田園環境図書館
百名山パノラマ案内 白山書房編
白山書房(1999年11月)
(1,900円)
深田久弥の名著「日本百名山」に掲げられた各山よりの眺望を、国土地理院の等高線にしたがって、コンピュータ・グラフィックスによって再現した360度パノラマの図がページ見開きで、展開されているという、ユニークな本だ。

この本のおもしろいところは、コンピュータ・グラフィックス再現の条件として、300キロ先まで見えるものとしていること、現実には途中に人工的な障害物があって見えないものも、原則として、障害のないものとして作成している点にある。

だから、私の故郷の名山・鳥海山(2,230m)から298km先の妙高山(2,453m)や火打山(2,462m)も見えるし、富士山(3,776m)から、289km先の大峰山(1,915m)も、見えるというバーチャルの爽快感が楽しめる。

この本のバーチャル感覚でみた場合、全周海と遠方に、大雪山(2,290m)、トムラウシ山(2,141m)、十勝岳(2,077m)mpみえる北海道の利尻岳(1,721m)からの眺望が圧巻である。

福島のどこかの町で、ふるさとおこしの一環として、「見えるはずの富士山の写真を写したら100万円賞金」などという催しをした町があったような気がするが、この本を片手に、そんな企画を立ててみてはいかがであろうか。

また、この本の原データをコンピュータ・ソフト化すれば、各山の頂上から、視点を定めて、300キロ先への、無限のズームインも可能という訳だ。

ともかく、古代の名山からの眺望は、かくも鮮明だったのではないかと、想像することのできる、面白い本だ。

惜しむらくは、画像がモノクロなことで、次なる着色版の再版がのぞまれる。

目次に戻る

HOME -オピニオン -政策提言 -発言- profile & open - 著書 - 政策行動-図書館-掲示板 -コラム- リンク- 政策まんが