Sasayama’s Weblog


2009/10/06 Tuesday

G20でのG4構想憶測後、きな臭くなってきた、中国元切り上げの可能性

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:02:34

2009/10/06(Tue)
 
今回ピッツバーグで行われた20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)時に、アメリカから暗に提案があったとされるG4(米国・日本・欧州・中国)構想について、各国の首脳は、「そんなことはなかった、なかった」と一様に否定している。

また、もっともポンドの帰趨をめぐってG4構想では蚊帳の外になりかねないイギリスのAlistair Darling蔵相も、「G4提案は長い間議論されてきたことだ。考え過ぎは、しないほうがいい。」
(These proposals have been around for a long time. You shouldn’t read too much into these proposals)
と、平静を装った発言はしている。

しかし、なぜ、今回のG4サミットで、 わざわざ、声明文で「われわれは、中国がより柔軟な為替レートへ移行することについて、持続的コミットメントをすることを示したことを歓迎する。」
(We welcome China’s continued commitment to move to a more flexible exchange rate, which should lead to continued appreciation of the Renminbi in effective terms and help promote more balanced growth in China and in the world economy. )
という趣旨の一文がもりこまれたのか?不思議である。

その根底には、弱くなったドルを回復させる唯一無二の政策は、「中国人民元の切り上げにしかない。」との発想に立って、「そのためには、G20以前にG4-米国・日本・欧州・中国による合意が必要になる」との筋書きがあったのではなかろうか。

つまり、このG4構想は、G20には入っているが、G7には入っていない、中国のための、中国元切り上げを図るためのお仲間作りということだったのではなかろうか?

この場合、日本は一応は入っているが、刺身のツマ的存在に過ぎないのだろう。

そうかんぐれば、G20直前に、わざわざIMFのゼーリック氏が「もし、アメリカの財政赤字が好転しなけば、アメリカのドルは、世界の準備通貨としてのランクを失うであろう。」
(it may lose its rank as the only reserve currency if budget deficits aren’t curbed. )
などと発言した発言の意図もわかってくるのである。

また、ガイトナー氏は、G20後、次のような発言をしている。

「しかし、米国の貯蓄と投資が国内で行われれば、世界は将来の成長を米国の支出に依存できなくなる。つまり、世界経済の高い成長率を望むなら、米国以外の国が輸出に頼ることのない内需主導の成長へと構造的な変化を遂げることが必要になる。 」

つまり、もう、アメリカを各国の輸出市場として頼ってくれるのは、やめてくれ、とのメッセージのようにも聞こえてくる。

そこで、明確になりつつつあるのは、中国の元切り上げこそが、アメリカの貿易構造を変え、アメリカの双子の赤字を解消しうる唯一無二の有力手段になるという構図が浮かび上がってくる。

では、肝心の中国は、その辺をどうかんがえているのか?

このサイト「China shuns efforts to boost yuan」では、その辺を次のように見ている。

「中国が、各国からの暗黙のプレッシャーを得て、柔軟な為替政策に転じようとしている節は見られるが、それほど、乗り気であるようには見えない。

その理由の一部には、アジア共通に見られるIMFへの不信感も一因としてある。

しかし、その柔軟化への胎動らしきものは垣間見られる。

先週、中国は、八億七千九百万ドル相当分のボンドを元で発行し、香港に売却した。
そのことは、クロスポーター取引で、中国元を実質自由化する試みとも見られる。」

まあ、こうしてみると、アメリカのドルを救うのは、唯一、中国の元切り上げであり、これによって、アメリカは、双子の赤字の解消に努めることができるという筋書きのように、私には、見える。

この場合、内需振興というのは、アメリカ側の中国に対する「元切り上げ」への形をかえたメッセージなのであり、それを日本の財務大臣が、鸚鵡返しに言うべきことではないようにも、思える。

中国元切り上げへの思惑の増大は、ツレ高としての円高にもつながりうる。

つまり、中国の元切り上げの功罪論に立てば、アメリカへの輸出減と中国への加工資材輸出減とのダブルパンチをうけることになるのだから、日本の財務大臣としては、そんな、ノー天気なことは、言ってはいられないはずなのだが。

 

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