Sasayama’s Weblog


2010/01/21 Thursday

世界に蔓延しつつある『日本の失われた10年恐怖症』

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 22:57:14

2010年1月21日
 
今日は、中国の09年第4四半期(10〜12月)の実質国内総生産(GDP)の伸びが前年同期比10・7%だったと発表され、世界2位の日本に肉薄したとの話題でにぎわっている。

同時に、これからの中国のバブル崩壊を懸念する声も、同時に強まっている。

このサイト「China economy sees strong growth」では、東京で取材した鈴木太郎氏というグリーンキャブの運転手さんのバブル時代の回顧録から始まっている。

鈴木さんは、かつて、大会社のサラリーマンであったが、1980年代のバブル期に不動産投資家となり、そのときから鈴木さんの人生は狂いだしたという。

1980年のこれら日本の状況と、今の中国の状況とは、著しく似ているという。

その意味で、中国は、日本がやってきたことについての、日本の犯した過ちをも含む意味での、最優秀な生徒であるとしている。

このサイト「If history is any indication, China’s economic bubble will collapse」では、日本の1980年代の天文学的な日本の輸出の増加と不動産バブルと株式市場の加熱と、今の中国の状況とは、そっくりであり、今の中国の海外投資の増加と、財政支出の増加についても、1980年代の日本の状況と同じであるとしている。

為替レートのコントロールについても、かつて、日本が1980年代にそのコントロールに苦しんだように、中国が、いまの為替レートをコントロールするのは、難しくなっているという。

日本の失われた10年と、今のアメリカの状況との相似性を指摘する向きもある。

このサイト「Japan: An Inflationary Spiral Ahead?」においては、その両者の類似点の第一は、1990年代の日本の株式市場の高騰とそれに続く景気後退があったことと、アメリカにおける2000年での同じような株式市場の高騰と、されに続く、景気後退との類似である。

そして、日本もアメリカも、それに対して、通貨の供給増と、財政支出の増加を持って対応した点も類似しているという。

その結果として、両国の多くの経済アナリストは、デフレ・スパイラルの到来を危惧している。

しかし、一方、これらの通貨供給増加と財政赤字の増嵩によるインフレ到来を懸念する声もあるという。

この論者によれば、日本における失われた10年におけるデフレは、実は、デフレではなく、物価安定なのであり、また、株式市場や不動産市場でのデフレ現象と、日本国民生活レベルでの物価安定現象を混同した見方なのだとしている。

このサイト「Will the US Economy Mimic Japan’s Lost Decade(s)」においても、アメリカ経済は、日本の失われた10年の経過を真似ているのではないかとの指摘をしてる。

このサイトでは、Ambrose Evans-Pritchardの次のような言葉を引用している。

日本が依然として失われた10年を吹き飛ばしえないでいるのは、日本の投資家が、彼らの置かれた苦境を理解し、それにしたがって行動するようなイメージをもっていないからだという。

そして、そのことを、『グローバルな失敗が、日本において、醸成されている』としている。

過日発表されたIMFレポートでは、日本の失われた10年について、次のような分析を試みている。

すなわち、このサイト「Global economic recovery – Does Japan’s handling of ‘Lost decade’ offer any clue?」では、もし、現在の世界経済が、かつて、日本がたどった失なわれた10年の過程をたどっているのだとしたら、現在の段階は、そのもっとも初期の段階にある、としている。

すなわち、日本の失われた10年と今回のリーマンショックとの比較においては、そのトリガーとなったのは、同じバブルの崩壊と信用供給過剰ではあるが、今回のリーマンショックにおいては、いまだに、その根源の問題が残存しているところに大きな違いがあるのだという。

このサイトによれば、日本の失われた10年は、次の3つのフェーズに分かれうるのだという。

第一フェーズ-1990年から1997年
いったん崩壊した日本経済が、1994年に、それまでの財政出動によって、回復への萌芽を見せた。

第二フェーズ-1997年から2000年
1997年のアジア経済危機が日本経済をほとんど、メルトダウンの状況に陥らしめた。
金融機関への資本注入によって、経済は回復を見せ始めたが、不良債権処理を生煮えの状態に放置したまま、景気刺激策が再開され、金利をゼロ金利状態にしてしまった。

第三フェーズ−2001年から2003年
200年3月にハイテク危機が発生。
財政上の問題や企業にある問題についての包括的な問題解決は、脇に置いたままとなってしまった。

これらの日本の失われた10年の歴史から学ぶべきことは、出口戦略としての景気刺激策の用意の必要性、財政部門と民間部門の健全性と持続性の確保の必要性、であるとしている。

以上に見たように、リーマンショック後の世界経済は、日本における失われた10年に学び、これを先行指標とし、かつ、自らの国が、日本と同じ失われた10年の状態に陥らぬようにとの、考えを持っているようだ。

しかし、IMFのレポートにあるように、もし、日本が、失われた20年を脱却できれば、世界をリードしうる明るい先行指標としての地位も確立しうるのだが。

いかんせん。今の日本の民主党政権にそれを期待するのは、所詮、ムリのようである。

 

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