Sasayama's Watch & Analyze


2014年10月18日

環境権と憲法改正の動きについて

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■1.安倍政権での憲法改正の動き

(1)国民投票法(日本国憲法の改正手続きに関する法律の一部を改正する法律)の成立・施行(平成 26 年 6 月公布)
国民投票法はすでに平成22年5月18日に成立しているが、今回の改正を得て、3つの検討課題(年齢条項の見直し、公務員の政治的行為の制限に係る法整備、国民投票の対象拡大についての検討)が整備された。
国会の三分の二の発議を受ければ国民投票が出来る状態になった。

(2)これを受けて自民党憲法改正草案(2012 年4月自民党発表)をたたき台にしての与党(自民党・公明党)間話し合いの開始

(3)自民党は憲法改正推進本部(船田元 本部長)会合で論議開始。
船田氏は「改憲草案を一回の国民投票で3つ程度是非を問い、5年から10年かけて、4回から5回の国民投票を実施。9条改正については2回目以降とし、「ならし運転」をしたうえで国民投票にかける」と話した。
2年以内に、環境権が優先して国民投票にかけられる可能性が出てきた。

(4)2014年10月7日、衆院憲法審査会(会長・保利耕輔元自治相)の幹事懇談会で、自民党側が「環境権」「緊急事態条項」「財政健全化規定」の三つの論点について、今国会での審議を提案した。
民主党など野党4党は持ち帰って検討することになった。共産党は提案に反対した。

 

環境権を憲法に盛り込むことについての各政党のスタンス

(1)国会での論議では次の三つの方向が錯綜

①明文改憲が必要-環境権を明記
②明文改憲は必要ないが、下位の法律での立法措置が必要
③必要はない。現行で OK

(2)各政党のスタンス

①自民党―他の新しい人権(プライバシー権、国民の知る権利、犯罪被害者への配慮)とともに環境権を憲法に盛り込む

②公明党―「加憲論議」の対象として新しい人権の一つである環境権を加える。加憲のスタンス

③民主党―基本的人権は公益や公の秩序に劣るものではないという観点から環境権をも含む新しい人権を憲法に加えるための論議を進める。96条先行改正には反対。創憲のスタンス。

④維新・みんなの党―環境権については賛成

⑤共産党・社民党―現行憲法のもとで、具体的に立法で規定することで環境権は守れる。環境権を道連れにした憲法改正には反対。護憲を優先。

 

■2.サックス教授が唱えた「環境権」のもともとの概念

(1)ミシガン大学のサックス教授(Joseph L. Sax)が1970年4月1日提出「ミシガン州環境保護法(The Michigan Environmental Protection Act)(MEPA、現在はNREPA)で「天然資源または天然資源に関する公共信託に対する汚染・損傷・破壊について、市民・法人・団体などは訴えることができる。」と規定

英語では

「The People of the State of Michigan enact;

Section 2(1)  ”The attorney general, any political subdivision of the state, any instrumentality or agency of the state or of a political subdivision thereof, any person, partnership, corporation, association, organization, or other legal entity may maintain an action in the circuit court having jurisdiction where the alleged violation occurred or is likely to occur for declaratory and equitable relief against the state, any political subdivision thereof, any instrumentality or agency of the state or other political subdivision thereof, any pertinent person, partnership, corporation, association, organization or other legal entity for the protection of the air, water and other natural resources and the public trust therein from pollution, impairment or destruction. “」

参照

「The Michigan Environmental Protection Act of 1970」

Superior Public Rights, Inc. v. Department of Natural Resources

(2)ここでの「公共信託」(Public Trust Doctrine)という概念は「公衆の共同財産である天然資源を、公衆が自由に利用できるよう、行政主体が公衆より信託され、管理・維持する義務」

サックス教授の「The Public Trust Doctrine in Natural Resource Law」もご参照

良好な環境資産は、後世代から現世代に託されつつ、世代から世代へ、受け継がれていくもの、という考え方。

(3)このように、サックス教授の言われる「環境権」には、単に現世代のための環境権ばかりでなく、将来の世代のための環境権も、含まれている。

 

■3.日本国憲法に環境権はあるのか?

二つの基本権の援用をし、司法救済しようとしている。

①憲法13条の幸福追及権
個人に対する環境の享受が公権力によって妨げられない権利。
新しい人権であり、環境権以外に、知る権利、プライバシー権などを救済しうる根拠が含まれる。
なお、これまで、司法は、肖像権のみ認容(昭和44年12月24日 最高裁 京都府学連事件)している。

②憲法25条の生存権
環境の保全のための積極的な施策をとるように、公権力に対して要求する権利。
経済的生存権だけでなく環境的生存権をも守るというもの。
プログラム規定的性格が強い。

憲法第13条

条文
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

憲法第25条

条文
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

 

■4.日本の環境権の不毛な出発

(1) 日本の環境 権 は、公 害 訴訟での損 害賠 償訴 訟 や差 し止め請 求訴 訟において、憲法 13条の幸 福追求権、憲法25条の生存権を援用し、司法救済をしようとすることから始まった。

(2) 初めて、憲法本文を援用し、司法救済を図ろうとした訴訟は「伊達火力発電所訴訟(札幌地裁 昭和55年10月14日判決)

「火力発電操業による排出ガスは住民の健康を損なうものであり、環境権・人格権の侵害である」と原告は主張したが、「環境の要素は住民個々に差があり、地域住民が共通の排他的支配権を有するものではない」として、司法は環境権を否定。

(3) 以降の憲法13条.25条援用による環境訴訟においては、ことごとく司法は環境権を認容しなかったが、「大阪国際空港公害訴訟(最高裁昭和56年12月16日 大法廷判決)」においては、「差し止め請求と損害賠償訴訟は人格権を根拠にして認容しうるので環境権については認容するまでもない」としつつ、人格権に基づく「過去の損害賠償」についてのみ認容した。

そのほか、環境権が争われた主な裁判例としては次のものがある。

名古屋新幹線訴訟(名古屋地裁、昭和55年9月11日)(公共益が受忍限度に勝るとし却下)
関西電力多奈川火力発電所訴訟(大阪地裁、昭和59年2月8日)(原告の素因・加齢・喫煙要因と被告が加えた大気汚染物質要因との割合に応じ減責)
豊前火力発電所訴訟(最高裁昭和60年12月20日)(環境権については判示せず)
川崎製鉄高炉新設差止め請求訴訟(千葉地裁.昭和63年11月17日)(排出差し止め請求は不当で請求を却下。高炉操業差し止め請求は不当で請求を棄却)
琵琶湖総合開発差止め請求訴訟(大津地裁、平成元年3月8日)(浄水享受権が個別的環境権としてはなじまないとし却下)
長良川河口堰差止訴訟(岐阜地裁平成6年7月20日)(公共の利益を上回る損害の程度ではないとし却下)

(4)結論的には、日本における憲法13条25条援用による環境権は、司法救済しうるにたりない、あってなきがごときものであった。

 

なぜ第13条・25条援用では、日本の司法に環境権を認容させることが出来なかったのか?

四つの理由がある。

(1)憲法第13条・第25条 は国の責務を宣言する綱領的な規定であり、国 民に直接に具体的権利を与えるものではない。(プログラム規定の問題)

(2)環境権の属性があいまいで差し止め請求しにくい。(公益と私益との比較衡量(秤量)の問題)
外延性がありすぎる。

(3)環境権がなくても人格権や財産権根拠で差し止め請求・損害賠償請求ができる。(非代替性の欠如の問題)

(4)地域住民は景観・環境そのもので利益・権利を得ているものではない。(非使用価値の問題と反射的利益の問題)
ただし、鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁 平成21年10月1日)では「住民の景観利益は法律的保護に値する」とした。

 

■5.諸外国における憲法で環境権規定の実態

(1)憲法に環境権が制定されている国は
1.アゼルバイジャン、2.アルゼンチン、3.アルバニア、4.アルメリア、5.エチオピア、6.ギリシャ、7.グルジア、8.スペイン、9.スロバキ ア、10.スロべニア、11.韓国、12.チェコ、13.ドイツ 14.トルコ、15.ノルウェー、16.ハンガリー、17.フィンランド、18.フラン ス、19.ブルガリア、20.ベルギー、21.ポーランド、22. ボルトガル、23.ラトビア、24.ルーマニア、25.ロシア

(2) これらの国は、さらに、①憲法の前文に環境権が規定されている国 と、②憲法本文に環境権が規定されている国 とに分かれる。
前文規定と本文規定の差は、裁判規範性に違いがあり、前文規定では裁判規範性が弱い、とされる意見が強いが、そうではないとする意見もある。

さらに、環境権の原点であるサックス教授が主張されている「後世代への責務」を憲法に規定している国もある。

①憲法前文に環境権が規定されている国の例―フランスー

憲法前文

「フランス人民は 1789 年宣言により規定され 1946 年憲法前文により確認かつ補完された人民の諸権利と国民主権の諸原理に対する忠誠、及び、2004 年環境憲章により規定された権利と義務に対する忠誠を厳粛に宣言する。」

ゴチック部分が今回修正された前文箇所。

前文についてはこのサイトの「Preamble」をご参照

環境憲章

「フランス人民は、天然資源ならびに自然界の均衡が人類の出現を条件づけたということ、人類の将来ならびに存在そのものがその自然環境と不可分であ るということ、環境は人類の共有財産であるということ、人は、生存の条件ならびに自身の発展に対しますます影響を及ぼしつつあるということ、生物の多様 性、人格の開花、人間社会の進歩が、一定の消費もしくは生産様式および天然資源の過度の開発により影響を受けているということ、環境保全は、国民が有する 他の基本利益と同様に追求されなければならないということ、持続可能な発展を確保するためには、現在の欲求に応じることを目的とした選択は、将来世代なら びに他の人民が自身の欲求を充足させる能力を危うくするものであってはならないということ、
これらのことに鑑み、以下のとおり宣言する。」

以下に環境保護に関する5つの原則(①責任原則(4条)②予防原則(5条)③統合原則(6条)④防止原則(3条)⑤参加原則(2条))を例示

責任原則
第 4 条「何人も、法律により定められた条件においても自己が環境にもたらす損害の回復に貢献しなければないらない」

予防原則
第5条 科学的知見の現状において不確実であっても、損害の発生が環境に対し重大かつ不可逆的な影響を及ぼしうる場合には、公共機関は、予防原則の適用により、自 己の権限の範囲内において、リスク評価手続を実施し、損害の発生を予防するべく相応の暫定的措置を講じるよう留意する

統合原則
第6条 公共政策は、持続可能な発展を促進しなければならない。この目的のため、公共政策は、環境の保護ならびに開発、経済発展、社会の進歩を調整する

防止原則
第 3 条「何人も、法律に定められた条件において自己がおよぼしうる侵害を防止し、さもなくば、その侵害の影響を制限しなければならない」

参加原則
第2条 何人も、環境の保全ならびに改善に参加する義務を有する。

環境憲章全文についてはこのサイトご参照

シラク大統領が大統領選挙で公約し 2002 年実行したもの
環境憲章を憲法的法律と位置づけ、下位の法律に対する規範性を持たせている。

②憲法本文に環境権が規定されている国の例―ドイツー

第 20a 条(自然的生活基盤の保護義務)
「国は来るべき世代に対する責任を果たすためにも、憲法に適合する秩序の枠内において、立法を通じて、また法律および法の基準に従って、執行権および裁判を通じて、自然的生活基盤を保護する」

③「後世代への責務」を憲法に規定している国の例―グルジア―

第 37 条
「三項 すべての国民は健全な環境のもとに暮らす権利があり、また、自然・文化的環境を利用する権利がある。
四項 社会の生態的・経済的利益を一致させ、そして、現在の世代と将来の世代との利益を考慮 し、国 は、健 全な環 境を確実にするため、自 然の保 護を保 証し、自然 の合理 的な使 用 を保 証 する。 」

サックス教授の当初の環境権の精神にのっとった規定である。

 

■6.現行憲法での憲法 13 条・25 条援用による環境権の限界

次の点での現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”の限界がネック。

①私権としての環境権を、憲法第13条の幸福追求権から導き出される人格権をもって、公益に優先して司法救済することに限界がある。
公定力にはあらがえない。

②環境権の権 利の対象 の「環境の内容の範囲や地域的 範囲」「権利 侵害 の概念」「権 利者の主 体 と範囲」が不明確である。
外延性が拡大しすぎる。

③環境問題が広域化・複合化するなかでは、人格権侵害の問題として個人を原告とした訴訟を行っても、公益と私的環境損失との比較秤量を行えば、個人の受忍限度の量は公益に劣後してしまう。
集団訴訟がまだ慣行化していない。
環境価値の数値化手法が未成熟である。(CVM法トラベルコスト法等が試行錯誤されてはいるが、司法に認容された例はない。)

④住民個人が環境資 産 から受ける利益が、司法 から反射利益と見なされれば、現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”のもとでは、差し止め請求の根拠となりえない。
反射利益は法に基づいた利益とはみなされない。

⑤私権としての環境権を争う民事訴訟では、原告個人への環境破壊による加害行為が具体的に立証されなければ、原告の請求は認容されない。

⑥環境権は原告の個人的な利益を超えた利益であるはずなのに、現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”のもとでは、私権としての環境権しか認められない。
公益と私益との二値化でしか司法の場でとらえられない。
個人が公益を主張することが出来ない。

以上のような限界から、現行の憲法第13条・第25条援用では賄いきれない、「私権としての環境権を逸脱した環境権」を、新しい条文で守る必要が出てきた。

 

■7.例え憲法に環境権が規定されても、環境訴訟の原告にハードルとなりうる諸問題

(1)原告適格の問題

①原告として訴訟を進行し判決を受けるための資格があるかどうか?
もし、原告適格がないと裁判所が判断されれば、そこで、門前払いとなる。

環境訴訟において原告適格が問題となるのは、次の場合

①環境資産が所在する土地に居住する者しか原告として認めらない。
②環境資産の処分が原告の一定の利益に対する侵害を伴うことが条件であり、かつ、その利益が法令により公益とともに保護される利益の範囲に含まれているもの。
③反射的利益を受ける者は、法律上、保護された利益ではないので、原告適格とはみなされない。

なお、平成16年に行政事件訴訟法の改正があり、「第9条(原告適格)「法律上の利益を有する者」」に2項をくわえ「考慮すべき利益の内容性質をも考慮」を付け加えた。

「法律上の利益」については以下の二説がある。
①「法律上、保護された利益説」(根拠法規が存在している)
②「法律上、保護に値する利益説」(事実上の利益でも、法律上の利益と見なす)

今回の行政事件訴訟法2項の新設は②の「法律上、保護に値する利益説」に配慮したものとみられる。

行政訴訟法改正直後に判決があった「小田急大法廷判決」(平成17年12月7日)は注目されたが、関連法規による利益の保護趣旨の範囲内での一部の原告の拡大にとどまった。
すなわち。
①東京都環境影響評価(アセスメント)条例の定める関係地域内(線路から概ね1キロ前後の範囲)に居住する37名に「原告適格」を認める。
②関係地域外に居住する3名の上告人は、原告適格を有しない。
③各附属街路(側道)事業の認可取り消しの各訴えに関する部分は、当該事業地内の地権者4名を除いて、これを棄却する。
④都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受ける おそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。
④行政事件訴訟法9条と目的を共通にする関係法令として、都市計画法、公害基本対策基本法をあげ、これらの関連法規は住民の具体的利益を保護しようとするものと解されるところから、この具体的利益は、一般的公益の中に吸収解消させることが困難であると解釈される。
⑤以上から都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的 に受けるおそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。

ご参照「小田急訴訟 最高裁大法廷判決の意義

参考

行政事件訴訟法 第九条  (原告適格)
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2  裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。こ の場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものと し、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質 並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

②苦肉の策としての「自然の権利訴訟」

原告適格を持つ人は限られてくる。たとえば、干潟なら、地元の漁業者など。それらの漁業者が補償金を得て、干潟をつぶすことに同意してしまうと、その干潟の地元には原告となる資格のものがいなくなる。
その干潟のある場所に住んでいなければ原告としては認められないので、苦肉の策として生れてきたのが、干潟に生息するムツゴロウを原告に仕立て上げるとい う方法。これを自然の権利訴訟という。実 際の裁判においては自然の権利訴訟は原告非適格で門前払いされ、住民訴訟に切り替えて受理されている。
アマミノクロウサギ訴訟(鹿児島地裁、平成13年1月22日)では、「アマミノクロウサギ こと 何山何男」として受理された。

日本における代表的な「自然の権利」訴訟
アマミノクロウサギ自然の権利訴訟(1995年2月23日提訴・鹿児島地方裁判所)
オオヒシクイ自然の権利訴訟(1995年12月19日提訴・水戸地方裁判所)
ムツゴロウ諫早湾自然の権利訴訟( 1996年7月16日提訴・長崎地方裁判所)
大雪山のナキウサギ裁判(1996年8月26日提訴・札幌地方裁判所)
生田緑地・里山・自然の権利訴訟(ホンドギツネ、ホンドタヌキ、ギンヤンマ、カネコトテタグモ、ワレモコウ)(1997年1月24日提訴・横浜地方裁判所)

馬毛島マゲシカ自然の権利訴訟(2002年01月22日提訴、鹿児島地方裁判所)

奄美ウミガメ自然の権利訴訟(2003年07月11日提訴、鹿児島地方裁判所)
沖縄ジュゴン訴訟(2003年提訴、サンフランシスコ連邦地裁)

③環境訴訟における原告拡大の試みー「オーフス条約」ー

国際的には環境訴訟における原告拡大の機運が高まっている。

その一つの動きが、「オーフス条約」である。

「環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約」

批准国はEUも含め39カ国。署名国は6カ国に及んでいる。

日本は批准国でも署名国でも、まだない。

「第 9 条 司法へのアクセス
2.各締約国は、その国内法の枠組みにおいて、以下のことを確保しなければならない。(中略)
何が十分な利益と権利の侵害を構成するかは、国内法の要件に従い、かつ、「関心をもつ公衆」にこの条約の範囲内で司法への広範なアクセスを付与するという目的に合致するように判断されなければならない。」

なお、上記の「関心を持つ公衆」の概念の中には、非使用価値を持つ人、観光客や非居住者、環境NGOまでをも含みうる。

(2) プログラム規定の問題

憲法上に規定される環境権は、抽象的権利なのか、それとも具体的権利なのか?という問題がある。。
憲法 25 条規定の生存権で環境権を争うとしても、それは具体的な権利なのか?
プログラム規定説は国民の生存を国が確保すべき政治的、道義的目標を定めたにすぎず、具体的な権利を定めたものではない、とする考え。
一方、憲法の下位の法律で生存権が具体化できる法律があれば、訴えを起こすことができるという説もあり、これを抽象的権利説という。
さらに、憲法25条は生存権の内容を具体的に定める法律がなくとも、直接 憲法第25条に基づいて訴えを起こせるという説があり、これを具体的権利説という。

(3)反射的利益の問題

たとえば大きな滝の名所があるとする。その滝には多くの観光客が訪れる。その滝の前には、土産物屋さんや、記念写真屋さんなどがある。これらの、滝の前の土産物屋さんや記念写真屋さんは、大きな滝の恩恵を受けて、商売での利益を受けていることになる。
このような「大きな滝」という環境資産から反射されて利益を受けることを「反射的利益を享受する」と言う。
一方、訪れる観光客は、その滝という環境資産で金銭的な恩恵を受けてはいないので、反射的利益を受けていない当事者といえる。
では、実際に環境資源である滝が工事のために破壊されるとして、反射的利益を有する写真屋さんがそれに反対して訴訟を起こし、原告になりうるか?
その利益が法律によって保護されていれば原告になりうるが、そうでなければ原告にはなりえない。

(4)使用価値(利用価値)と非使用価値(非利用価値)の問題

①景観や生態系は、それ自体、利用や使用ができる立場の人と、できない立場の人とがある。
たとえば干潟は、地元居住民にとっては、自然のもたらす海産物や貝類などを使用(利用)したり換金することができるが、そこに居住していない観光客にとっては、自然のもたらす海産物や貝類などを使用(利用)したり換金することはできない。
でも、そこに居住していない観光客(ビジター)であっても、干潟を散策する喜びや愛でる喜びといった、非使用価値(非利用価値) は持っている。
また海外の訪れない人でも、その環境価値を知り、ともに享受するという意味での非使用価値(非利 用価値)はもっている。
でも、そのような非使用価値(非利用価値)を持つ人々は、多くの場合、原告となることを認められていない。

②自然享有権

1986年、日本弁護士会の人権擁護大会で、「自然享有権」なる概念が提唱された。
この概念の意味するところは、「人が、生まれながらにして等しく有する、自然の恩沢を享有する権利」「自然の一員として、自然の生態 系のバランスを維持する権利」「自然自身および将来の国民から信託された、自 然を保護・保全する権利」であるといわれている。
したがって、この権利は、地域的に限定されない権利であり、権利主体にも、制約のない権利であり、さらに、個人の権利のみでなく、自然自身や将来の世代を も代表する権利である。さらに、その自然生態系なり景観に接することのできない人々の「非使用価値」に基づく権利を含む。
これらの権利は、防御権としての環境権とは異なり、妨害排除を請求できる権利である。
すなわち、環境被害の事前の差し止め請求権とともに、事後の現状回復請求権、そして、行政への措置請求権を有す。

これを憲法にどう盛り込むかは難問。

(5)個人の受忍限度の問題

公害などによって個人の環境権または人格権が、どの程度そこなわれたのか?その基準として、一般人が社会通念上,がまん (受忍) できる被害の程度をさす。
騒音などの場合なら、例えばその限界を「工場騒音の受忍限度は,被害者居住家屋の最も音源に近い場所において 55 ホン程度」(名古屋地判昭和 39・11・30)(騒音被害事件で受忍限度論を前提とした初めての最高裁判決)などと数値化しえるが、かなり司法サイドの裁量性の大きい概念といえる。
例え受忍限度で救済されたとしても、その時点で、原告の健康状態は死に近づいている場合もあるので、フランスの環境憲章にうたわれている「予防原則」が明記されている必要がある。

なお、原告本人が喫煙者の経歴を持つ場合などは、原因企業と原告との割合的責任が問われた判決も過去にみられた。

(6)公益と私益との比較衡量(秤量)の問題

環境権は、私権としての基本権利であると同時に、公益を志向した基本権利でもある。
国民個人が、私権としての環境権をもって民事訴訟に持ち込んだ場合、公権力の公益と原告個人の私的利益との双方の利益の程度の比較を行う。
これを公益と私益との比較衡量または比較秤量(ひかく・ひょうりょう)という。
これまでの憲法第13条・第25条援用の私権としての環境権では、その比較すべきは「公共益 vs 私的利益」の比較による受忍限度判断であった。
新しく憲法上に環境権が盛り込まれるた場合、その比較は「公共益 vs 環境の公共益」の比較、あるいは、「当該環境の公共益 vs 他の環境の公共益」の比較となる場合もあり得る。
現在では、個人が公益に関する権利侵害を訴えることが出来ない。
公益には、私益に内包化しうる公益とそうでない公益とがある。
平成17年の「小田急大法廷判決」では「不特定多数者の利益」には ①一般的公益に吸収・解消しうるもの ②個々人の個別的利益として保護されるもの との二つがあるとの問題意識が提起された。
なお、平成17年の行政訴訟法の改正にあたって、参議院の付帯決議の中に「公益と私益とは二分出来るものなのか?と言う趣旨の問題提起があった。

内容は下記の通り(平成16年6月1日参議院法務委員会 付帯決議)

「第三者の原告適格の拡大については、公益と私益に単純に二分することが困難な現代行政における多様な利益調整の在り方に配慮して、これまでの運用にとらわれることなく、国民の諸権利の救済を拡大する趣旨であることについて周知徹底に努めること。」

 

■8.近年 先進化している環境権についての司法判断

近年、各地の地裁・高裁レベルでも、環境訴訟において、先進的な司法判断が下されることが多くなってきた。

代表的な例として①鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁 平成 21 年 10 月 1 日判決) ②国立マンション
訴訟(最高裁 平成 18 年 3 月 30 日判決)がある。

前者の判決では、住民の景観に有する価値は、私法上保護されるべき経済的な利益にとどまらず、景観それ自体に利益を有するとの司法判断が下された。

後者の判決では、良好な景観に近接し居住する住民は、その景観を享受しうる景観利益を有する、との司法判断が下された。

ただ、このいずれの判決においても、環境権自体を認めるまでには、踏み込まなかった。

鞆の浦景観保全訴訟

鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁平成 21 年 10 月 1 日判決)
「鞆の浦の景観は、美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有し、近接する地域内に住み、その恵沢を日常的に享受する住民の景観利益は法律保護に値する。
公有水面埋立法は、景観利益を保護に値する個別利益として含むと解釈される。
住民は景観による恵沢を日常的に享受しており、法律上の利益を有する。」
「公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保 護する趣 旨を含むものと解するのが相 当である。
したがって、原 告らのうち上記 景 観利 益 を有すると認める」
「景観の価値 は私法 上 保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸 内海 における美的景観 を成すもので、文化的、歴史的価値を有する景観としていわば国民の財産ともいうべき公益である。」
なお、法的保護に値するとした法令として、公有水面法のほか瀬戸内海環境保全特別措置法をあげている。

瀬戸内海環境保全特別措置法
第三条 政府は、瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとつて貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国 民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海の環境の保全上有効な施策の実施を推進するため、瀬戸内海の水質の保全、 自然景観の保全等に関し、瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき
計画を策定しなければならない。

国立マンション訴訟

国立マンション訴訟最高裁判決(平成 18 年 3 月 30 日最高裁判決)
「ある特定地域で、地権者らが十分な相互理解と結束の下に、一定の自己規制を長期間にわたり継続した結 果として、当 該地 域に独 特の街 並み(都 市 景観 )が形 成され、かつ広く一 般社 会でも良 好な景観だと認められることで特 定の付加価値を生み出 している場合には、地権 者らは形成された良好な景観を維持する義務を負うとともに、その維持を相互に求める利益を有するに至ったと解すべきだ。
この景観利益は法的保護に値し、これを侵害する行為は一定の場合に不法行為に該当する。」
「良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益(「景観利益」)は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。
本件について、景観に近接する地域内の居住者は、「景観利益」を有している。」

 

■9.政治サイドの動きの例としてー愛知私案と自民党草案ー

(1)愛知私案
具体的な政治家サイドの動きとして、元環境庁長官の愛知和男先生が 2000 年 2 月に提唱された「平成憲法 愛知試案 第三次改定版」がある。
そこでは、環境権は以下のように規定。
「平成憲法」愛知私案 第33条
環境に関する権利及び義務
① 何人も、良好な環境を享受する権利を有するとともに、良好な環境を保持し且つわれわれに続く世代にそれを引き継いでいく義務を有する。
② 国は良好な環境の維持及び改善に努める

(2)自民党 日本国憲法改正草案

自民党は 2012 年 4 月 27 日に自民党憲法改正草案を発表、現在、これをベースに公明党との与党間
協議に入っている。
環境権については以下の通り
「第 25 条の 2 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することが出来るようにその保全に努めなければならない。」
「前文 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。」

 

■10.おわりにー残された課題―

(1)現世代が後世代のために良好な環境資産を残すことを憲法のどこで保証するのか?
現行憲法の第11条、第97条に「将来の国民より信託された権利」の規定がある。
憲法第11条(基本的人権の享有)「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」
憲法第97条(基本的人権の本質)「これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」
しかし、これは、環境権の援用としては使われていない。
グルジアの憲法では、後世代への保護義務について述べている。
愛知和男私案では「われわれに続く世代に、権利を引き継ぐ義務を有する」との規定がある。
新憲法にこの趣旨を書き込むのかどうか? 書きこむとすればどこに書きこむのか?が検討課題

(2)環境基本法との関係

環境基本法には環境権は盛り込まれていないが、第3条に同様の趣旨の記載はある。

環境基本法第3条

「環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な 均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきているこ とにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適 切に行われなければならない。」
現在の環境基本 法を、フランスの「環境憲章」のように、「憲法的法律」に格 上げし、前 文から移譲 、という方法もある。
ただし、この場合、その憲法的法律に格上げした環境基本法が、下位の法律に対し、プログラム規定の役割を果たせるかどうか、裁判規範性を保持しうるかどうか、については疑問。

(3)自然享有権やグレーゾーンの環境権のとりあつかい

日本の環境資産の中には、所有があいまいなグレーゾーンのスペース(たとえば、入浜権というもの、長浜町入浜権訴訟(松山地裁昭和53年5月29日)など)がある。
これらのスペースでの環境権は「個別的環境権」と呼ばれるものであり、グレーゾーンでの環境権ともいうべきもの。
これらのスペースへの一般市民へのパブリック・アクセス権、あるいは コモンズと呼ばれる共通利用スペースに対するアクセス権、というものをどう保証するのか?も課題。
環境権の概念の中に「国なり行政が、国民や市民のために、彼らにかわってこれらの環境資産を受託し、管理する」という公共信 託の概念を、環境 権の概念の中に折り込むことによって、これらグレーゾーンの環境資産での環境権の問題は解決しうるものと思われる

以上 (2014 年 10 月 2 日 記)

以上のメモは2014年10月9日に小生が明治大学の「学部間共通総合講座」の「環境と政治」シリーズにおいて、「環境権と憲法改正の動き」と題して講義したものに一部を加筆したものです。

2014年10月10日

環境権と憲法改正の動きについて

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■1.安倍政権での憲法改正の動き

(1)国民投票法(日本国憲法の改正手続きに関する法律の一部を改正する法律)の成立・施行(平成 26 年 6 月公布)
国民投票法はすでに平成22年5月18日に成立しているが、今回の改正を得て、3つの検討課題(年齢条項の見直し、公務員の政治的行為の制限に係る法整備、国民投票の対象拡大についての検討)が整備された。
国会の三分の二の発議を受ければ国民投票が出来る状態になった。

(2)これを受けて自民党憲法改正草案(2012 年4月自民党発表)をたたき台にしての与党(自民党・公明党)間話し合いの開始

(3)自民党は憲法改正推進本部(船田元 本部長)会合で論議開始。船田氏は「改憲草案を一回の国民投票で3つ程度是非を問い、5年から10年かけて、4回から5回の国民投票を実施。9条改正については2回目以降とし、「ならし運転」をしたうえで国民投票にかける」と話した。2年以内に、環境権が優先して国民投票にかけられる可能性が出てきた。

(4)2014年10月7日、衆院憲法審査会(会長・保利耕輔元自治相)の幹事懇談会で、自民党側が「環境権」「緊急事態条項」「財政健全化規定」の三つの論点について、今国会での審議を提案した。
民主党など野党4党は持ち帰って検討することになった。共産党は提案に反対した。

 

環境権を憲法に盛り込むことについての各政党のスタンス

(1)国会での論議では次の三つの方向が錯綜

①明文改憲が必要-環境権を明記
②明文改憲は必要ないが、下位の法律での立法措置が必要
③必要はない。現行で OK

(2)各政党のスタンス

①自民党―他の新しい人権(プライバシー権、国民の知る権利、犯罪被害者への配慮)とともに環境権を憲法に盛り込む

②公明党―「加憲論議」の対象として新しい人権の一つである環境権を加える。加憲のスタンス

③民主党―基本的人権は公益や公の秩序に劣るものではないという観点から環境権をも含む新しい人権を憲法に加えるための論議を進める。96条先行改正には反対。創憲のスタンス。

④維新・みんなの党―環境権については賛成

⑤共産党・社民党―現行憲法のもとで、具体的に立法で規定することで環境権は守れる。環境権を道連れにした憲法改正には反対。護憲を優先。

 

■2.サックス教授が唱えた「環境権」のもともとの概念

(1)ミシガン大学のサックス教授(Joseph L. Sax)が1970年4月1日提出「ミシガン州環境保護法(The Michigan Environmental Protection Act)(MEPA、現在はNREPA)で「天然資源または天然資源に関する公共信託に対する汚染・損傷・破壊について、市民・法人・団体などは訴えることができる。」と規定

英語では

「The People of the State of Michigan enact;

Section 2(1)  ”The attorney general, any political subdivision of the state, any instrumentality or agency of the state or of a political subdivision thereof, any person, partnership, corporation, association, organization, or other legal entity may maintain an action in the circuit court having jurisdiction where the alleged violation occurred or is likely to occur for declaratory and equitable relief against the state, any political subdivision thereof, any instrumentality or agency of the state or other political subdivision thereof, any pertinent person, partnership, corporation, association, organization or other legal entity for the protection of the air, water and other natural resources and the public trust therein from pollution, impairment or destruction. “」

参照

「The Michigan Environmental Protection Act of 1970」

Superior Public Rights, Inc. v. Department of Natural Resources

(2)ここでの「公共信託」(Public Trust Doctrine)という概念は「公衆の共同財産である天然資源を、公衆が自由に利用できるよう、行政主体が公衆より信託され、管理・維持する義務」

サックス教授の「The Public Trust Doctrine in Natural Resource Law」もご参照

良好な環境資産は、後世代から現世代に託されつつ、世代から世代へ、受け継がれていくもの、という考え方。

(3)このように、サックス教授の言われる「環境権」には、単に現世代のための環境権ばかりでなく、将来の世代のための環境権も、含まれている。

 

■3.日本国憲法に環境権はあるのか?

二つの基本権の援用をし、司法救済しようとしている。

①憲法13条の幸福追及権
個人に対する環境の享受が公権力によって妨げられない権利。
新しい人権であり、環境権以外に、知る権利、プライバシー権などを救済しうる根拠が含まれる。
なお、これまで、司法は、肖像権のみ認容(昭和44年12月24日 最高裁 京都府学連事件)している。

②憲法25条の生存権
環境の保全のための積極的な施策をとるように、公権力に対して要求する権利。
経済的生存権だけでなく環境的生存権をも守るというもの。
プログラム規定的性格が強い。

憲法第13条

条文
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

憲法第25条

条文
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

 

■4.日本の環境権の不毛な出発

(1) 日本の環境 権 は、公 害 訴訟での損 害賠 償訴 訟 や差 し止め請 求訴 訟において、憲法 13条の幸 福追求権、憲法25条の生存権を援用し、司法救済をしようとすることから始まった。

(2) 初めて、憲法本文を援用し、司法救済を図ろうとした訴訟は「伊達火力発電所訴訟(札幌地裁 昭和55年10月14日判決)

「火力発電操業による排出ガスは住民の健康を損なうものであり、環境権・人格権の侵害である」と原告は主張したが、「環境の要素は住民個々に差があり、地域住民が共通の排他的支配権を有するものではない」として、司法は環境権を否定。

(3) 以降の憲法13条.25条援用による環境訴訟においては、ことごとく司法は環境権を認容しなかったが、「大阪国際空港公害訴訟(最高裁昭和56年12月16日 大法廷判決)」においては、「差し止め請求と損害賠償訴訟は人格権を根拠にして認容しうるので環境権については認容するまでもない」としつつ、人格権に基づく「過去の損害賠償」についてのみ認容した。

そのほか、環境権が争われた主な裁判例としては次のものがある。

名古屋新幹線訴訟(名古屋地裁、昭和55年9月11日)(公共益が受忍限度に勝るとし却下)
関西電力多奈川火力発電所訴訟(大阪地裁、昭和59年2月8日)(原告の素因・加齢・喫煙要因と被告が加えた大気汚染物質要因との割合に応じ減責)
豊前火力発電所訴訟(最高裁昭和60年12月20日)(環境権については判示せず)
川崎製鉄高炉新設差止め請求訴訟(千葉地裁.昭和63年11月17日)(排出差し止め請求は不当で請求を却下。高炉操業差し止め請求は不当で請求を棄却)
琵琶湖総合開発差止め請求訴訟(大津地裁、平成元年3月8日)(浄水享受権が個別的環境権としてはなじまないとし却下)
長良川河口堰差止訴訟(岐阜地裁平成6年7月20日)(公共の利益を上回る損害の程度ではないとし却下)

(4)結論的には、日本における憲法13条25条援用による環境権は、司法救済しうるにたりない、あってなきがごときものであった。

 

なぜ第13条・25条援用では、日本の司法に環境権を認容させることが出来なかったのか?

四つの理由がある。

(1)憲法第13条・第25条 は国の責務を宣言する綱領的な規定であり、国 民に直接に具体的権利を与えるものではない。(プログラム規定の問題)

(2)環境権の属性があいまいで差し止め請求しにくい。(公益と私益との比較衡量(秤量)の問題)
外延性がありすぎる。

(3)環境権がなくても人格権や財産権根拠で差し止め請求・損害賠償請求ができる。(非代替性の欠如の問題)

(4)地域住民は景観・環境そのもので利益・権利を得ているものではない。(非使用価値の問題と反射的利益の問題)
ただし、鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁 平成21年10月1日)では「住民の景観利益は法律的保護に値する」とした。

 

■5.諸外国における憲法で環境権規定の実態

(1)憲法に環境権が制定されている国は
1.アゼルバイジャン、2.アルゼンチン、3.アルバニア、4.アルメリア、5.エチオピア、6.ギリシャ、7.グルジア、8.スペイン、9.スロバキア、10.スロべニア、11.韓国、12.チェコ、13.ドイツ 14.トルコ、15.ノルウェー、16.ハンガリー、17.フィンランド、18.フランス、19.ブルガリア、20.ベルギー、21.ポーランド、22. ボルトガル、23.ラトビア、24.ルーマニア、25.ロシア

(2) これらの国は、さらに、①憲法の前文に環境権が規定されている国 と、②憲法本文に環境権が規定されている国 とに分かれる。
前文規定と本文規定の差は、裁判規範性に違いがあり、前文規定では裁判規範性が弱い、とされる意見が強いが、そうではないとする意見もある。

さらに、環境権の原点であるサックス教授が主張されている「後世代への責務」を憲法に規定している国もある。

①憲法前文に環境権が規定されている国の例―フランスー

憲法前文

「フランス人民は 1789 年宣言により規定され 1946 年憲法前文により確認かつ補完された人民の諸権利と国民主権の諸原理に対する忠誠、及び、2004 年環境憲章により規定された権利と義務に対する忠誠を厳粛に宣言する。」

ゴチック部分が今回修正された前文箇所。

前文についてはこのサイトの「Preamble」をご参照

環境憲章

「フランス人民は、天然資源ならびに自然界の均衡が人類の出現を条件づけたということ、人類の将来ならびに存在そのものがその自然環境と不可分であるということ、環境は人類の共有財産であるということ、人は、生存の条件ならびに自身の発展に対しますます影響を及ぼしつつあるということ、生物の多様性、人格の開花、人間社会の進歩が、一定の消費もしくは生産様式および天然資源の過度の開発により影響を受けているということ、環境保全は、国民が有する他の基本利益と同様に追求されなければならないということ、持続可能な発展を確保するためには、現在の欲求に応じることを目的とした選択は、将来世代ならびに他の人民が自身の欲求を充足させる能力を危うくするものであってはならないということ、
これらのことに鑑み、以下のとおり宣言する。」

以下に環境保護に関する5つの原則(①責任原則(4条)②予防原則(5条)③統合原則(6条)④防止原則(3条)⑤参加原則(2条))を例示

責任原則
第 4 条「何人も、法律により定められた条件においても自己が環境にもたらす損害の回復に貢献しなければないらない」

予防原則
第5条 科学的知見の現状において不確実であっても、損害の発生が環境に対し重大かつ不可逆的な影響を及ぼしうる場合には、公共機関は、予防原則の適用により、自己の権限の範囲内において、リスク評価手続を実施し、損害の発生を予防するべく相応の暫定的措置を講じるよう留意する

統合原則
第6条 公共政策は、持続可能な発展を促進しなければならない。この目的のため、公共政策は、環境の保護ならびに開発、経済発展、社会の進歩を調整する

防止原則
第 3 条「何人も、法律に定められた条件において自己がおよぼしうる侵害を防止し、さもなくば、その侵害の影響を制限しなければならない」

参加原則
第2条 何人も、環境の保全ならびに改善に参加する義務を有する。

環境憲章全文についてはこのサイトご参照

シラク大統領が大統領選挙で公約し 2002 年実行したもの
環境憲章を憲法的法律と位置づけ、下位の法律に対する規範性を持たせている。

②憲法本文に環境権が規定されている国の例―ドイツー

第 20a 条(自然的生活基盤の保護義務)
「国は来るべき世代に対する責任を果たすためにも、憲法に適合する秩序の枠内において、立法を通じて、また法律および法の基準に従って、執行権および裁判を通じて、自然的生活基盤を保護する」

③「後世代への責務」を憲法に規定している国の例―グルジア―

第 37 条
「三項 すべての国民は健全な環境のもとに暮らす権利があり、また、自然・文化的環境を利用する権利がある。
四項 社会の生態的・経済的利益を一致させ、そして、現在の世代と将来の世代との利益を考慮 し、国 は、健 全な環 境を確実にするため、自 然の保 護を保 証し、自然 の合理 的な使 用 を保 証 する。 」

サックス教授の当初の環境権の精神にのっとった規定である。

 

■6.現行憲法での憲法 13 条・25 条援用による環境権の限界

次の点での現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”の限界がネック。

①私権としての環境権を、憲法第13条の幸福追求権から導き出される人格権をもって、公益に優先して司法救済することに限界がある。
公定力にはあらがえない。

②環境権の権 利の対象 の「環境の内容の範囲や地域的 範囲」「権利 侵害 の概念」「権 利者の主 体 と範囲」が不明確である。
外延性が拡大しすぎる。

③環境問題が広域化・複合化するなかでは、人格権侵害の問題として個人を原告とした訴訟を行っても、公益と私的環境損失との比較秤量を行えば、個人の受忍限度の量は公益に劣後してしまう。
集団訴訟がまだ慣行化していない。
環境価値の数値化手法が未成熟である。(CVM法トラベルコスト法等が試行錯誤されてはいるが、司法に認容された例はない。)

④住民個人が環境資 産 から受ける利益が、司法 から反射利益と見なされれば、現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”のもとでは、差し止め請求の根拠となりえない。
反射利益は法に基づいた利益とはみなされない。

⑤私権としての環境権を争う民事訴訟では、原告個人への環境破壊による加害行為が具体的に立証されなければ、原告の請求は認容されない。

⑥環境権は原告の個人的な利益を超えた利益であるはずなのに、現行の憲法第13条・第25条援用の”みなし環境権”のもとでは、私権としての環境権しか認められない。
公益と私益との二値化でしか司法の場でとらえられない。
個人が公益を主張することが出来ない。

以上のような限界から、現行の憲法第13条・第25条援用では賄いきれない、「私権としての環境権を逸脱した環境権」を、新しい条文で守る必要が出てきた。

 

■7.例え憲法に環境権が規定されても、環境訴訟の原告にハードルとなりうる諸問題

(1)原告適格の問題

①原告として訴訟を進行し判決を受けるための資格があるかどうか?
もし、原告適格がないと裁判所が判断されれば、そこで、門前払いとなる。

環境訴訟において原告適格が問題となるのは、次の場合

①環境資産が所在する土地に居住する者しか原告として認めらない。
②環境資産の処分が原告の一定の利益に対する侵害を伴うことが条件であり、かつ、その利益が法令により公益とともに保護される利益の範囲に含まれているもの。
③反射的利益を受ける者は、法律上、保護された利益ではないので、原告適格とはみなされない。

なお、平成16年に行政事件訴訟法の改正があり、「第9条(原告適格)「法律上の利益を有する者」」に2項をくわえ「考慮すべき利益の内容性質をも考慮」を付け加えた。

「法律上の利益」については以下の二説がある。
①「法律上、保護された利益説」(根拠法規が存在している)
②「法律上、保護に値する利益説」(事実上の利益でも、法律上の利益と見なす)

今回の行政事件訴訟法2項の新設は②の「法律上、保護に値する利益説」に配慮したものとみられる。

行政訴訟法改正直後に判決があった「小田急大法廷判決」(平成17年12月7日)は注目されたが、関連法規による利益の保護趣旨の範囲内での一部の原告の拡大にとどまった。
すなわち。
①東京都環境影響評価(アセスメント)条例の定める関係地域内(線路から概ね1キロ前後の範囲)に居住する37名に「原告適格」を認める。
②関係地域外に居住する3名の上告人は、原告適格を有しない。
③各附属街路(側道)事業の認可取り消しの各訴えに関する部分は、当該事業地内の地権者4名を除いて、これを棄却する。
④都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。
④行政事件訴訟法9条と目的を共通にする関係法令として、都市計画法、公害基本対策基本法をあげ、これらの関連法規は住民の具体的利益を保護しようとするものと解されるところから、この具体的利益は、一般的公益の中に吸収解消させることが困難であると解釈される。
⑤以上から都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する。

ご参照「小田急訴訟 最高裁大法廷判決の意義

参考

行政事件訴訟法 第九条  (原告適格)
処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2  裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

②苦肉の策としての「自然の権利訴訟」

原告適格を持つ人は限られてくる。たとえば、干潟なら、地元の漁業者など。それらの漁業者が補償金を得て、干潟をつぶすことに同意してしまうと、その干潟の地元には原告となる資格のものがいなくなる。
その干潟のある場所に住んでいなければ原告としては認められないので、苦肉の策として生れてきたのが、干潟に生息するムツゴロウを原告に仕立て上げるという方法。これを自然の権利訴訟という。実 際の裁判においては自然の権利訴訟は原告非適格で門前払いされ、住民訴訟に切り替えて受理されている。
アマミノクロウサギ訴訟(鹿児島地裁、平成13年1月22日)では、「アマミノクロウサギ こと 何山何男」として受理された。

日本における代表的な「自然の権利」訴訟
アマミノクロウサギ自然の権利訴訟(1995年2月23日提訴・鹿児島地方裁判所)
オオヒシクイ自然の権利訴訟(1995年12月19日提訴・水戸地方裁判所)
ムツゴロウ諫早湾自然の権利訴訟( 1996年7月16日提訴・長崎地方裁判所)
大雪山のナキウサギ裁判(1996年8月26日提訴・札幌地方裁判所)
生田緑地・里山・自然の権利訴訟(ホンドギツネ、ホンドタヌキ、ギンヤンマ、カネコトテタグモ、ワレモコウ)(1997年1月24日提訴・横浜地方裁判所)

馬毛島マゲシカ自然の権利訴訟(2002年01月22日提訴、鹿児島地方裁判所)

奄美ウミガメ自然の権利訴訟(2003年07月11日提訴、鹿児島地方裁判所)
沖縄ジュゴン訴訟(2003年提訴、サンフランシスコ連邦地裁)

③環境訴訟における原告拡大の試みー「オーフス条約」ー

国際的には環境訴訟における原告拡大の機運が高まっている。

その一つの動きが、「オーフス条約」である。

「環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約」

批准国はEUも含め39カ国。署名国は6カ国に及んでいる。

日本は批准国でも署名国でも、まだない。

「第 9 条 司法へのアクセス
2.各締約国は、その国内法の枠組みにおいて、以下のことを確保しなければならない。(中略)
何が十分な利益と権利の侵害を構成するかは、国内法の要件に従い、かつ、「関心をもつ公衆」にこの条約の範囲内で司法への広範なアクセスを付与するという目的に合致するように判断されなければならない。」

なお、上記の「関心を持つ公衆」の概念の中には、非使用価値を持つ人、観光客や非居住者、環境NGOまでをも含みうる。

(2) プログラム規定の問題

憲法上に規定される環境権は、抽象的権利なのか、それとも具体的権利なのか?という問題がある。。
憲法 25 条規定の生存権で環境権を争うとしても、それは具体的な権利なのか?
プログラム規定説は国民の生存を国が確保すべき政治的、道義的目標を定めたにすぎず、具体的な権利を定めたものではない、とする考え。
一方、憲法の下位の法律で生存権が具体化できる法律があれば、訴えを起こすことができるという説もあり、これを抽象的権利説という。
さらに、憲法25条は生存権の内容を具体的に定める法律がなくとも、直接 憲法第25条に基づいて訴えを起こせるという説があり、これを具体的権利説という。

(3)反射的利益の問題

たとえば大きな滝の名所があるとする。その滝には多くの観光客が訪れる。その滝の前には、土産物屋さんや、記念写真屋さんなどがある。これらの、滝の前の土産物屋さんや記念写真屋さんは、大きな滝の恩恵を受けて、商売での利益を受けていることになる。
このような「大きな滝」という環境資産から反射されて利益を受けることを「反射的利益を享受する」と言う。
一方、訪れる観光客は、その滝という環境資産で金銭的な恩恵を受けてはいないので、反射的利益を受けていない当事者といえる。
では、実際に環境資源である滝が工事のために破壊されるとして、反射的利益を有する写真屋さんがそれに反対して訴訟を起こし、原告になりうるか?
その利益が法律によって保護されていれば原告になりうるが、そうでなければ原告にはなりえない。

(4)使用価値(利用価値)と非使用価値(非利用価値)の問題

①景観や生態系は、それ自体、利用や使用ができる立場の人と、できない立場の人とがある。
たとえば干潟は、地元居住民にとっては、自然のもたらす海産物や貝類などを使用(利用)したり換金することができるが、そこに居住していない観光客にとっては、自然のもたらす海産物や貝類などを使用(利
用)したり換金することはできない。
でも、そこに居住していない観光客(ビジター)であっても、干潟を散策する喜びや愛でる喜びといった、非使用価値(非利用価値) は持っている。
また海外の訪れない人でも、その環境価値を知り、ともに享受するという意味での非使用価値(非利 用価値)はもっている。
でも、そのような非使用価値(非利用価値)を持つ人々は、多くの場合、原告となることを認められていない。

②自然享有権

1986年、日本弁護士会の人権擁護大会で、「自然享有権」なる概念が提唱された。
この概念の意味するところは、「人が、生まれながらにして等しく有する、自然の恩沢を享有する権利」「自然の一員として、自然の生態 系のバランスを維持する権利」「自然自身および将来の国民から信託された、自 然を保護・保全する権利」であるといわれている。
したがって、この権利は、地域的に限定されない権利であり、権利主体にも、制約のない権利であり、さらに、個人の権利のみでなく、自然自身や将来の世代をも代表する権利である。さらに、その自然生態系なり景観に接することのできない人々の「非使用価値」に基づく権利を含む。
これらの権利は、防御権としての環境権とは異なり、妨害排除を請求できる権利である。
すなわち、環境被害の事前の差し止め請求権とともに、事後の現状回復請求権、そして、行政への措置請求権を有す。

これを憲法にどう盛り込むかは難問。

(5)個人の受忍限度の問題

公害などによって個人の環境権または人格権が、どの程度そこなわれたのか?その基準として、一般人が社会通念上,がまん (受忍) できる被害の程度をさす。
騒音などの場合なら、例えばその限界を「工場騒音の受忍限度は,被害者居住家屋の最も音源に近い場所において 55 ホン程度」(名古屋地判昭和 39・11・30)(騒音被害事件で受忍限度論を前提とした初めての最高裁判決)などと数値化しえるが、かなり司法サイドの裁量性の大きい概念といえる。
例え受忍限度で救済されたとしても、その時点で、原告の健康状態は死に近づいている場合もあるので、フランスの環境憲章にうたわれている「予防原則」が明記されている必要がある。

なお、原告本人が喫煙者の経歴を持つ場合などは、原因企業と原告との割合的責任が問われた判決も過去にみられた。

(6)公益と私益との比較衡量(秤量)の問題

環境権は、私権としての基本権利であると同時に、公益を志向した基本権利でもある。
国民個人が、私権としての環境権をもって民事訴訟に持ち込んだ場合、公権力の公益と原告個人の私的利益との双方の利益の程度の比較を行う。
これを公益と私益との比較衡量または比較秤量(ひかく・ひょうりょう)という。
これまでの憲法第13条・第25条援用の私権としての環境権では、その比較すべきは「公共益 vs 私的利益」の比較による受忍限度判断であった。
新しく憲法上に環境権が盛り込まれるた場合、その比較は「公共益 vs 環境の公共益」の比較、あるいは、「当該環境の公共益 vs 他の環境の公共益」の比較となる場合もあり得る。
現在では、個人が公益に関する権利侵害を訴えることが出来ない。
公益には、私益に内包化しうる公益とそうでない公益とがある。
平成17年の「小田急大法廷判決」では「不特定多数者の利益」には ①一般的公益に吸収・解消しうるもの ②個々人の個別的利益として保護されるもの との二つがあるとの問題意識が提起された。
なお、平成17年の行政訴訟法の改正にあたって、参議院の付帯決議の中に「公益と私益とは二分出来るものなのか?と言う趣旨の問題提起があった。

内容は下記の通り(平成16年6月1日参議院法務委員会 付帯決議)

「第三者の原告適格の拡大については、公益と私益に単純に二分することが困難な現代行政における多様な利益調整の在り方に配慮して、これまでの運用にとらわれることなく、国民の諸権利の救済を拡大する趣旨であることについて周知徹底に努めること。」

 

■8.近年 先進化している環境権についての司法判断

近年、各地の地裁・高裁レベルでも、環境訴訟において、先進的な司法判断が下されることが多くなってきた。

代表的な例として①鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁 平成 21 年 10 月 1 日判決) ②国立マンション
訴訟(最高裁 平成 18 年 3 月 30 日判決)がある。

前者の判決では、住民の景観に有する価値は、私法上保護されるべき経済的な利益にとどまらず、景観それ自体に利益を有するとの司法判断が下された。

後者の判決では、良好な景観に近接し居住する住民は、その景観を享受しうる景観利益を有する、との司法判断が下された。

ただ、このいずれの判決においても、環境権自体を認めるまでには、踏み込まなかった。

鞆の浦景観保全訴訟

鞆の浦景観保全訴訟(広島地裁平成 21 年 10 月 1 日判決)
「鞆の浦の景観は、美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有し、近接する地域内に住み、その恵沢を日常的に享受する住民の景観利益は法律保護に値する。
公有水面埋立法は、景観利益を保護に値する個別利益として含むと解釈される。
住民は景観による恵沢を日常的に享受しており、法律上の利益を有する。」
「公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保 護する趣 旨を含むものと解するのが相 当である。
したがって、原 告らのうち上記 景 観利 益 を有すると認める」
「景観の価値 は私法 上 保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸 内海 における美的景観 を成すもので、文化的、歴史的価値を有する景観としていわば国民の財産ともいうべき公益である。」
なお、法的保護に値するとした法令として、公有水面法のほか瀬戸内海環境保全特別措置法をあげている。

瀬戸内海環境保全特別措置法
第三条 政府は、瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとつて貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海の環境の保全上有効な施策の実施を推進するため、瀬戸内海の水質の保全、自然景観の保全等に関し、瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき
計画を策定しなければならない。

国立マンション訴訟

国立マンション訴訟最高裁判決(平成 18 年 3 月 30 日最高裁判決)
「ある特定地域で、地権者らが十分な相互理解と結束の下に、一定の自己規制を長期間にわたり継続した結 果として、当 該地 域に独 特の街 並み(都 市 景観 )が形 成され、かつ広く一 般社 会でも良 好な景観だと認められることで特 定の付加価値を生み出 している場合には、地権 者らは形成された良好な景観を維持する義務を負うとともに、その維持を相互に求める利益を有するに至ったと解すべきだ。
この景観利益は法的保護に値し、これを侵害する行為は一定の場合に不法行為に該当する。」
「良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益(「景観利益」)は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。
本件について、景観に近接する地域内の居住者は、「景観利益」を有している。」

 

■9.政治サイドの動きの例としてー愛知私案と自民党草案ー

(1)愛知私案
具体的な政治家サイドの動きとして、元環境庁長官の愛知和男先生が 2000 年 2 月に提唱された「平成憲法 愛知試案 第三次改定版」がある。
そこでは、環境権は以下のように規定。
「平成憲法」愛知私案 第33条
環境に関する権利及び義務
① 何人も、良好な環境を享受する権利を有するとともに、良好な環境を保持し且つわれわれに続く世代にそれを引き継いでいく義務を有する。
② 国は良好な環境の維持及び改善に努める

(2)自民党 日本国憲法改正草案

自民党は 2012 年 4 月 27 日に自民党憲法改正草案を発表、現在、これをベースに公明党との与党間
協議に入っている。
環境権については以下の通り
「第 25 条の 2 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することが出来るようにその保全に努めなければならない。」
「前文 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。」

 

■10.おわりにー残された課題―

(1)現世代が後世代のために良好な環境資産を残すことを憲法のどこで保証するのか?
現行憲法の第11条、第97条に「将来の国民より信託された権利」の規定がある。
憲法第11条(基本的人権の享有)「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」
憲法第97条(基本的人権の本質)「これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」
しかし、これは、環境権の援用としては使われていない。
グルジアの憲法では、後世代への保護義務について述べている。
愛知和男私案では「われわれに続く世代に、権利を引き継ぐ義務を有する」との規定がある。
新憲法にこの趣旨を書き込むのかどうか? 書きこむとすればどこに書きこむのか?が検討課題

(2)環境基本法との関係

環境基本法には環境権は盛り込まれていないが、第3条に同様の趣旨の記載はある。

環境基本法第3条

「環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っており人類の存続の基盤である限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない。」
現在の環境基本 法を、フランスの「環境憲章」のように、「憲法的法律」に格 上げし、前 文から移譲 、という方法もある。
ただし、この場合、その憲法的法律に格上げした環境基本法が、下位の法律に対し、プログラム規定の役割を果たせるかどうか、裁判規範性を保持しうるかどうか、については疑問。

(3)自然享有権やグレーゾーンの環境権のとりあつかい

日本の環境資産の中には、所有があいまいなグレーゾーンのスペース(たとえば、入浜権というもの、長浜町入浜権訴訟(松山地裁昭和53年5月29日)など)がある。
これらのスペースでの環境権は「個別的環境権」と呼ばれるものであり、グレーゾーンでの環境権ともいうべきもの。
これらのスペースへの一般市民へのパブリック・アクセス権、あるいは コモンズと呼ばれる共通利用スペースに対するアクセス権、というものをどう保証するのか?も課題。
環境権の概念の中に「国なり行政が、国民や市民のために、彼らにかわってこれらの環境資産を受託し、管理する」という公共信 託の概念を、環境 権の概念の中に折り込むことによって、これらグレーゾーンの環境資産での環境権の問題は解決しうるものと思われる

以上 (2014 年 10 月 2 日 記)

以上のメモは2014年10月9日に小生が明治大学の「学部間共通総合講座」の「環境と政治」シリーズにおいて、「環境権と憲法改正の動き」と題して講義したものに一部を加筆したものです。

2012年9月10日

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2012年4月11日

環境省が震災ガレキの広域処理の基準としている「1kgあたり8000ベクレル以下埋立処分可」の数字はどこからでてきているのか?

Filed under: 未分類 — admin @ 11:08 AM


環境省は岩手・宮城の震災瓦礫を広域処理する基準として、以下の四つの条件をあげている。

①岩手・宮城の災害廃棄物に限り広域処理とし、福島の災害廃棄物は広域処理の対象としない。

②原則として放射性セシウムが検出されない瓦礫とするが、検出の場合は焼却前1kg当たり240―480Bq以下のものに限る。

③広域処理の結果生じた焼却場の焼却灰は、1kgあたり8000ベクレルまでは全国において埋立処分できる。

④焼却場におけるバグフィルターはガス化したセシウムのほぼ100%を除去できる。

そこで、いかにも唐突に現れてきたように見える③の「1kgあたり8000ベクレルまでは全国において埋立処分できる。」との基準は、いかなる経緯をもって、環境省の広域処理の条件におりこまれてきたのだろうか?

3.11以降の、これに関する動きを、以下、時系列的に記載する。

2011年5月12日

昨年5月12日に国土交通省から福島県に「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」との文書が出されたが、まだ、この時点ではこの文書に「8000ベクレル/kg以下」の文言は入っていない。

2011年6月3日

2012年6月3日に原子力安全委員会から「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の. 処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」との文書が出された。

ここにおいても「8000ベクレル/kg以下」の文言はまだ入っていない。

しかし、次のような記述がある。

「したがって、今回の事故の影響を受けた廃棄物を処分する場合においても、採用された処分方法に応じたシナリオを設定し、適切な評価を行い、その結果が「第二種放射性廃棄物埋設の事業に関する安全審査の基本的考え方」に示したそれぞれのシナリオに対する「めやす」を満足していることが示されれば、管理を終了しても安全が確保されることについての科学的根拠があると判断できるものと考える。」

つまり、今後の安全基準の考え方は、平成 22 年 8月 9日、原子力安全委員会決定の「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査基本的考え方」をベースに考えるというものである。

なお、参考にすべき過去の文書として、次のものを挙げている。

①「放射線防護に関する助言基本的考え方ついて」 (平成 23 年 5月 19 日、原子力安全委員会 )

②「放射性廃棄物処分の安全規制における共通的な重要事項ついて 」(平成 16 年 6月 10 日、原子力安全委員会了承 )

③「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査基本的考え方」(平成 22 年 8月 9日、原子力安全委員会決定 )

④「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価関す考え方」(平成 22 年 4月 1日、原子力安全委員会了承 )

⑤「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価関す技術資料」(平成 22 年 8月 5日、原子力安全委員会 放射性廃棄物廃止措置専門部)

2011年6月16日

「1kgあたり8000ベクレルまでは制限なしに埋め立て可能」の語句が、3.11以降、最初に現れたのは2012年6月16日原子力災害対策本部の「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」である。

ここにおいては以下のように書かれている。

「下記の表に従って、をとることを前提に、通常時に脱水汚泥等を埋立処分している管理型処分場の埋立敷地内等に仮置きすることができる。なお、固化、希釈等により、脱水汚泥等の134Cs及び137Csの合計濃度が低下した場合には、低下後の濃度で評価する」

そして、その下に「表」として次のように書かれている。

「134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」

つまり、セシウム134とセシウム137との合計のベクレル値が8,000Bq/kg以下の場合には、通常時に脱水汚泥等を埋立処分している管理型処分場の埋立敷地内等に仮置きしても、敷地境界からの距離をとる必要が無い、と書いてあるのだ。

そして、付記として、次のような記述がある。

放射性セシウムの濃度が高い脱水汚泥(目安として500,000Bq/kg1を超えるもの)の数値「500,000Bq/kg1を超えるもの」の根拠は「原子力安全委員会の考え方を踏まえた既存の廃棄物に関する被ばく評価である「放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入に向けた技術的検討について」(文部科学省 放射線安全規制検討会クリアランス技術検討ワーキンググループ、平成22年1月以下「RIクリアランス報告書」という。)を基に評価」

「134Cs及び137Csの合計」と「敷地境界からの距離の目安」との関係の根拠は「「低レベル放射性固体廃棄物の埋設処分に係る放射能濃度上限値について」(平成19年5月21日原子力安全委員会)に基づき、操業中のスカイシャインの影響を評価した。」

とある。

2011年6月19日

2012年6月19日に第三回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、ここにおいては以下のような資料が提出された。

①「災害廃棄物の放射能濃度の推定方法について」(原子力安全基盤機構 廃棄物燃料輸送安全部)

②「福島県の浜通り及び中通り地方(避難区域及び計画的避難区域を除く)の災害廃棄物の処理・処分における放射性物質による影響の評価について」(日本原子力研究開発機構安全研究センター)

③「放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の方針」(災害廃棄物安全評価検討会)

④「福島県内の焼却施設の設備状況について

⑤「焼却施設周辺及び煙道排ガス調査結果

⑥「一般廃棄物焼却施設の排ガス処理装置におけるCs,Srの除去挙動(京都大学高岡昌輝)

⑦「福島県内の放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理にかかる調査について

⑧「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」(2011年6月16日原子力災害対策本部)  6月16日の資料と同じもの

⑨「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響をうけた廃棄物の処理処分に関する安全確保の当面の考え方について」(平成23年6月3日原子力安全委員会)

その他二点

この2011年6月19日に第三回災害廃棄物安全評価検討会において「1kgあたり8000ベクレル」に言及していたのは、このうちの③「放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の方針」(災害廃棄物安全評価検討会)であり、ここには以下のように書いてある。

「3.焼却に伴って発生する主灰及び飛灰の取り扱いについて

(1)主灰

放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ)が8000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋め立て処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8000Bq/kgは埋め立て作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部に書いて別途検討された上下水処理等副次産物の取り扱いとおなじである。」

「放射性セシウム濃度が8000Bq/kgを超える場合は、埋め立て処分するのではなく、埋め立てられた主灰中の放射性セシウムの挙動を適切に把握し、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当である。」

「(2)飛灰

集塵機から排出される飛灰派、主灰以上に放射性セシウムが濃縮されやすい。また、飛灰に含まれる放射セシウムは水に溶出しやすいという報告がある。このため、飛灰については、放射性セ氏受け濃度が8000Bq/kgを超える主灰と同様に、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当であり。100000Bq/kgを超える場合には、適切に放射線を遮へいできる施設で保管することが望ましい」

「4.不燃物等の直接埋め立てについて

不燃物等の災害廃棄物をそのまま又は破砕して安全に埋め立て処分することが可能である。この場合の埋め立て処分の方法や跡地の利用にかなしては8000Bq/kg以下の主灰の場合と同様である。」

「(注)飛灰及び8000Bq/kgを超える主灰の一時保管について

「表」として次のように書かれている。

「134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」 」

なお「脱水汚泥等の処理、輸送、保管及び処分について」について、「処理等を行う作業者が受ける線量についても可能な限り1mSv/年を超えないことが望ましいが、比較的高い放射能濃度の物を取り扱う工程では、電離放射線障害防止規則(昭和四十七年九月三十日労働省令第四十一号)を遵守する等により、適切に作業者の受ける放射線の量の管理を行う必要がある。」とある。

 

2011年6月23日

その後、環境省は2011年6月23日に「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」との文書を出した。

ここにおいては、「1kgあたり8000ベクレル」については以下のように書かれている。

「(1)主灰
放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ。)が8,000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋立処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8,000Bq/kgは、埋立作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。」

「放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超える場合は、埋立処分するのではなく、埋め立てられた主灰中の放射性セシウムの挙動を適切に把握し、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当である。」

「、飛灰については、放射性セシウム濃度が8,000 Bq/kgを超える主灰と同様に、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当であり、100,000Bq/kgを超える場合には、適切に放射線を遮へいできる施設で保管することが望ましい。」

「。溶融スラグについても一時保管とすることを原則とするが、8,000 Bq/kg以下であることが確認された場合は埋立処分が可能である。」

「不燃物等の災害廃棄物をそのまま又は破砕して安全に埋立処分することが可能である。この場合の埋立処分の方法や跡地の利用に関しては、8,000 Bq/kg以下の主灰の場合と同様である。」

「(1)空間線量率が比較的低い場合
仮置場の災害廃棄物から1m地点での空間線量率が低い場合は、災害廃棄物の放射性セシウム濃度が比較的低く、ばらつきも小さい。例えば、空間線量率が0.2μSv/h程度の仮置場では、災害廃棄物の放射性セシウム濃度は概ね800Bq/kg以下であった。
災害廃棄物だけを焼却した場合、主灰の放射性セシウム濃度は災害廃棄物のそれと比較して最大でも10倍程度と考えられるので、主灰の平均的な放射性セシウム濃度は8,000Bq/kg以下となる可能性が高い。生活系の廃棄物などと混焼した場合は、さらに濃度が低くなる可能性がある。」

「(2)埋立処分における作業者への影響
8,000 Bq/kg(8 Bq/g)の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業者の被ばく線量は0.78mSv/yと計算され、原子力安全委員会による作業者の目安である1 mSv/yを下回っている。このように、8,000 Bq/kgは作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。」

「(参考3) 安全評価のための計算の例

(2)埋立処分における作業者への影響
8,000 Bq/kg(8 Bq/g)の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業者の被ばく線量は0.78mSv/yと計算され、原子力安全委員会による作業者の目安である1 mSv/yを下回っている。このように、8,000 Bq/kgは作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。
なお、この値は、1日8時間、年間250日の労働時間のうち半分の時間を廃棄物のそばで作業すること、1日の作業の終了時の覆土である即日覆土を行わず、中間覆土のみ行うことを仮定して計算されている。」

 

「(参考5) 一時保管における居住地域等の敷地境界からの距離

下表の数字に従えば十分に安全なので、参考として示すこととする。

134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」

2011年6月25日

6月25日(土曜日)、東京都の江戸川清掃工場の焼却灰等から放射性セシウムを検出

セシウム134とセシウム137の合計は

主灰592ベクレル/kg(Cs134=280 Cs137=312)  飛灰9740ベクレル/kg(Cs134=4700 Cs137=5040)

飛灰からセシウム134とセシウム137の合計8,000Bq/kg以上の9740ベクレル/kg(が検出

「江戸川清掃工場における焼却灰等からの放射性物質の検出について」

 

2011年6月28日

江戸川清掃工場からの8000ベクレル/kgを超える飛灰(9740ベクレル/kg)が検出されたことをうけ。2012年6月28日に環境省が関係都県に対して「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについて」を出した。

この中では「8000ベクレル以下」については下記のように書かれている。

「東京都の一般廃棄物焼却施設の飛灰から8,000Bq/kg を超える放射性セシウム(セシウム134 及びセシウム137)が検出されたことから、東北地方及び関東地方等の一般廃棄物焼却施設における焼却灰(主灰及び飛灰)の測定を要請するとともに、当面の取扱いについてお知らせする。」

「(1)焼却灰の測定
すべての一般廃棄物焼却施設の飛灰に含まれる放射性セシウムの濃度を測定する。参考として、同時に主灰についても測定することが望ましい。なお、飛灰が8,000Bq/kg を超えるおそれがある場合には、主灰の測定を行う。また、測定結果が8,000Bq/kg を超えた場合、又は8,000Bq/kg に近い値となった場合は、一定の間隔(1 ヶ月程度)をおいて、測定を継続することが望ましい。」

「(2)当面の取扱い

ア 8,000Bq/kg を超える主灰又は飛灰については、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)に場所を定めて、一時保管する。一時保管の方法は、「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」(平成23 年6月23 日)に準拠する。
イ 8,000Bq/kg 以下の主灰又は飛灰については、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)に、埋立処分する。念のための措置として、可能な限り、飛灰と主灰の埋立場所を分け、それぞれの埋立場所が特定できるように措置する。
ウ また、8,000Bq/kg を超える主灰又は飛灰が確認された場合は、一時保管場所付近での空間線量率及び埋立地の排水のモニタリングを実施する。」

「(3)作業者の安全確保

一般廃棄物に放射性セシウムが含まれている場合、焼却に伴い、主灰又は飛灰に濃縮されるので、その濃度レベルによっては主灰又は飛灰を取り扱う作業者の安全について注意が必要となる場合がある。その目安として次のふたつがある。
ア.「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」において、作業者の安全も確保されるレベルとして示した8,000Bq/kg

8,000Bq/kg を超える場合には、埋立作業に当たってできるだけ頻繁に覆土を行うことが望ましい。また、10,000Bq/kg を超える場合には、電離則に従って作業者の安全を確保することとする。」

2011年7月14日

2011年7月14日に第四回災害廃棄物安全評価検討会が開かれた。

ここにおいて大迫委員から次のような意見が述べられた。

「焼却シナリオの説明の使い方なんですが、ダブルスタンダードに今なっているんじゃないかということを申し上げたくて、この被曝のシナリオ評価に関しては、例えば8,000Bq/m3を決めたときに、埋立作業の作業者の被曝を考えて数値を決めているわけですね。一方で焼却は、先ほどの線量限度の告示ということで、原子炉で使われている数字がメルクマールになって、先ほどの20Bq/m3、30Bq/m3という数値でもって判断をするというような、説明の方向にもなってきているわけです」

また、井口委員から次のような意見が述べられた。

「今回測定された部分の災害廃棄物の置き場については、もう8,000Bq/kgを超えていないというのが確認できたのですが、今後、例えば、よりセシウム濃度の高い地域、避難区域とか、そこら辺のところの評価をする場合に、やはりこれがある程度生きてくるのではないかと思うので、そうしたときに、もう尐し妥当な線を引いておいたほうがよろしいのではないかと思う次第です。あまりにも過剰に評価して、後でいろいろ計画を立てる場合に無駄なことをやってもしようがないという気がするので、今回のデータをもっとうまく生かして、よりもっともらしい評価値をもう一度検討されてはいかがかという、そういう提案です。」

企画課長から次のようなとりまとめがあった。

「個々に条件が異なる、埋め立て処分された場所、いろいろ条件が異なるわけでありまして、そういったところで長期的な管理が必要になるということでございますので、現時点では8,000Bq/kgを超えるものについては、埋め立て処分するということではなくて、国によって処分の安全性が確認されるまでの間は一時保管とするという、こういう考え方になっています。ここで8,000Bq/kgというのは、埋め立て作業者の安全も確保されるレベルと、こういう説明になっているわけです。」

「8,000Bq/kg以下のものに関しても、今は、土壌層を下に敷いて、即日覆土というような形の対応であり、水を入れる・入れないというところは、若干、そこら辺の考え方がまだ十分整理されていない。そういったこともぜひ、ちゃんと認識した上で検討するべきかと思います。」

参考「当日の議事録

 

2011年8月10日

2011年8月10日に第五回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、「災害廃棄物の広域処理の推進について」(資料7.ガイドライン)が了承された。

2011年8月11日

2011年8月11日、環境省から都道府県に対して「東日本大震災により生じた災害廃棄物の
広域処理の推進に係るガイドラインについて
」がだされ「災害廃棄物の広域処理の推進について
(東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン
)」が送付された。

この中で「8000ベクレル以下」については次の記述がある。

「放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ)が8,000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋立処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8,000Bq/kgは、埋立作業者の安全も確保される濃度レベルである。」

 

2011年8月27日

2012年8月27日に第6回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について」が提出され了解され、8月29日に同様の文書「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について」が環境省から各都道府県廃棄物行政主管部(局)長宛、出された。

この中で「8000ベクレル/kg」については次のように書かれている。

「平成23年6月28日付け「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱い」(以下「焼却灰の取扱方針」という。)において、東北地方及び関東地方等の16都県に対し、一般廃棄物処理施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについてお知らせしたところです。
これに関連して、16都県における焼却灰中の放射性セシウム濃度の測定結果を整理した上で、一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について、処理における安全性の考え方や処理施設におけるモニタリングの方法等について、別添のとおり取りまとめました。
この内容については、8月27日に開催した災害廃棄物安全評価検討会において御検討いただき、廃棄物処理システムの積極的な活用により、身近な生活環境中にある放射性物質を速やかにできる限り除去することが人の健康へのリスクを軽減する上で有効との考え方や、これを踏まえて、8,000Bq/kg以下の焼却灰等の速やかな処理を促進することが具体的な対応として必要との方針が了解されました。」

2011年8月31日

2011年8月31日に環境省から「8000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の焼却灰等の処分方法に関する方針」との文書が都道府県・政令市宛出された。

このなかで「8000ベクレル/kg」については、次の記述がある。

「放射性セシウム濃度が8,000 Bq/kg 以下の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業員の被ばく線量は、原子力安全委員会による作業員の目安である年間1mSv を下回っている。このように、8,000 Bq/kg は作業員の安全も確保される濃度レベルである(環境省「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」参考)」

2011年9月25日

2011年9月25日に第7回災害廃棄物安全評価委員会が開催され「一般廃棄物焼却施設から排出される放射性セシウムを含む焼却灰の処理について(今後の進め方について)」との資料が提出され、了承され、2011年9月28日に、環境省から同様の文書「一般廃棄物焼却施設から排出される放射性セシウムを含む焼却灰の処理について(今後の進め方)」が都道府県宛に出された。た。

この中で「8000ベクレル/kg」については、次の記述がある。

「一般廃棄物焼却施設の焼却灰の測定を要請した16都県に対して、8,000Bq/kg以下の焼却灰等の処理の実態等について追加的な調査を実施したところ、以下に示すように、多くの場合、管理型処分場にて処理されていることが確認された。しかし、一時保管を余儀なくされている場合もあることから、引き続き、関係者の理解促進を図りつつ、8月29日付け処理方針を踏まえた適切な処理を促進することが必要である。

① 回答の得られた16都県410施設中、16都県390施設においては、8,000Bq/kg 以下の焼却灰等を管理型処分場にて処分している(主灰、飛灰ともに8,000Bq/kgを超えている7施設は除く)。」

「対策の緊急性を考慮すれば、これまでに得られている知見をもとに、処分先の見通しが得られた施設の焼却灰等を対象に、溶出抑制措置を含めた最適な手法について、個別の施設に即して具体的に検討していくことが適当。
そのためには、都道府県を含めた関係者の協力の下、国の積極的な関与により、まずはモデル事業として、先導的な取組を具体化する必要がある。
その際、現場における現実的な対応を考慮して、次のような考え方で検討を進めることが適当。
① 飛灰については、溶出を抑制するためのセメント固化等の措置により8,000Bq/kg以下となる場合には、その後の工程における作業者の安全の観点からも、溶出抑制の措置を焼却施設の場内にて行うことが有効。」

また、この9月25日の第7回災害廃棄物安全評価委員会では環境省から「指定廃棄物の指定基準について」との資料(資料5-3)が提出され「どのようにさだめるのか?」との問題提起がなされた。

 2011年10月10日

2011年10月10日の第8回災害廃棄物安全評価委員会(2011年10月10日)において、環境省から.環境省から、資料3、4-1、4-2、4-3に基づき、放射性物質汚染対処特別措置法の省令等により定めることになる、指定廃棄物の指定基準、廃棄物の放射性物質による汚染状態の調査義務の対象とする施設及びその調査方法について説明があった。

ここで環境省から指定廃棄物の指定基準案として8,000Bq/kgを提示し、委員から了承された。

同時に委員から指定廃棄物の指定基準及び特定廃棄物の処理基準等について、環境省において、委員の意見を踏まえ、パブリックコメントの準備を進めることが了承された。

2011年10月25日

2011年10月25日に原子力安全委員会が開かれ「1キログラムあたり8,000 ベクレル以下」について

「(坂川) 災害廃棄物は普通8000Bq/kg 以下だが、焼却後はそれを超える場合がある。焼却灰については、一般廃棄物は10 万Bq/kg 以下だが、産業廃棄物は10 万Bq/kg を超えるものが発生している。」

「(丸山)埋立処分について8000Bq/kg 以下の廃棄物でも、跡地利用制限を設けることが必要ではないか。」

との意見が委員から出された。

2011年11月8日

2011年11月8日(火)から2011年11月17日(木)にかけて、「放射性物質汚染対処特措法関係省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)」がされた。

なお、この意見募集について、「放射性物質汚染対処特措法 省令事項素案について」との資料が添付され、このなかに「3.指定廃棄物の指定基準(第17 条第1項)」として以下のように書かれている。

「法第17 条第1項では「環境大臣は、前条第一項の規定による調査の結果、同項各号に定める廃
棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、当該廃棄物を特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物として指定するものとする。」こととされている。よって、環境省令では「セシウム134 及びセシウム137 の放射能濃度の合計値が、1キログラムあたり8,000 ベクレル以下であること」を定めることとする。」

2011年11月11日

2011年11月11日、原子力安全委員会が開かれ、「1キログラムあたり8,000 ベクレル以下」について

「(木村)8000Bq/kg 以下なら間違いなく10μSv/年を下回る。」

「(倉崎)8000Bq/kg 以下でも管理期間終了後に制限を設けなければ、10μSv/年を超えるケースがある。指定地域外の廃棄物も同様のことがありうることになる。特定一般廃棄物等の要件は、県を指定しているが指定範囲は妥当か。」

「(代谷)低線量被ばくを気にしている人が増えている。管理期間終了後も含めて評価して説明することが必要になると思う。8000Bq/kg 以下でも、測った記録を残すことは重要。」

との委員からの意見があった。

2011年11月15日

2011年11月15日、第九回災害廃棄物安全検討委員会が開かれ、環境省から資料8により「放射性物質汚染対処特措法 省令事項素案について」の説明があった。

このなかで特別措置法施行規則第7条1項について「環境省令では「セシウム134 及びセシウム137 の放射能濃度の合計値が、1キログラムあたり8,000 ベクレル以下であること」との記載があった。

2011年11月22日

2011年11月22日に環境省は放射線審議会に対し「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法の規定に基づく放射線障害の防止に関する技術的基準の策定について」として「指定廃棄物の基準  セシウム百三十四及びセシウム百三十七の放射能濃度の合計値が、一キログラムあたり八千ベクレル以下であること」についての意見を求め了承された。

2011年11月22日に環境省は「放射性物質汚染対処特別措置法の規定に基づく
放射線障害の防止に関する技術的基準について
」を発表している。

ここで、環境省は「8000Bq/kg以下」としたことについて、次のように書いている。

「2.指定廃棄物の指定基準
【指定廃棄物の指定基準の考え方②】
○シナリオ評価により、8,000Bq/kgの廃棄物を通常の処理方法で処理する場合、周辺住民よりも被ばくしやすい作業者でも、その被ばく線量は、原子力安全委員会の示しためやすである1mSv/年を下回ることを確認した(例えば、8,000Bq/kgの廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業員の被ばく量は、0.78mSv/年※。)。
○このように、8,000Bq/kg以下の廃棄物については、特別な処理方法をとることなく、周辺住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができる。したがって、指定基準は8,000Bq/kgとする。」

2011年12月1日

2011年12月1日、環境省は11月30日付諮問文書を原子力安全委員会に提出した。

 

2011年12月2日

2011年12月2日に第十回災害廃棄物安全検討委員会が開かれ、環境省から「放射性物質汚染対処特措法省令事項素案 パブリックコメント結果を踏まえた修正について」の報告があった。

ここにおいて「8000Bq/kg以下の廃棄物は遮水工のない安定型処分場における埋め立てを想定した安全評価においても処理の安全性が確保されることを確認している」との記述がある。

2011年12月2日に(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター より「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄処理分(技術資料 )」が発表された。

2011年12月9日

2011年12月9日、環境省は先に12月1日に原子力委員会に提出の11月30日付諮問文書を取り下げ、新たな諮問文書を原子力委員会に提出した。

2011年12月12日

2011年12月12日、原子力安全委員会は第85回原子力安全委員会を開き、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法第二十条等の環境省令の制定について」との答申を環境省に対して出した。

2011年12月14日

2011年12月14日に環境省令第3号として「放射性物質汚染対策特別措置法施行規則」が出され、その中の第23-26条で8000ベクレル超の管理基準を盛り込んだ結果、同時に8000ベクレル以下についもあぶり出し解釈で、これを認知させた。

放射性物質特措法施行規則第14条で「指定廃棄物は「8000Bq/kg以下」と規定し、その廃棄物とは、同施行規則第5条の調査にかかわるものであって、この調査は特措法第 16条一項に定める調査であり、この特措法第16条一項に定める調査とは特措法第24条に定める特定一般廃棄物処理施設を対象にした調査である」と規定した。

以上が、震災ガレキの広域処理の基準としている「1kgあたり8000ベクレル以下埋立処分可」の数字が生まれてきた経過である。

では、結論として、放射性物質汚染特別措置法と放射性物質汚染特別外法施行規則の中で、「8000Bq/kg以下埋立処分可」がどう位置づけられているかというと、下記のようになっていると結論付けられるであろう。

①環境省令33号(2011年12月14日)放射性物質特措法施行規則14条で「特別措置法17条一項の環境省令で定める基準(特別な管理が必要な福島原 発由来の廃棄物の指定基準」として「①特別措置法施行規則第5条に規定する調査によったもの、で、②8000Bq/kg以下であること」と規定してい.る。
②その「特別措置法施行規則第5条に規定する調査」では「特別措置法第16条一項で環境省令によって定める方法で調査したものによるもの」の中身を書いている。
したがって、「8000Bq/kg以下埋立処分可」の法的な位置づけは「特別措置法施行規則第5条に規定する調査」をパラメーターにして、放射性物質特措法施行規則14条と特別措置法施行規則第5条と特別措置法17条一項と特別措置法第16条一項とがつながってるという、きわめて微妙な状態にあるといえる。

なお、関連資料については、環境省のサイト「東日本大震災への対応について」からリンクされている資料をご参照されたい。

以上

追記

2012年4月17日

2012年4月17日に環境大臣から下記のような大臣告示が発せられた。

「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理に関する基準等(平成24年環境省告示第76号)」

告示 の概要

1災害廃棄物の受入れ基準
・可燃物:焼却後の焼却灰等の放射能濃度が8,000Bq/kg以下。焼却前の災害廃棄物の放射能濃度の目安として、240Bq/kg以下、流動床炉を用いる場合は480Bq/kg以下(十分な安全率をもった基準)。
・再生利用:製品としての流通前段階で、放射能濃度が100Bq/kg以下。
・不燃物:放射能濃度が8,000Bq/kg以下。実際の放射能濃度は、不検出から数百Bq/kg以下。

2処理の方法
・可燃物の焼却処理:高度の機能を有する排ガス処理装置(バグフィルタ等)が設置されている施設で焼却。焼却灰等は最終処分場に埋立。
→水面埋立の場合:陸域化した部分…陸上の最終処分場と同じ。
水面部分…水面埋立地の残余水面部の内水の放射能濃度が、最終処分場周辺の公共水域の放射能濃度限度以下(下記の式を満たすこと。)であることを要する。

3広域処理における安全性の確認方法
① 搬出側での確認方法
・ 一次仮置場(災害廃棄物の発生地周辺の仮置場)において、災害廃棄物の種類(木質、紙類、繊維等)ごとに放射能濃度を測定し、「1」の基準を満たしていることを確認。
・ 二次仮置場(広域処理が行われる災害廃棄物が搬出される場所)から災害廃棄物を搬出する際に、空間線量率を測定し、バックグラウンドと比較して有意に高くないことを確認。
② 受入側での確認方法

・可燃物の焼却処理、埋立:焼却灰等の放射能濃度を月1回程度測定。最終処分場の敷地境界にて空間線量率を週1回程度測定。水面埋立の場合、残余水面部の内水の放射能濃度を月1回程度測定。
・ 再生利用:再生利用前の均質化された状態で放射能濃度を月1回程度測定(製品についても同様)。

2012年3月10日

広域処理よりも、震災瓦礫で、津波・震災被災地に山を作れ

Filed under: 未分類 — admin @ 7:13 PM

  • 進まない震災ガレキの広域処理

東日本大震災と津波によって生じた瓦礫の広域処理が遅れている。

今回の東北大震災の際に生じた瓦礫 (災害廃棄物) は 2,272 万 6,000 トン(環境省)とも 2,673万トン(京都大学)ともいわれている。

また、被災車両 は408,631台、被災漁船数 は18,936 隻、漂流船数は 461 隻 と言われている。

この瓦礫には放射性物質に汚染されている懸念のあるものと、そうでないものとがあって、このことが、広域瓦礫処理のスキームの足を引っ張っている。

震災ガレキの広域処理の根拠法は?

では、瓦礫処理は何の根拠法でもっておこなわれているのか?

昨年8月に成立したがれき処理特別措置法(東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案  )においては、がれき処理を国の責務と規定し、処理費用の国の補助率は平均95%とし、あとの5%は地方交付税などで手当てし、地方負担はゼロとなっている。

また、がれきの収集、運搬、処分の実務を国が代行し、一時保管場所や最終処分場確保のため被災地以外の自治体に協力を求めるものとしてある。

しかし、このがれき処理特別措置法では、第三条において「(国は)計画的かつ広域的に講ずる責務を有する。」とあり、第四条において「三.当該災害廃棄物の広域的な処理の重要性」とはあり、第六条において「特定被災地方公共団体である市町村以外の地方公共団体に対する広域的な協力の要請及びこれに係る費用の負担」とあるのみである。

また、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)との関係については、第二条において「災害廃棄物とは廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物をいう」とし、第四条において「(国の代行については)廃棄物処理法第十九条の四第一項の規定は、適用しない。(措置命令の例外)」としている。

つまり、がれき処理特別措置法では、広域処理のスキームは前面には想定されておらず、広域的処理の必要性(第四条1-三)と、そのための被災地市町村以外への広域処理の協力要請(第六条1)とそのための国の費用負担(第六条1)をうたっているのみである。

しかも、災害廃棄物を廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物とみなしている以上、そこでは第2条において「放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。」と規定されている以上、放射性物質に汚染された災害廃棄物は、がれき処理特別措置法の対象とならないことになってくる。

また、廃棄物処理法における「広域処理」についての規定としては、第4条において「広域的な見地からの調整を行うこと」についての国・地方公共団体としての責務の規定があり、第9条の9において「一般廃棄物の広域的処理に係る特例」がもうけられ、第15条の4の3において「産業廃棄物の広域的処理に係る特例」がもうけられ、第15条の5において「(広域的処理のための廃棄物センターの)指定」に関する条項があり、第19条2において、「広域的処理認定業者」についての検査の規定がある。

矛盾している放射性物質汚染ガレキの処理の法的根拠

そもそも、私は、震災がれきを、廃棄物処理法の対象とする廃棄物の処理と連動させていること自体がおかしいと思っている。

震災瓦礫は廃棄物であって廃棄物ではない。

廃棄物処理法のもとで、処理するのではなく、環境基準の逆の意味でのデ・レギュレーションの元に、ガレキ発生地区を環境規制緩和特区として位置づけ、現地において迅速に処理するべきものと思ってる。

つまり、津波震災被災地における環境物質汚染の許容度(閾値)を上げて、瓦礫の現地での迅速処理化を優先し、広域処理による汚染の日本列島への希釈された拡大は防ぐべし、 という主張だ。

しかし、国・民主党政権は、廃棄物処理法に準じての、「丁寧な処理」を志向したがために、いたずらに、月日を費やしている。

このことは、本来津波震災被災民が持っているであろう「復興のための貴重な時の利益」を時々刻々失わせているのである。

ここで決定的なのは、放射性物質によって汚染されているかもしれないガレキが、がれき処理特別措置法と放射性物質汚染対処特別措置法との二つの特別措置法にまたがってしまっているということである。

今回のかなり広域にわたるホットスポット形成によるガレキの放射性物質への曝露・汚染を考えれば、がれき処理特別措置法の特定被災地方公共団体と、放射性物質汚染対処特措法の指定汚染廃棄物対策地域とは、必ずしも一致しないからだ。

がれき処理特別措置法では災害廃棄物を廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物とみなしているのに、当の廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物には「放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く」とされているということである。

なお、「100ベクレルが原子力規正法のクリアランスレベルなのだから、100ベクレル以下の瓦礫であれば廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物に該当しうる」との見解も行政側にあるようだ。

しかし、当の廃棄物処理法には廃棄物処理法第二条第一項に規定の「放射性物質及びこれによつて汚染された物」の規定はない。

一方、放射性物質汚染対処特別措置法(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)の第二十二条において、廃棄物処理法第二条第一項に規定する廃棄物の対象について「放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く廃棄物」の部分を次のような読み替えることとした。

すなわち、廃棄物処理法の対象とする廃棄物は「”放射性物質汚染対処特措法第一条に規定する事故由来放射性物質によつて汚染された物”を除く、放射性物質によつて汚染された物」とし、つまり福島原発由来以外の放射性物質汚染物については、依然、廃棄物処理法の対象としないが、「放射性物質汚染対処特措法第十三条第一項に規定する対策地域内廃棄物、放射性物質汚染対処特措法第十九条に規定する指定廃棄物その他環境省令で定める物」については、廃棄物処理法の対象とする、ということになる。

したがって、廃棄物処理法第二条第一項の対象とするのは「放射性物質汚染対処特措法第十三条第一項対策地域内廃棄物、第十九条に規定する指定廃棄物その他環境省令で定める物」ってことになる。

となると、放射性物質に汚染された可能性のあるガレキについては、「放射性物質汚染対処特措法第十三条第一項対策地域内廃棄物、第十九条に規定する指定廃棄物その他環境省令で定める物」は廃棄物処理法第二条第一項の対象になることになる。

以上のことから、災害瓦礫の広域処理というスキームには、かなりの無理があるものと感じられる。

減災の観点からはオンサイトでの処理が優先されるべき

それ以前に、この災害瓦礫の広域処理というスキームは、減災(ミチゲーション)の理念に沿ったものであろうか。

ミチゲーションの概念において、ゼロ・ネット・ロスによって環境のトレードオフを実現しようとする場合、まずは、現地(オンサイト)でのトレードオフ実現を試み、それでもトレードオブが実現しない場合にのみ、はじめて非現地(オフサイト)でのトレードオフ実現を試みるのが鉄則だ。

たとえば広大な湿地地帯に鉄道を通す場合、それによって失われた湿地の回復をまずどこでするかといえば、現地での湿地造成をまず試み、それがかなわない場合は、ミチゲーション・バンクによる隔地での湿地造成によって、総体としてのノー・ネット・ロスを試みる。

ましてや、災害瓦礫に放射性物質汚染の高度の蓋然性がある場合は、なおさらである。

では、前段階での現地(オンサイト)でのトレードオフ実現となる瓦礫処理の方法はあるのだろうか?

類似しており、見習うべきドイツでの戦争瓦礫の処理の歴史

ここで思い出されるのは、第二次世界大戦後のドイツでの戦争瓦礫(Trümmer)の処理である。

ベルリンにあるTeufelsbergは別名「悪魔の山」と呼ばれている戦争瓦礫で作られた山である。

このビデオの6分あたりに瓦礫の山が作られるまでが画像で描かれている。

冷戦中はこの山から東ベルリンからの電波を捉えるために利用されたともいわれる。

今ではこのように市民の憩いの場として絶好な場所である。

1970年には、登山練習用のクライミングタワーも設置され、にぎわっている。

シュツットガルトのGrüner Heinerの山上には風力発電の風車が設置されている。(ビデオはこちら)

また、ミュンヘンのオリンピック公園は第一次大戦の瓦礫でつくられた。

平坦な土地に起伏のある場所が生まれ、自然公園の趣を見せている。

ドイツ語でSchuttberg または Müllberg と呼ばれる戦争瓦礫で作られた山は、ドイツにいくつもあるし、主要な都市には必ずある。

このサイトにそれぞれの都市に作られた瓦礫の山の名前と高さと使われた瓦礫の量などの一覧表がある。

海抜で一番高いのはミュンヘンのOlympiabergで海抜567メートル、

地上からの高さが一番高いのはミュンヘンのFröttmaninger Bergで地上75メートル、

埋め立て量のもっとも多いのがシュツットガルトのBirkenkopfで1500万立方メートル

である。

先に紹介したベルリンの    Teufelsbergは海抜メートル114メートル、地上55メートル、埋め立て量1200万立方メートルである。

ドイツの戦争瓦礫で作られた山々(山の高い順に掲載)

①ミュンヘンのFröttmaninger Berg (山の高さ75m)

②シュツットガルトのGrüner Heiner (山の高さ70m)

③ハノーバーのMonte Müllo (山の高さ65m)

④メンヒェングラートバッハのRheydter Höhe (山の高さ64m)

⑤アウグスブルグのAugsburger Müllberg (山の高さ55m)

⑥ベルリンのTeufelsber (山の高さ55m)

⑦ミュンヘンのOlympiaberg (山の高さ50m)

⑧フランクフルトのMonte Scherbelino (山の高さ47m)

⑨ミュンスターのMünster-Coerde / Rieselfelder Münste (山の高さ47m)

⑩ライプチッヒのFockeberg (山の高さ40m)

⑪ベルリンのKleiner Bunkerbergと Großer Bunkerberg (山の高さ48mと78m)

⑫シュツットガルトのBirkenkopf (山の高さ40m)

⑬プフォルツハイムのWallberg (山の高さ40m)

⑭ニュルンベルグのSilberbuck (山の高さ38m)

 

⑮ミュンヘンのLuitpoldhüge (山の高さ37m)

⑯ケルンのHerkulesber (山の高さ25m)

⑰ライプチッヒのRosentalhügel (山の高さ20m)

 

 

震災瓦礫での山作りの問題点は?

では、このドイツの例に倣って、今回の東日本の津波震災の分別後の瓦礫処理を現地における山の構築によった場合、どのような環境的な問題が生じるのであろうか?

これらの瓦礫は、まさに通常の生活環境の下では環境汚染物質と言われるものの集合体ともいえる。

ダイオキシン、PCB、アスベスト、有毒化学物質、それに放射性物質などなど。

これによる地下水の汚染は免れないであろうし、そのことで津波震災地での更なる風評被害を招くことも確かであろう。

しかし、汚染物を広域処理で希釈するのと、オンサイトでの処理を優先するのと、マクロでの環境被害はどちらが少なくてすむのだろうか?

オンサイトでの現地処理であれば、環境汚染物質のある程度のシールドは可能であろうし、不特定多数の住民への暴露をある程度さけられうる。

:傾聴に値すべき宮脇昭さん提唱の「震災瓦礫による緑の壁」構想

また、植物生態学の学者の宮脇昭さんが提唱されているように、

「瓦礫の山の中から有害なものや分解不能なものを除き穴を掘って土とともに瓦礫を埋め、マウンドを作り、その上に植樹すると約20年で自然豊かな森ができる。

マウンドを高くすることによりそれらが緑の壁となって津波のエネルギーを減少できる緑の防潮堤となることで、かなりの高さの津波を防ぐことができる」

との提言も、一聴に値するものと思われる。

ガレキの山作りが現地の雇用の場作りとなり、なによりも、永遠に後世代に悲劇を伝えうる自然のモニュメントとなりうる

そして、何よりも、この瓦礫の山作りそのものが、雇用のない被災地での何よりの前向きの公共事業になり、被災者のかけがえのない換金回路になりうるのだ。

そして、それによって作られたオープンスペースは、レクリェーションの場としても、さらには、自然エネルギー基地としての役割も果たしうるはずだ。

さらに言えば、この震災瓦礫で作られた緑の山々が、はるか後々の世代の人々に対する、永久不滅の危険予知のための震災モニュメントともなりうるのだ。(戦争瓦礫で作られた山・ドイツ・シュツットガルトのBirkenkopfの山上には大きな十字架が掲げられ、山それ自体が、戦争の無意味さを示す戦争モニュメントとなっている。)

このことの意義は何物にも変えがたく大きいものと私はおもう。 以上

参考.ドイツの戦争ガレキで作られた山の高さとガレキの埋設量

都市の名前-戦争がれきの山の名前-山の高さ-埋設したガレキの量
①ミュンヘン-Fröttmaninger Berg-75m-1200万立方メートル
②シュツットガルト-Grüner Heiner-70m-?
③ハノーバー-Monte Müllo-65m-?
④メンヒェングラートバッハ-Rheydter Höhe-64m-?
⑤アウグスブルグ-Augsburger Müllberg-   55 m-740万立方メートル
⑥ベルリン-Teufelsberg-55m-1200万立方メートル
⑦ミュンヘン-Olympiaberg-50m-?
⑧フランクフルト-Monte Scherbelino-47m-1200万立方メートル
⑨ミュンスター-Münster-Coerde / Rieselfelder Münste-47m-730万立方メートル
⑩ライプチッヒ-Fockeberg-40m-?

⑪ベルリン-Kleiner und Großer Bunkerberg (Mont Klamott)-40m-2500万立方メートル
⑫シュツットガルト-Birkenkopf-40m-1500万立方メートル
⑬プフォルツハイム-Wallberg-40m-165万立方メートル
⑭ニュルンベルグ-Silberbuck-38m-553万立方メートル
⑮ミュンヘン-Luitpoldhüge-37m-?
⑯ケルン-Herkulesberg-25m
⑰ライプチッヒ-Rosentalhügel (Scherbelberg)-20m
その他10箇所

2011年6月13日

私のブログの再出発です!!

Filed under: 未分類 — admin @ 12:28 AM

笹山登生の新しいブログ『Sasayama’s Watch and Analize』にようこそ。

旧ブログ「Sasayama’s Weblog」では2002年から約9年間、いろいろな情報を発信してまいりました。

主なカテゴリーは環境・健康・社会・消費者・食品安全・政治・鳥インフルエンザ・日米経済・農業・BSEなどです。

投稿数は約1,200におよびました。

今回、ホームページの大幅改訂にあたり、ブログもあたらしい装いで出直すことになりました。

旧ブログでの最大の難点は、執拗なコメントスパムに無防備なことでしたが、今回は、コメントスパム対策がしっかりされた新しいバージョンのWordPressを使うことにしました。

さあ、これから新しいブログに新しい視点を注ぎ込んでいきます。

ご期待ください。