田園環境図書館
田園景観の保全 プリン・グリーン著
農山漁村協会(1999年9月)
(7,500円)
10年余り前に、同じ出版社から「カントリーサイドを保全する」という題名で出版されたものを、原著に新章の追加があったのを契機に、題名も含め全面的に見直し、再出版されたものである。

前著よりはマシになったものの、あいかわらず生硬な訳なので、失礼ながら頭が痛くなるほどだが、内容は、非常に貴重なもので、イギリスがどのような理念と戦略をもって、田園の景観と生態系を農業政策と調和しながら守っているかが、基礎からよく分かる。

恐らく、日本語に訳されたものでは、一番体系的にまとまった書といえる。

私は、かねてからイギリスのグランド・ワークの活躍や、FWAGという農業関係者と環境保全関係者との共同団体の農村環境再生に果たす役割に注目していたが、この本では、これらの団体の活動についても、詳細に記述されている。

また、本著では、農地だけでなく、林地や湿地の生態系管理にまでふれており、農村地域にあるこれらの各種生態系の総合的な環境保全をしないと、農村地域全体の環境保全は果たせないことが、記されている。

日本の農業・農村環境政策は、これらの考えの足元までにも、まだ及ばないが、ようやく環境意識に芽生えた日本のこれからの各種地域政策のよきバイブルになり得る著である。

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