2005/02/10(Thu)
このところ、医療施設の消毒基準をあらわす言葉として、ユニバーサルプレコーションとスタンダードプレコーションという言葉が使われる。
しかし、どうも、この両者の違いがわからない。
ある日本のサイトによると、「ユニバーサルプレコーション」(Universal Precautions )というのが、「すべての患者の(感染の有無に関わらず)血液、体液、排泄物は、感染の疑いのあるものとして取り扱う。」ということで、
「スタンダードプレコーション」(Standard Precautions )というのが、「救急医療や初期医療において、湿性生体物質を全て感染陽性として扱い、その予防策として一定の防護具を使用することをいう。」ということのようだ。
どうも、これでも、この二つの違い、わかりにくい。
もうひとつの日本のサイトをみると、
「universal precautionsは、普遍的予防策と呼びます。主に医療従事者の血中ウイルス感染を防ぐ目的で用いられた対策です。standard precautionsは、標準予防策と呼びます。Universal precautionsに対象微生物や防御対象物を広げた対策です。」と、書いてある。
これでも、よくわからない。
そこで、このOSHA(Occupational Safety & Health Administration)のサイト
http://www.osha.gov/SLTC/etools/hospital/
hazards/univprec/univ.html
で見てみると、ちょっとわかってきた。
以下のとおり。
医療現場従事者は、人間の血や体液に触れることで、HIV、A型・B型・C型肝炎、腸炎サルモネラ菌(SE)、赤痢菌、肺炎、梅毒、結核、マラリア、はしか、水痘、ヘルペス、尿路感染症、血液感染症などにかかる恐れがあるということ。
ユニバーサル・プレコーションというのは、血液・体液に、血液媒介病原菌基準(Bloodborne Pathogen Standard )
http://www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=STANDARDS&p_id=10051
に定義されている病気があるものとして、事前対策として、感染コントロールを行おうというもの。
具体的には、医療現場従業員は、血液への接触や、潜在的に伝染性のある物質(OPM)(other potentially infectious materials)への接触を避ける。
しかし、実際上は、体液間の見分けがつかないため、すべての体液に感染性があるとみなす。
しかし、これでは、次のようなグレーゾーンができてしまう。
すなわち、脳脊髄液、胸膜液、腹膜液、羊水、精液、膣分泌液、歯科の唾液、血で汚れた液、などなどである。
また、剥離した組織や器官もある。
サイトhttp://www.the-farm.org/inserts03march.html
では、これらをOPMとみなしているが、糞便、鼻水、汗、痰、涙、尿、嘔吐物は、OPMとみなしていない。
そこで、スタンダード・プレコーションというのは、上記における血液や体液の概念を拡張して、1.血液 2.血が見られるかどうかは関係なく、汗を除く、すべての体液と排泄物、3.傷ついていない皮膚、4.粘膜 を含むものに拡張されているようだ。
参考 院内感染の標準的予防策
http://hica.jp/sp/yobou.pdf
Occupational Safety and Health Administration’s (OSHA’s)
Final Rule on Occupational Exposure to Bloodborne Pathogens
http://www1.va.gov/vasafety/page.cfm?pg=195