Sasayama’s Weblog


2004/12/15 Wednesday

スギヒラタケ毒性問題で、気になるひとつの論文

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:34:39

  
2004/12/15
スギヒラタケ(Pleurocybella porrigens )の脳症発生問題は、依然として、原因不明であるが、日本海側にのみ、毒性があるとの報道も、なされている。
そこで、当然、酸性雨との関連が頭に浮かんでくるのだが、ここで、気になる論文が浮かび上がってきた。
これは、1995年に群馬大学医学部の古川・中島・松井三氏により発表された論文なのだが、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=8919354&dopt=Abstractに、その紹介がある。
1977年から1994年にかけて、人間の赤血球の血球凝集反応(HA)について、422例をみてみたところ、スギヒラタケと、クリタケと、スギタケからの抽出物が、抗Hレクチンに似た凝集素(Hレクチン様物質 Anti-H-like agglutinins)を有していたという研究である。
(なお、クリタケに見出されたHレクチン様物質については、1995年の第66回 日本医科大学医学会において、日本医科大学、日本医学技術専門学校)、(財)日本生物科学研究所の諸氏によっても、口頭発表されている模様だ。)
この抗Hレクチン(anti-H lectin )というのは、ハリエニシダ(UEA Ulex europaeus)トキイロヒラタケGalactia striata(Galactia tenuiflora)、そして一部のマイマイ(Helix hortensis)にもあるもので、凝集反応阻止試験に使われる、凝集力価の高いものである。
抗Hレクチンで赤血球凝集が見られれば、H型抗原(H-antigen)が存在するということになる。
H型抗原(鞭毛抗原)は、大腸菌(糞便中のH.pylori Helicobacter. pylori))などにあり、代表的な例としては、O157感染症(大腸菌O157は、大腸菌のうちO抗原(ohne Hauch-鞭毛のないむ)が157番目でH抗原(Hauch−鞭毛のある)が7)の溶血性尿毒症症候群(HUS)を発生させ、志賀毒素 = STx. Shiga Toxin 生成で血管内皮細胞を損傷させ、急性腎不全等を発症させる。
(食品中に含まれる大腸菌などの問題については、このサイトをご参照。STXとHレクチンとの関係については、このサイトをご参照。STXと脳症との関係については、このサイトをご参照。)

これらのHレクチン様物質は、人間のO型の赤血球と強く結びつく性質があり、A型やB型とは、比較的弱くしか、結びつかないという
O型は2個の糖からなるH型物質と呼ばれる基本糖鎖構造をもつ。

なお、今回のスギヒラタケを食したことによって生じた脳症発症者の中に、腎不全や透析患者が多く含まれたことについては、長期透析患者におけるヘリコバクターピロリ感染症(Helicobacter pylori Antibodies または、Anti-H. pylori この問題については中嶋章貴(守口敬任会病院透析センター)氏が詳しい。)との関係も疑う必要がある。(ヘリコバクターピロリと抗Hレクチンとの関係については、こちらのサイトをご参照。)

また、今回のスギヒラタケの毒性について、静岡大の河岸洋和教授が、β−グルカンと不純物との複合体に毒性があるとしているがこのサイトでは、「ヘリコバクターピロリの細胞外皮には、バクテリア細胞膜の機能を完全に働かせるための多糖類(LPS)が必要だ。」とし、LPSの搬送にα1,6-glucanが、役割を果たすとしている。

そこで、以下は、私の推察なのだが、

このスギヒラタケからの抽出物であるHレクチン様物質が、酸性雨に含まれるガス状物質の光化学反応等によって沈着した硫酸アンモニウムなどによって、精製され、その精製され濃縮されたHレクチン様物質を含むキノコを、大腸菌やヘリコバクターピロリなどのH型抗原をもつ血液型Oの人などが、食したことによって、脳内の血液凝固をきたしたと見ているのだが。

以上を整理して言えば、次のようになる。

1.日本海側の異常気象で、日本海側に、酸性雨を含む大量の雨が降った。

2.その後の照り返しによる光合成で、湿性沈着または乾性沈着で、硫酸アンモニウムなどが生成された。

3.これらの硫酸アンモニウムの精製で、スギヒラタケ内のHレクチン様物質が、濃縮して抽出された。

4.このスギヒラタケを、長期透析患者におけるヘリコバクターピロリ感染症をもつ人が、食した。

5.スギヒラタケの中のHレクチン様物質とヘリコバクターピロリとが反応して、脳症を引き起こした。

というのが、私の素人推測だ。

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