Sasayama’s Weblog


2004/10/11 Monday

『人間の安全保障』対応部隊」構想の詳細

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:58:18

 
2004/10/11
ロンドン大政治経済学院(LSE)のマリー・カルド教授を主査とするグループが、紛争地域の住民の安全など「人間の安全保障」を実現するための軍民混成部隊の創設が必要だとする報告書をまとめたことが話題となっている。

サイトhttp://www.lse.ac.uk/Depts/global/Human%20Security%20Report%20Full.pdfが、その現物で、「欧州のための人間の安全保障ドクトリン」(A Human Security Doctrine for Europe)と題するものだ。
内容は、軍事的行動や多国籍軍の活動の限界を検証した後、「『人間の安全保障』対応部隊」(‘Human Security Response Force’)と名づけた混成部隊の創設を提言している。
規模は1万5000人程度を想定し、警察官や、法制度再建、人道援助を担う専門家ら5000人が軍部隊と行動を共にしながら、民族対立、失業、人々の暮らしを立て直すとしている。
この構想のエッセンスを以下に記すと、次のようになる。
1.15000人の部隊は、男女からなり、その三分の一は、民間人で、その内訳は、警察、人権監視員、開発や人道的活動の専門家、管理者などからなる。
2.部隊は、加盟国からの流用可能な軍や民間の人材から集められる。
3.同時に、「人間の安全保障ボランティアサービス」(‘Human Security Volunteer Service’)の創設も提案されている。
4.行動の範囲は、その地方で受け入れられうる法律上の範囲内のものとなる。
5.行動の範囲は、多国間条約と義務の枠組みの範囲内でのものとなる。
6.暴力や不安定な状態にある人々の基本的な要求を考慮して、ボトムアップ・アプローチ を重視し、NGOとの協力体制を敷く。
7.対象地域の地方の政治的環境のなかで、いつでも、行動する。
8.一次的な段階での脅威に対しては、法的な対応をする。
9.最後の手段として、武力対応するときは、人間の安全保障部隊として、死への極限の状態にある場合に限る。
10.部隊の構成は、三段階からなる。
第一は、戦略計画者であり、情報などの分析能力を持ったものである。
また、民間軍事リスクマネジメント専門家で、軍や民間の能力の評価をする。
第二段階は、数日以内に配置につける五千人規模の部隊である。
これは、軍・民間混合部隊からなり、コマンド・コントロール本部からの指令に待ち、常に、スタンドバイの状態でいて、トレーニングも常に行う。
三段階は、残りの一万人からなり、予備兵的な存在ではあるが、配置につく可能性は大いにあり、そのためのトレーニングも欠かさない。
11.NGOは、『人間の安全保障ボランティア・サービス』の一部として、個人として登録される。
この参加に当たっては、そのNGOが信頼にたる、または、効果的活動をしているかなどが、審査され、契約が結ばれる。
この契約によって、トレーニングや、演習に参加できることになる。
そして、実地に配置されることになる。
民間会社は、これに登録し、物流や通信などの非軍事的業務を提供することができるが、部隊の中核をなしてはいけない。
12.部隊への物質的供与は、ある程度、軍との共用なり流用が許される。

以上が、この構想の概略だが、それにしても、なぜ日本が、このような構想を立てられなかったのか、その構想力の貧弱さに慨嘆するものである。
日本憲法の隙間をくぐりぬけることだけ意図しただけの、例の、『国連待機部隊構想』とは、そのスケールの上で、一回りも二回りも上のものと見られて仕方がない。
「『人間の安全保障』対応部隊」(‘Human Security Response Force’)についての参考サイトは、次の通り。
http://belmontclub.blogspot.com/2004/09/narrow-way-patrick-belton-at-oxblog.html
http://www.iht.com/articles/541120.html
http://www.opendemocracy.net/debates/article-6-27-2107.jsp
http://www.bond.org.uk/networker/oct04/security.htm
http://www.radiogalkayo.com/news/securitydoctrine.php
http://www.polemics.ca/archives/000571.html
EUROPE NEEDS A HUMAN SECURITY DOCTRINE – AND A NEW FORCE WITH ONE THIRD CIVILIANS
http://europa-eu-un.org/articles/es/article_3814_es.htm
http://www.iht.com/bin/print.php?file=541084.html
http://news.bbc.co.uk/2/low/europe/3657752.stm
http://www.lse.ac.uk/Depts/global/

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