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2004/10/12 Tuesday

ノーベル経済学賞をもらったフィン・キドランド(Finn Kydland)さんらの、経済政策の時間整合性の問題とは?

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2004/10/12
今回、ノーベル経済学賞を受賞したのは、フィン・キドランド(Finn E. Kydland )さんと、エドワード・プレスコット(Edward C. Prescott)さん。
お二人の理論とは?
経済変動は、貨幣的要因よりは、生産性を高めたり低めたりするような技術的ショック(the driving forces behind business cycles)によって起こるものだとし、そのショックが生産を増大させる方向で、プラスに大きければ、マネーサプライは増加し、生産を減少させる方向で、マイナスに大きければ、マネーサプライは減少するというお説のようだ。
だから、マネーサプライは、結果であって、原因ではない、あくまで、経済変動の主役は、実態経済ということだ。 失 業 や 実 質 G N P をよく見ながら、金融政策を行っていくことが大切だといいたいのだろう。
また、政策の時間不整合性(the time consistency of economic policy) という問題があって、「政府が決める政策の時間」と、「民間が行動する時間」と、「社会が政策実施による恩恵を受けるまでの時間」に、それぞれタイムラグや不適合があるので、この「政府−民間−社会」 それぞれの段階における最適化を行うとともに、政府の政策案策定から社会が恩恵を受けるまでの、各段階から各段階に移行する場合の整合化を図ることによって、トータルの時間を最適化することが必要という。
これを政策の時間不整合性といい、期間ごとの最大化によって定まる政策を裁量政策(Discretion ),全期間にわたる最大化によって定まる政策方針を政策ルール(Rules)と呼ぶんだそうだ。
なかなかややこしい問題だが、「政策策定から実行へ、実行から民間の行動へ、民間の行動から、社会の厚生拡大へ」、このそれぞれの段階の効果発現のスピードアップ化と、トータルの時間の縮小化が図られるというのは、願ってもないことだ。
まさに、政策決定実行過程におけるJIT(ジャスト・イン・タイム)化を目指したもので、トヨタかんばん方式の政策決定版ともいえる。
PERTの考え方からすれば、政策策定段階において、すでに、その後の過程におけるクリティカル・パス(先々の過程にとって、今やっておかなければならないこと)があるわけで、この事前の過程と事後の過程との最適化と整合化を計っておく必要があるというわけだ。
もちろん、その過程間には、政治という、なんとも御しがたい過程が挟まっていることも事実なのだが。
では、これら各段階間のインターフェースをスムースにするためのプロトコルというものがあるのではないか、などと、この切り口からは、いろいろな考えが、ほとばしり出てくる。
ひるがえって、おりしも、ダイエー問題でゆれる日本だが、いってみれば、当初、銀行による第1回目の1200億円の金融支援の際、労働組合も巻き込んでの政治力に頼った後遺症−いわば、政策実施過程において、違った高さの下駄を履かせて無理に整合化を図った無理-が、今のダイエー問題の根底にあると考えれば、企業自身も、金融機関自身も、自業自得、分かりやすい話ではある。
フィン・キドランド(Finn E. Kydland )さんの母校のウェブサイトでのノーベル賞受賞をたたえるサイトは、こちらhttp://web.tepper.cmu.edu/default.aspx?id=142825
エドワード・プレスコット(Edward C. Prescott)さんご個人のホームページはこちらhttp://minneapolisfed.org/research/prescott/

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