Sasayama’s Weblog


2005/06/11 Saturday

二頭目のBSE発生で、問われるアメリカの検査体制

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:06:46

  
2005/06/11(Sat)

nullアメリカでBSEが発生した。
http://www.usda.gov/wps/portal/!
ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?content
idonly=true&contentid=2005/06
/0206.xml
 参照

テキサス州の老齢の牛で、と畜場まで歩いてこられなかったダウナー牛であるとしている。
http://www.americanchronicle.com/articles/viewArticle.asp?articleID=617参照

迅速検査(ELISA法検査、the BioRad rapid test)で、3頭が、陽性であり、続いてのIHC検査(免疫組織化学法、USDAのnational laboratoryで実施)では、3頭とも、陰性であった。

このように二種類の検査結果が分かれたため、結論不能(inconclusives)としてきた。

注-サイト「BSE Test Results」http://www.aphis.usda.gov/lpa/issues/bse_testing/test_results.htmlによると、結論不能(inconclusives)としたのは、一頭目が、6/21から6/27検査(2004年6月25日)、二頭目が、6/28から7/4検査(2004年6月29日)、三頭目が、11/15から11/21検査(2004年11月19日)ということになる。

今週になって、独立の監視組織であるInspector General(OIG)からの再検査の要請で、ウエスタンブロット(WB)検査(USDAのジョハンズ長官の言によれば「しばしば、ウエスタンブロット検査といわれている(often referred to as )SAFイムノブロット検査」)をしたところ、3頭のうち1頭が陽性であった。

なお、検体( 12 gramsしかない。)は、詳細検査のため、イギリスのウェイブリッジ研究所へ送られた。

最終検査結果が出るまでに、二週間を要するという。

6月13日に、アメリカイギリス両国の研究者たちは、検査のプロトコルについて、協議した。

その結果、次のようなプロトコルで行われる模様である。

イギリスの Weybridgeのほうでは、
IHCと OIE指定の Western BlotとNaTTA Western Blot とPrionics Western Blotの4種類の検査

また、アメリカのCenter for Veterinary Biologicsのほうでは、BioRad ((BioRad test ELISA systems))とIDEXX(The IDEXX HerdChek BSE Antigen Test )の迅速検査、そして、IHCと、OIE指定のウェスタンブロット検査とDNA検査
ということのようだ。

今後の日米牛肉交渉に与える影響について、USDAは「老齢の牛でもあり、影響はないであろう。」としている。

USDAは、この牛の出生地などをまだ明らかにしていない。

しかし、 Cattle Buyers Weeklyによれば、この牛は、テキサスから来た牛であるとしている。
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-madcow11jun11,0,7290961.story?coll=la-home-headlines参照

今回のBSEがもし、カナダ産であった場合には、来月7月27日に迫ったモンタナ地裁とのカナダ生体牛貿易再開差し止めに関する最終ヒアリングに対して、大きな影響を与えると同時に、日本との牛肉貿易再開に対しても大きな影響を与えることになる。

R-CALFは、今回のBSE疑惑牛発生について、次のようなコメントをしている。
http://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=5244 参照

「USDAの昨日の発表は、昨年11月の検査結果が、「弱陽性」であったことを示している。

再検査がOIGの要請で実施されたとのことであるが、OIGのもうひとつの要請として、ウェスタンブロット検査をすべしとの要請もしていた。

アメリカはBSEに対して、二つのファイアウォールを築く必要がある。

昨年、三頭の牛が「結論でず(inconclusives)」との報道で、生体牛の価格は、著しく下がってしまった。

どうして、USDAは、7ヶ月前に、再検査をしなかったのか?

皮肉にも、昨日のBSE発表の前日、ジョハンズ農務長官は、ミネソタ大学でのラウンドテーブルで、BSEの科学について話をしたが、出席したどの科学者たちも、再検査の必要性なりプロトコルについて、討論をしたものはいなかった。

われわれから見れば、USDAは、検査手続きについて、方向転換(flip-flopping)をしたように見える。

以前、USDAは、われわれに対して、IHC検査は、最初の検査が陰性であった場合の確認検査に用いられるゴールドスタンダードの検査であると、いってきた。

そして、IHC陰性で、ウェスタンブロットでのみ陽性となった日本の二つのケース(8例目(23 ヶ月齢)及び9例目(21 ヶ月齢)を日本側が陽性と発表したことに対して、アメリカは批判したが、今回アメリカが「弱陽性」としたケースは、アメリカが批判した日本のケースとまったく同じであり、いまとなっては、むしろ、アメリカサイドの方が、BSEを支える、より完全な科学的分析が必要である。」

R-CALFのいうように、確かに、USDAの検査のプロトコルが、今回、変化してしまったように思える。

これについて、USDAは、記者会見で、次のように言っている。
http://www.usda.gov/wps/portal/!ut/p/_s.7_0_A/7_0_1OB?contentidonly=true&contentid=2005/06/0207.xmlUSDA 参照

「IHC検査のメリットとしては、ホモジェネートしていないために、汚染部が明確にわかることであり、ウエスタンブロットでは、それが明確にはわからない。」

しかし、これでは、これまで、 IHC検査陰性で、BSEフリーとしてきたUSDAの過去の検査体制が万全であったか、その疑惑を払拭することは出来ない。

ここにきて、これまで、アメリカに対してのBSE加害者の立場に立たされていたカナダから、次のような言葉が聞こえてくるようになった。
http://www.edmontonsun.com/News/Canada/2005/06/12/1083387-sun.html参照

「もし、アメリカにカナダから輸入された牛でない牛にBSEが確認できたなら、現在、アメリカが、安全上の意味で、カナダからの生体牛輸入を禁止していることについては、論争を引き起こすであろう」といっているのは、カナダのthe Alberta Cattle Feeders Associationの Ron Axelson氏だ。

つまり、R-CALFの「カナダのBSE汚染牛輸入危険論」を基にした訴訟の前提が崩れてしまうからだという。

「アメリカの検査体制が怪しい」とは、カナダの牛肉産業の誰しも、以前から疑っていたことなのだという。

カナダの獣医主任のGerald Ollis氏は、「もはや、この問題は、科学の問題なのではなく、法律の問題なのだ。これによって、カナダの若い牛は、何の障害もなく、アメリカに入れるのだ。」という。

まあ、わかりやすくいえば、今回、もし、カナダから来た牛でない牛が、BSEになれば、これまでの「カナダ牛によるアメリカでのBSE発生論」が成り立たなくなり、アメリカもカナダも、「目くそ、鼻くそを笑う。」状態になるからだ。

しかし、こうなると、目くそも鼻くそも買わされる立場になってしまう日本は、どうなるの?っていいたいのだが。

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