秋田の架空取引事件。これじゃ、「夜店のサクラ」ですね。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:59:40

2005/04/22(Fri)

nullまたしても、秋田の恥をさらすようで、心が痛むが、今回の全農秋田の子会社などとの架空取引事件(下記サイト参照)は、架空取引によって、実質、自主米の価格指標となる米価格形成センターの取引価格を高めに設定することによって、以後の実需筋との自主米価格設定を有利にするためのものだったようだ。

いわば、売れない夜店の屋台で、サクラ仲間が、高値で買ってあげては、それを寄せ餌にして集まってくる純粋のお客さんも、高値で買う羽目となってしまう仕掛け。

そもそも、この全農秋田というのは、もともとは、三段階に分かれていた系統組織が、農林水産省の応援を得て、それまでの中央組織の全農と県の経済連とが合併してできたマンモス組織。

合併のマイナス面が現れた形だろう。

農林水産省としては、補助金は踏んだくられる(国の「米流通システム改革促進対策事業」の助成金約1,152万円で、これは、本来は、予期せぬ過剰米発生に対し円滑な需給調整をはかるのが主旨)は、まさに、飼い犬に手をかまれたとは、このことなのだろう。

自主米の価格形成スキームには、まだまだ、未成熟なところがあることは、私も、その発足当初から先物市場の導入などを指摘してきたところである。

子会社が入札参加できるためにおこる架空取引以外にも、いろいろ、問題をはらんでいる価格形成スキームだ。

この際、徹底的な膿を出されんことを、農林水産省に望んでおきたい。

それにしても、全農の種市一正現会長は、前の木下順一会長時代に組貿のカナダ産豚肉の偽装疑惑、パールライスの不当表示など、グループ会社が関連した不祥事が相次いだあとに登場したチャンピオンだったはずなのだが、またしても、このような事件に遭遇とは、ついていないですね。

参考
全農あきたが行った架空取引の仕組み

1.2004年6月22日の米価格形成センターの入札で、全農あきたが、「あきたこまち」「めんこいな」「ひとめぼれ」の3銘柄計8294・4トンの上場を予定。

2.売れ残りの発生を恐れた全農あきたが、パールライス秋田と県内の民間卸売業者である 秋田食糧卸販売(株)に対し、後に買い戻すことを条件に応札するよう依頼。

3.2業者が、約3000トンを市場価格を上回る約8億8000万円で落札。

4.落札したコメは実際には2業者に納入されず、2業者は、支払期日までに、代金を全農秋田に支払い。

5.その後、全農あきたは落札額に相当する金額で全量を、2業者から買い戻した。

6.その際、 秋田食糧卸販売(株)は前月落札分の151・2トンも買い取るよう要求し、全農あきたはこれを受け入れた。

7.買い戻しの際、全農が全国でプールしている「共計勘定」(共同計算勘定)から手数料として813万5000円が不正に支出された。
(2005/05/31追記 全農あきたは16年3月、秋田県内JAから委託された15年産米1050トンを県外卸売業者に販売。同業者から「売れない分を返したい」との要請があり、同年6月に業者在庫分の593トンを買い戻した。その際、代金の1億9900万円は共計勘定から流用した。買い戻したコメは17年3月までに別の卸売業者に販売し、その代金で共計勘定から流用した金額を穴埋めした)

というもの。

この中の共同計算の標準化・透明化、市場評価や品質・契約区分による共同計算の細分化、透明性の確保は、JA全国大会での最重点事項であったはずなのだが、とんだことになってしまった。

注–共同計算勘定とは、農家から農協を通して集荷されたコメを、全農が県単位で年産ごとに行う会計方式。卸売業者への売買代金や手数料などを共同で精算する。県域共計は、全農全国本部の監査対象外となっている。

2005/05/11 追記「「全農あきた」架空取引問題についての石原農林水産事務次官の見解は正論」

全農あきたの架空コメ取引問題については、ここにきて、全農全国本部とパール秋田が、コメ横流しにかかわったとされる全農あきたの本部長(62)ら計3人の告訴状(背任容疑)を県警に提出した

というのだが、どうも、これは、筋があわない告訴だ。

いわば、今回の問題を、個人の犯罪に矮小化してしまおうとの狙いなのだろうが、どう見ても、これは、組織としての犯罪であるとしか思えない。

それとも、まだ、「全農秋田」ではなく、「秋田経済連」だとの感覚が強いのだろうか。

ましてや、寺田秋田県知事が、この問題について、農林水産省に陳情に赴く
http://www.pref.akita.jp/tiji/17year/050509.html
などというのは、常軌を逸した行動だと思う。

県産米の価格検証と、価格トレースは、秋田県政の責任でもあるという意味では、一蓮托生である立場だ。

いみじくも、石原農林水産事務次官は、5月9日の記者会見で、次のように言っている。

「それで、一番大事なことは、今回、全農の方があくまで個人の問題ということで考えておられるようでございますけれども、我々はこの全農の問題につきましては、組織全体の問題として受け止めることが重要なのではないかというふうに考えているところでございまして、我が方はご案内のとおり、今一斉点検をやっているところでございます。こういう一斉点検等の結果、正すべき所があれば、我が方からもしかるべき告発等を行っていきたいというふうに考えているところでございます。」

まあ、これが、正論だろう。

追記 2005/05/13

上記問題につき、新事実が判明した。

全農あきたが、パールライス秋田と県内の民間卸売業者 秋田食糧卸販売(株)に、架空取引を依頼し、パールライス秋田と 秋田食糧卸販売(株)は、昨年5月と6月の入札取引で、三千トンを落札。
そのときの支払期限にあわせ、全農あきたは、数回に分けて、パールライス秋田には、五億六千百万円、 秋田食糧卸販売(株)には、三億二千万円を振り込んだ。
その後、パールライス秋田は、8月、2回に分けて、 秋田食糧卸販売(株)は、6〜8月の7回に分けて、その振り込まれた代金をもとにして、落札代金分をアグリネットサービス経由で、払い込んだ。

また、架空取引によって生じた指標価格の上昇現象は、以下のとおりである。
6月の指標価格(60キロ当り平均) 架空取引が行われなかった場合の価格想定
あきたこまち1万7520円、1万7294円、架空取引による底上げ分+226円
ひとめぼれ1万6804円、1万5764円、架空取引による底上げ分+1040円
めんこいな1万6166円、1万5415円、架空取引による底上げ分+751円

米穀データバンクの試算によると、
値上がりした「あきたこまち」の販売量 3万3016トン。 不正がなかった場合の指標価格(60キロ当たり、農水省試算)よりも226円値上がりで、プラス約1億2400万円
値上がりした「ひとめぼれ」の販売量5437トン。 不正がなかった場合の指標価格(60キロ当たり、農水省試算)よりも1040円値上がりで、プラス約9400万円
値上がりした「めんこいな」の販売量1937トン。 不正がなかった場合の指標価格(60キロ当たり、農水省試算)よりも751円値上がりで、プラス約2400万円

追記 2005/07/13 さらに新事実が判明

上記につき、さらに新事実が判明した。
http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200507130194.html参照

全農あきたの前身の秋田県経済連が01年9〜12月に、子会社のパールライス秋田に対し、コメ230トンを販売したが、そのうちの兵庫県の米穀卸販売会社「白木商事」を介して売った30トン分(30社)63百万円分が未回収。

さらに、全農あきたの前身の秋田県経済連の二重処理と年産間違いにより、13百万円が不足。

合計2001年産について、76百万円が不足。

パールライス側では、2002年4月に1,198トン分を県外卸業者に販売したが、そのうちの410トン分の119百万円分がリベートに当てられたが、販売対策費として形状されていなかった。

参考–この取引は、表面上は、 (株)パールライス三重との取引を装って行われていたが、実質は、兵庫県の白木商事との取引であったとされる。
このサイトhttp://www.nodanro.or.jp/zenno-akita_husyoji.pdfによれば、02年(平成14)年に白木商事の取引先の倒産から、白木商事が経営不振に陥り同時期から秋田パールライスへの入金が滞ったことから、粉飾が始まったとされている。

http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.News.kiji?InputKIJICODE=20050713n
も、ご参照

昨日、寺田秋田県知事は、農林水産省に対して、「入札停止、早期解除に向け穏便な対応を」との陳情をした
http://www.sakigake.jp/servlet/SKNEWS.News.kiji?InputKIJICODE=20050713f
そうだが、そのような陳情をする前に、これらの不透明な金の流れを、秋田県が率先して解明するのが先なのではなかろうか?

なお、本日、三重県経済連でも、同じようなケースの隠蔽事実が判明した。
http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200507130368.html

監督官庁たる農林水産省の決然たる対応が問われる。

穏便な措置なんてとんでもない。

実質被害者は、米生産者たちなのだということをお忘れなく。

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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