Sasayama’s Weblog


2004/11/25 Thursday

三位一体改革を言う前に、どうして、全国知事会は、 共同発行市場公募地方債 への全都道府県参加を決定しないのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:29:17

 
2004/11/25
現在の地方債(平成15年度の総発行額は約18兆5,000億円)の発行の状況は、このサイトにも、結論として、いみじくも書かれているように、プレーヤーが少ない中で、、市場公募債や縁故債もふくめて、銘柄数が多いというのが、現状である。
しかも、その保有形態は、JA共済をはじめとした生損保、簡保、共済等が、主要をなす。
つまり、デフォルトとなる確率が少ないにもかかわらず、その流通形態は、非常に硬直的である。
上記サイトにも書かれているように、「地方債投資家はいったん購入したら、償還期日まで持ち切る」というのが通常のようである。
そこで、この地方債の銘柄の分散化と、流通の硬直性を是正しようと、総務省が音頭をとって、スタートしたのが、共同発行市場公募地方債 である。
共同発行市場公募地方債は、発行規模 平成15年度: 年間8,470億円、10年満期一括償還・年2回固定利付債で、地方財政法第5条の7に基づき参加団体が毎月連名で連帯債務を負う方式により発行される。
ところが、これへの参加団体が、以下の33団体に過ぎないのである。

都道府県(20団体)
北海道、宮城県、福島県 茨城県、群馬県 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県
 
政 令 市 (13団体)
札幌市、仙台市、千葉市、さいたま市、川崎市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市

(計33団体)

参加しない団体の言い分は、それぞれであろう。
もっとも大きい懸念としては、縁故によるその県独自がもつ小さいマーケットに、地方債間のクラウディングアウトを引き起こすのではないか、というものであろう。
しかし、国に対し、交付税・交付金制度について、物申すのであれば、自らの、財政基盤を強化するのに資する、これら 共同発行市場公募地方債のスキームに、なぜ、参加することをためらっているのであろうか。
どうも、国に対して、ダンビラを振りかざすにしては、足元の財政基盤体質強化のための「改革」には、及び腰なのではないのか。
中でも、口では道州制を叫びながらも、この 共同発行市場公募地方債に参加しない県もあるのは、論理矛盾している。
わが秋田県もそのようであるが。
道州制の最大のメリットは、州債の発行と州税の創設?による、独自財政基盤の強化である。
言っていることと、やっていることが、どうも、ずれているというのが、率直な感じである。
まず、この 共同発行市場公募地方債 を条件のベースにして、独自で市場公募発行できる自治体は、「その財政状況に応じて差異をつけた条件」で発行し、それがかなわない自治体は、この全国ベースの共同債とともに、将来道州制の相手方となりうべき近隣の県同士の共同債も、発行することによって、これまでの地方独自の縁故的保有にとどまらない、開かれた地方債の流通を目指すことが、今こそ必要なのではなかろうか。
なお、都道府県間の財政格差がいっそう拡大してきて、資金調達にも違ったスキームを導入しなければならないとすれば、検討すべきは、弱小自治体の地方債の共同発行方式の雛形と見られる、ドイツの公共ファンドブリーフ債である。
これは、専門銀行が、自治体からの資金実需を把握し、その総額の債券を発行し、それで得た原資で、自治体に融資するというものである。
日本にこれを適用する場合、専門銀行に当たるものとして、公営企業金融公庫の活用が検討されそうである。
一方、東京都などの勝ち組自治体は、市場公募方式での地方債発行となる。
これらの多用なスキームについても、知事会は、総論での合意を、都道府県間で得るべき段階にきているのではなかろうか。

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