Sasayama’s Weblog


2004/04/03 Saturday

ますます混迷を深める日米間の牛肉輸出再開問題

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:42:58

  

米農務省は3月26日、初のBSE発生に伴う行政対応が一段落したことから、日本など75カ国・地域に米国産牛肉の輸入再開を要請する書簡を送った。

日本に対しては、3月29日付けで、http://www.usda.gov/Newsroom/kamei.pdf  のような書簡を、日本の亀井農林水産大臣あてに送り、「百年ほど前に日本政府から贈られてきたワシントンの桜が咲き始めました。」とのやわらかい書き出しから始まって、この中で、

1.日本政府とアメリカ政府とが、共同して、OIEに接触し、専門家によるコンサルティングをうけること。これについては、すでにアメリカがOIEと接触し、好感触を受けていること。
2.4月9日までに、諸課題解決に向けてのOIE専門家などによるパネル設置を合意すること。
3.4月14日までに、そのパネルの構成員を決定すること。
4.パネルの初会合は、4月26日までに、両国の都合のよい場所で行うこと。
5.パネルは、4月30日までに、両国の提起した疑問点に対して、回答を用意すること。
6.このパネルの回答は、今後の両国政府の合意のベースとなるものであり、この内容は、OIEのウェブサイト上で公表されること。

を提案してきた。

しかし、これに対して、日本の亀井農林水産大臣は、4月1日の記者会見の席上で、「「安全対策は不十分」とする返事を近日中に送る」ことを明らかにし、この提案を拒絶するとの考えを表明した。

この記者会見の内容を知ったアメリカ側は、4月1日、http://www.usda.gov/Newsroom/0131.04.html  に見るように、ベネマン農務長官とゼーリック通商代表との共同声明を発表し、この中で、

1.アメリカは、牛肉貿易問題について、科学的な根拠に基づく解決に腐心している。
2.われわれは、日本の亀井農林水産大臣に対して、OIEに対して技術的なコンサルテーションを受けることを提案した。
3.最近のBSEに関する調査・経験の蓄積や、科学的コンサルテーションは、牛肉輸出再開の可能性を強めるものであり、アメリカ牛肉の輸出相手国とも、国際的な専門家パネルの提案をも含め、われわれの調査結果を分かち合いたいと思っている。
4.日本は依然として、全頭検査と、SRMの除去が輸出再開の条件だと主張しているが、アメリカのシステムに関する国際的科学者パネルの報告では、全頭検査には、科学的な根拠がないとの注目すべき報告をしている。
5.現下の時点でやるべき、もっとも適当なことは、OIEにコンサルティングを依頼し、科学的根拠に基づく合意を生み出すことである。
6.われわれは、一般的に受けられられるBSEの定義の確立や、それにもとづく検査の方法、そして、SRMの一般的定義の確立について、OIEが、再検討に入るため、積極的にタイムテーブルを設ける用意があることを、すでに確認している。
7.アメリカは、自らのBSEシステムを国際的専門家の判断・評価にゆだねる気持ちであるのに、日本側が、どうして、それに対して気乗りがしないのか、その理由がわからない。
8.われわれは、これらのわれわれの提案のメリットに対して、建設的な対話をしようとせず、報道機関を使って米提案に拒否の反応を示したことには失望させられた。
9.われわれは、OIEにコンサルテーションを委託するという、われわれの提案を、日本政府が、早急に受け入れることを促すと同時に、これらの方策が、世界貿易機関(WTO)のメンバーとしての国際的協定と一致するものであることを確信する。

との考えを示した。

4月2日深夜、農林水産省は、亀井善之農相名で米国の提案を拒否する内容の返事を出し、その中で、「OIE事務局に日米共同で専門検討会を設置する」との米提案に対し、「これまでの協議の経緯を考慮せず、まことに残念」などと記した。

一方で、かねてより、自主全頭検査により、日本への輸出再開を目指しているCreekstone社は、この提案に対するUSDAの認可がいまだ得られていない状況に対して、http://www.arkcity.net/stories/040304/com_0002.shtml に見るように、「全頭自主検査による輸出再開が認められるかどうかが、会社存亡を左右する状態にいたってきた。」と危機感を募らせている。

http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/hot/bse/news/apr0204bse.html参照
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