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夕日のイメージ地域活性化の原点

昨年7月発足の「日本島嶼学会」の初の研究会が、この程、奄美大島でひらかれた。

島内外から100人以上がつめかける熱気のある会であった。

テーマは「公共投資に依存せずに、沖縄・奄美等琉球弧一体となった発展をはかるには、どうしたらよいか」ということである。

折りから、奄美群島振興開発特別措置法の5年間延長が実質決定した直後でもあり、次の奄美復帰後50年目を迎える、5年後の特別措置法がどうなるかについての議論も、活発に行われた。

出席者の間では、「2001年期限切れとなる沖縄特措法の新法制定への動きに合わせ、それに奄美を加えた琉球弧一体となった対応を」「それは時期尚早だ。まず鹿児島県として、奄美をどうするかを考えるべき」などの議論が交わされた。

島の経済については「市場経済分析の対象にならない程、公共投資の比重が高くなりすぎている」「島としての域際収支(島から出て行く金と入ってくる金のネット)は、沖縄に比し、著しく悪化している」「人口動態では、沖縄に比し、奄美の少子化が著しく進行している」などの指摘がなされた。

これらの指摘は、海にさえぎられている、いないの違いを除いて、全国の過疎地域の抱える共通の問題点でもある。

島の発展策などを模索すること自体、すなわち全国過疎地域の発展策を模索することつながることを、身をもって実感した。

このたび、沖縄振興策の一つの柱として「航空運賃の割引」の一項が設けられたことは、評価したい。
私は、「沖縄北方に関する特別委員長」時代から、一貫して、「沖縄振興の特効薬は航空運賃の割引にあり」と主張してきた。

琉球弧諸島間を結ぶ航空運賃についても同様の措置がとられることを、強く望む。

宅急便の運賃あるいは電話料金にしても、同様のことがいえる。

例えば、奄美から対九州への宅急便運賃を1とした場合、対東京1.2倍、対北海道1.6倍に対して、対沖縄はなんと2.1倍である。これでは、琉球弧一体の発展を口で唱えても、なかなか高い運賃のハードルのもとでは、経済・文化交流は、進むべくもない。


"所得補償"定住策も検討の時期か
スキューバダイビングのイメージ 「沖縄の親戚には、土地のものを送りたくとも運賃が邪魔するのです」と土地の人がコボしていた。
琉球弧間では、運賃の従量制から従価制への移行などの措置も、これから、考えていく必要があるのではないか。

「日本島嶼学会研究会」をトップ記事にした翌日の地元新聞のコラムに、次のような記事があるのが目についた。

「一人でもいいから、島に住む人がいれば、それだけで、島は活性化する。島以外の人が、島を論じることはありがたいが、どうぞ、皆さん、論じる前に島に住んで下さい」

痛烈なメッセージである。

中山間地域所得補償制度が論じられる昨今、このような視点からの定住策も、検討される時期に入ったのかもしれない。

('99年 2月 2日更新)


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