田園環境図書館
エコツーリズムの世紀へ エコツーリズム推進協議会
(1999年3月)
(2,500円)
1998年3月に沖縄県宜野湾市(ぎのわんし)で、日本エコツーリズム協議会が設立され、会長に有名な兼高かおるさんが、選ばれた。
世界の流れからはだいぶ遅れたが、いよいよ日本にもエコツーリズムの時代が到来した。
本著は、協議会の活動の一環として、日本人にとってのエコツーリズムについての本格的なマニュアル造りを目指したものである。

まづ、エコツーリズムとは、そもそも何かを論じた上で、ブラジル、オーストラリア、フィジー、マレーシア、エクアドル各国におけるエコツーリズムの実態を紹介し、その上で、エコツーリズムを成功させる方策にちおて論じている。

知りたいのは日本の実態なのだが、残念ながら、これについては、西表島のごく簡単な2ページの紹介のみにとどまっているのは、やや、ものたりない。

日本でエコツーリズムを推進する前提として、重要なのは、
第一は、エコツーリズムは、単なる観光の一形態ではなく、生物多様性国家戦略と密接に連動したものであること、
第二は、発展途上国のエコツーリズムと日本のそれとは、おのずから異なったものとなり得ること、
第三は、日本の島を中心とした内発的発展戦略の一環として、エコツーリズムはとらえるべきものであること、
などの諸点なのであろう。

本著では、そのような社会経済的アプローチは、とられていない。
これは、協議会が旅行会社中心に構成されており、NGOや、生態系の専門家などが、少ない構成となっている故で、致し方ないことであろう。

今後、ガイドライン設定が必要となってくるが、本著の資料編は、各国のガイドラインの事例なども紹介されていて、充実している。

エコツーリズムについての本としては、別に「エコツアー完全ガイド」(ダイヤモンド社、1998年9月、1,800円)があるが、これは、世界70事例ちかくを、それぞれの旅の特性別に分類したもので、まさに実践的である。

併せて読まれれば、世界のエコツーリズムの動向が、おぼろげながら浮き立ってくる。

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