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つくしのイメージグローバルに考え、ローカルに行動しよう

-ローカル・アジェンダ21の意義を見直す-

1992年6月リオ・デ・ジャネイロの地球サミットで採択されたアジェンダ21(持続可能な開発のための人類の行動計画)の第28章において、アジェンダ21が提起している諸問題の解決のためには地域的活動が不可欠であるとし、地方公共団体の参加と協力のために、1996年までに、地方公共団体が地域住民と協議し、地域のための「ローカルアジェンダ21」を策定し、その実施と追跡監視と行うこととされた。

これにもとづき、世界各国の地域ベースで、地域における持続可能な開発のための行動計画が策定され、実施に移されている。

日本においても、平成5年8月の広島県地球環境保全行動計画(エコネット21ひろしま)の策定を皮切りに、全国の都道府県、政令指定都市のうち殆どが策定を完了し、現在策定中が4県、平成12年度までに策定しようとしている県が3県となっている。


すっかり熱の冷めた環境庁のフォロー


では、ローカル・アジェンダ21策定後の環境庁のフォローはどうかといえば、どうも、すっかり熱が冷めているらしい。そもそもの経緯から、各県の自主性を重んじての計画なのだから、それまでといえば、そうだろうが、今必要なのは地方レベルで、地域住民が行動を起こすための、ソフトづくりであり、これを国が支援する体制なくして、何のためのローカル・アジェンダ21なのかとも、いいたくなる。

先日、イギリスの地方のある市民農園運動家からE−mailをいただいた。ローカル・アジェンダ21をベースに、市民農園を地方環境基本計画の行動計画に組み込んでいる日本の地方と、地方同士の交流を図りたいという。

彼らのいうには、「グローバルに考え、ローカルに行動する」いわゆる「グローカル」な行動を、市民農園運動を通じて果たしたいのだという。

イギリスのある地方では6つの課題(交通運輸対策、省エネ対策、公害・廃棄物対策、緑空間の保護、健康な地域づくり、力強く清潔な地域経済の確立)を策定し、それぞれの課題についてアクション・グループをつくり、地域住民協調のもとに、ローカル・アジェンダ21フォーラムを構成することで、所期の目的を達成しようとしている。

市民農園運動は、そのうちの緑空間の保護戦略の一つに位置づけられている。

日本においても各県のローカル・アジェンダ21に共通に提起されている行動計画をグループ化し、その地域戦略遂行のための全国共通のフォーラムをおこし、共通戦略の策定とフォローをすることによって、地域住民の地域での行動が、国際的なつながりのもとで、大きく、結実させることが必要になる。

本来、これらの地方自治体の国際的結合をサポートするのが、ICLEI(イクレイ=国際自治体協議会)日本事務所なのだが、活動がにぶく、現在の日本会員数は49自治体、うち県は11にすぎない。したがって、これを補完する日本独自のサポートが、どうしても必要となる。


注目される新しい農業基本法との連携
雪解けのイメージ 特に私が今、注目しているのは、現在策定中の新しい食糧・農業・農村基本法とローカル・アジェンダ21との連携である。

今回の改正で、基本法の中に農村政策が大きく位置づけられた。

今後、食糧・農業・農村基本計画が策定され、各県レベルの農業・農村振興計画が策定されるとなれば、地方計画レベルでのローカル・アジェンダ21との連携が不可欠となる。

先日まとまった岩手県の環境基本計画中間報告を見ると、農業県だけに、農業と環境にかかわる施策がその3分の1を占めている。

いかに、農村地域において環境計画の占める比重が高くなっているかが、このことからも分かる。

これまでの地方において国際交流の多くは姉妹都市交流という形での、総花的交流が多かったように見られる。

しかし、もっとテーマを絞っての交流が、このローカル・アジェンダ21を媒介にして可能になってくるのではないか。

また、地域振興の戦略のノウハウについての具体的な国際情報交流も、このことによって可能になってくるだろう。

国も地方も、今もう一度、リオ・サミットで、なぜ、ローカル・アジェンダ21が採択されたのか、その意味を、改めて問い直し、具体的な地域行動戦略を策定し直す時に来ているのではないだろうか。

('99年 3月11日更新)


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