2005/02/17(Thu)
食品安全委員会の寺田委員長が、難航している食品安全委員会での全頭検査見直し容認問題について、「対立する意見については、(答申に)少数意見として付記する」と述べ、すべての委員が賛成しなくても、多数意見を重視する形で答申をまとめる考えを示したとのことである。
よく、まとまらない場合には、両論併記という苦肉の策は用いられるのだが、こと、安全に関しての両論併記というのは、放射線の安全性に関する答申などを除いては、あまり聞いたことがない。
フェイルセーフの観点からすれば、安全の両論併記をした場合は、安全対策に、より慎重な意見が珍重されるべきなのであろう。
普通のフェイルセーフを考えた構造としては、次の四つがある。
http://www.jal.co.jp/jiten/dict/g_page/g078_2.html参照
1.リダンダント(冗長)(redundant)構造−一つの構造が壊れても、もうひとつの構造が働き続ける。
2.二重(double)構造-同じ働きをする二つの構造が、並列して働き続ける。
3.バックアップ(back up)構造−ひとつの構造が壊れた時点で、予備の構造が働き出す。
4.ロード・ドロッピング(荷重軽減)(load dropping )構造-構造のどこかが壊れると,もうその種の荷重がかからないようにする構造。
そこで、ここでの「構造」という言葉を「安全のためのシナリオ」という言葉に置きかえて見ると、次のようなことが言えるのではないだろうか。
両論併記ということは、「安全のためのシナリオ」が二つあるということになる。
ひとつの「安全のためのシナリオ」が、「安全でないシナリオ」にかわった場合、もうひとつの「安全のためのシナリオ」が、それまでのシナリオにかわって、その機能をまっとうできるためには、どのような条件を備えていなければならないか、ということになる。
ひとつのシナリオの安全神話が崩れた場合のフェイルセーフとしては、同じシナリオでは、だめなわけで、上記の4つのフェイルセーフの考え方からすれば、4のロード・ドロッピング(荷重軽減)構造での、同じシナリオを排除した上でのシナリオ構築が必要となるのではないだろうか。
つまり、両論併記といえども、どちらをメインとし、どちらをサブとしたシナリオ作りが必要かということが問題とされるべきだとおもう。
これは、時系列的な両論併記とでも言うべきなのだろうか。