2004/12/04
米田雅子さんという方が、「建設帰農の進め」という本を出して、、公共事業縮減に悩む地方の建設業が、新しいパラダイムにもとずく農業に進出することを、各地の事例を交えながら、奨励している。
おりしも、農林水産省も、農業への株式会社進出を、借地を条件に、認める方針に転化した。
確かに、逆転の発想には違いないのだが、その心の一方で、「これはいつか来た道の逆戻りじゃないのか」という疑念も、頭を掠める。
もともと、地方にある中小の土建屋さんのルーツをたどると、戦前の救農土木にたどり着く。
すなわち、農業も地方の土建屋さんも、「これ、もと同根」なのである。
それが、いつの間にか、農村社会に階層構造を生み、片方は、地方で、ベンツを乗り回すような格になりあがってしまっていたのである。
そして、今回の公共事業不況で、彼らは、農の世界に、従業員もふくめ、再び、舞い戻ってきたというわけだ。
この現象をみて、農の世界は、これでは、いつまでたっても、日本経済のバッファーセクター以上のものにしかなれないのかという、挫折感も、あるだろう。
一方で、求心力を失った日本の農村再生の新たな経済的核ともなりうるとの期待感も、一方であるだろう。
曰く言い難し(いわくいいがたし)、なのである。
建設帰農を、真の農村再生の力とするには、もうひとつ掘り下げた議論が必要な気がするのは、私だけであろうか。
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