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2012年4月11日

環境省が震災ガレキの広域処理の基準としている「1kgあたり8000ベクレル以下埋立処分可」の数字はどこからでてきているのか?

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環境省は岩手・宮城の震災瓦礫を広域処理する基準として、以下の四つの条件をあげている。

①岩手・宮城の災害廃棄物に限り広域処理とし、福島の災害廃棄物は広域処理の対象としない。

②原則として放射性セシウムが検出されない瓦礫とするが、検出の場合は焼却前1kg当たり240―480Bq以下のものに限る。

③広域処理の結果生じた焼却場の焼却灰は、1kgあたり8000ベクレルまでは全国において埋立処分できる。

④焼却場におけるバグフィルターはガス化したセシウムのほぼ100%を除去できる。

そこで、いかにも唐突に現れてきたように見える③の「1kgあたり8000ベクレルまでは全国において埋立処分できる。」との基準は、いかなる経緯をもって、環境省の広域処理の条件におりこまれてきたのだろうか?

3.11以降の、これに関する動きを、以下、時系列的に記載する。

2011年5月12日

昨年5月12日に国土交通省から福島県に「福島県内の下水処理副次産物の当面の取扱いに関する考え方について」との文書が出されたが、まだ、この時点ではこの文書に「8000ベクレル/kg以下」の文言は入っていない。

2011年6月3日

2012年6月3日に原子力安全委員会から「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の. 処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」との文書が出された。

ここにおいても「8000ベクレル/kg以下」の文言はまだ入っていない。

しかし、次のような記述がある。

「したがって、今回の事故の影響を受けた廃棄物を処分する場合においても、採用された処分方法に応じたシナリオを設定し、適切な評価を行い、その結果が「第二種放射性廃棄物埋設の事業に関する安全審査の基本的考え方」に示したそれぞれのシナリオに対する「めやす」を満足していることが示されれば、管理を終了しても安全が確保されることについての科学的根拠があると判断できるものと考える。」

つまり、今後の安全基準の考え方は、平成 22 年 8月 9日、原子力安全委員会決定の「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査基本的考え方」をベースに考えるというものである。

なお、参考にすべき過去の文書として、次のものを挙げている。

①「放射線防護に関する助言基本的考え方ついて」 (平成 23 年 5月 19 日、原子力安全委員会 )

②「放射性廃棄物処分の安全規制における共通的な重要事項ついて 」(平成 16 年 6月 10 日、原子力安全委員会了承 )

③「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査基本的考え方」(平成 22 年 8月 9日、原子力安全委員会決定 )

④「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価関す考え方」(平成 22 年 4月 1日、原子力安全委員会了承 )

⑤「余裕深度処分の管理期間終了以後における安全評価関す技術資料」(平成 22 年 8月 5日、原子力安全委員会 放射性廃棄物廃止措置専門部)

2011年6月16日

「1kgあたり8000ベクレルまでは制限なしに埋め立て可能」の語句が、3.11以降、最初に現れたのは2012年6月16日原子力災害対策本部の「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」である。

ここにおいては以下のように書かれている。

「下記の表に従って、をとることを前提に、通常時に脱水汚泥等を埋立処分している管理型処分場の埋立敷地内等に仮置きすることができる。なお、固化、希釈等により、脱水汚泥等の134Cs及び137Csの合計濃度が低下した場合には、低下後の濃度で評価する」

そして、その下に「表」として次のように書かれている。

「134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」

つまり、セシウム134とセシウム137との合計のベクレル値が8,000Bq/kg以下の場合には、通常時に脱水汚泥等を埋立処分している管理型処分場の埋立敷地内等に仮置きしても、敷地境界からの距離をとる必要が無い、と書いてあるのだ。

そして、付記として、次のような記述がある。

放射性セシウムの濃度が高い脱水汚泥(目安として500,000Bq/kg1を超えるもの)の数値「500,000Bq/kg1を超えるもの」の根拠は「原子力安全委員会の考え方を踏まえた既存の廃棄物に関する被ばく評価である「放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入に向けた技術的検討について」(文部科学省 放射線安全規制検討会クリアランス技術検討ワーキンググループ、平成22年1月以下「RIクリアランス報告書」という。)を基に評価」

「134Cs及び137Csの合計」と「敷地境界からの距離の目安」との関係の根拠は「「低レベル放射性固体廃棄物の埋設処分に係る放射能濃度上限値について」(平成19年5月21日原子力安全委員会)に基づき、操業中のスカイシャインの影響を評価した。」

とある。

2011年6月19日

2012年6月19日に第三回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、ここにおいては以下のような資料が提出された。

①「災害廃棄物の放射能濃度の推定方法について」(原子力安全基盤機構 廃棄物燃料輸送安全部)

②「福島県の浜通り及び中通り地方(避難区域及び計画的避難区域を除く)の災害廃棄物の処理・処分における放射性物質による影響の評価について」(日本原子力研究開発機構安全研究センター)

③「放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の方針」(災害廃棄物安全評価検討会)

④「福島県内の焼却施設の設備状況について

⑤「焼却施設周辺及び煙道排ガス調査結果

⑥「一般廃棄物焼却施設の排ガス処理装置におけるCs,Srの除去挙動(京都大学高岡昌輝)

⑦「福島県内の放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理にかかる調査について

⑧「放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方」(2011年6月16日原子力災害対策本部)  6月16日の資料と同じもの

⑨「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響をうけた廃棄物の処理処分に関する安全確保の当面の考え方について」(平成23年6月3日原子力安全委員会)

その他二点

この2011年6月19日に第三回災害廃棄物安全評価検討会において「1kgあたり8000ベクレル」に言及していたのは、このうちの③「放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理の方針」(災害廃棄物安全評価検討会)であり、ここには以下のように書いてある。

「3.焼却に伴って発生する主灰及び飛灰の取り扱いについて

(1)主灰

放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ)が8000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋め立て処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8000Bq/kgは埋め立て作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部に書いて別途検討された上下水処理等副次産物の取り扱いとおなじである。」

「放射性セシウム濃度が8000Bq/kgを超える場合は、埋め立て処分するのではなく、埋め立てられた主灰中の放射性セシウムの挙動を適切に把握し、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当である。」

「(2)飛灰

集塵機から排出される飛灰派、主灰以上に放射性セシウムが濃縮されやすい。また、飛灰に含まれる放射セシウムは水に溶出しやすいという報告がある。このため、飛灰については、放射性セ氏受け濃度が8000Bq/kgを超える主灰と同様に、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当であり。100000Bq/kgを超える場合には、適切に放射線を遮へいできる施設で保管することが望ましい」

「4.不燃物等の直接埋め立てについて

不燃物等の災害廃棄物をそのまま又は破砕して安全に埋め立て処分することが可能である。この場合の埋め立て処分の方法や跡地の利用にかなしては8000Bq/kg以下の主灰の場合と同様である。」

「(注)飛灰及び8000Bq/kgを超える主灰の一時保管について

「表」として次のように書かれている。

「134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」 」

なお「脱水汚泥等の処理、輸送、保管及び処分について」について、「処理等を行う作業者が受ける線量についても可能な限り1mSv/年を超えないことが望ましいが、比較的高い放射能濃度の物を取り扱う工程では、電離放射線障害防止規則(昭和四十七年九月三十日労働省令第四十一号)を遵守する等により、適切に作業者の受ける放射線の量の管理を行う必要がある。」とある。

 

2011年6月23日

その後、環境省は2011年6月23日に「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」との文書を出した。

ここにおいては、「1kgあたり8000ベクレル」については以下のように書かれている。

「(1)主灰
放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ。)が8,000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋立処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8,000Bq/kgは、埋立作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。」

「放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超える場合は、埋立処分するのではなく、埋め立てられた主灰中の放射性セシウムの挙動を適切に把握し、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当である。」

「、飛灰については、放射性セシウム濃度が8,000 Bq/kgを超える主灰と同様に、国によって処分の安全性が確認されるまでの間、一時保管とすることが適当であり、100,000Bq/kgを超える場合には、適切に放射線を遮へいできる施設で保管することが望ましい。」

「。溶融スラグについても一時保管とすることを原則とするが、8,000 Bq/kg以下であることが確認された場合は埋立処分が可能である。」

「不燃物等の災害廃棄物をそのまま又は破砕して安全に埋立処分することが可能である。この場合の埋立処分の方法や跡地の利用に関しては、8,000 Bq/kg以下の主灰の場合と同様である。」

「(1)空間線量率が比較的低い場合
仮置場の災害廃棄物から1m地点での空間線量率が低い場合は、災害廃棄物の放射性セシウム濃度が比較的低く、ばらつきも小さい。例えば、空間線量率が0.2μSv/h程度の仮置場では、災害廃棄物の放射性セシウム濃度は概ね800Bq/kg以下であった。
災害廃棄物だけを焼却した場合、主灰の放射性セシウム濃度は災害廃棄物のそれと比較して最大でも10倍程度と考えられるので、主灰の平均的な放射性セシウム濃度は8,000Bq/kg以下となる可能性が高い。生活系の廃棄物などと混焼した場合は、さらに濃度が低くなる可能性がある。」

「(2)埋立処分における作業者への影響
8,000 Bq/kg(8 Bq/g)の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業者の被ばく線量は0.78mSv/yと計算され、原子力安全委員会による作業者の目安である1 mSv/yを下回っている。このように、8,000 Bq/kgは作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。」

「(参考3) 安全評価のための計算の例

(2)埋立処分における作業者への影響
8,000 Bq/kg(8 Bq/g)の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業者の被ばく線量は0.78mSv/yと計算され、原子力安全委員会による作業者の目安である1 mSv/yを下回っている。このように、8,000 Bq/kgは作業者の安全も確保される濃度レベルであり、原子力災害対策本部において別途検討された上下水処理等副次産物の取扱いと同じである。
なお、この値は、1日8時間、年間250日の労働時間のうち半分の時間を廃棄物のそばで作業すること、1日の作業の終了時の覆土である即日覆土を行わず、中間覆土のみ行うことを仮定して計算されている。」

 

「(参考5) 一時保管における居住地域等の敷地境界からの距離

下表の数字に従えば十分に安全なので、参考として示すこととする。

134Cs及び137Csの合計-8,000Bq/kg以下 敷地境界からの距離の目安–制限なし」

2011年6月25日

6月25日(土曜日)、東京都の江戸川清掃工場の焼却灰等から放射性セシウムを検出

セシウム134とセシウム137の合計は

主灰592ベクレル/kg(Cs134=280 Cs137=312)  飛灰9740ベクレル/kg(Cs134=4700 Cs137=5040)

飛灰からセシウム134とセシウム137の合計8,000Bq/kg以上の9740ベクレル/kg(が検出

「江戸川清掃工場における焼却灰等からの放射性物質の検出について」

 

2011年6月28日

江戸川清掃工場からの8000ベクレル/kgを超える飛灰(9740ベクレル/kg)が検出されたことをうけ。2012年6月28日に環境省が関係都県に対して「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについて」を出した。

この中では「8000ベクレル以下」については下記のように書かれている。

「東京都の一般廃棄物焼却施設の飛灰から8,000Bq/kg を超える放射性セシウム(セシウム134 及びセシウム137)が検出されたことから、東北地方及び関東地方等の一般廃棄物焼却施設における焼却灰(主灰及び飛灰)の測定を要請するとともに、当面の取扱いについてお知らせする。」

「(1)焼却灰の測定
すべての一般廃棄物焼却施設の飛灰に含まれる放射性セシウムの濃度を測定する。参考として、同時に主灰についても測定することが望ましい。なお、飛灰が8,000Bq/kg を超えるおそれがある場合には、主灰の測定を行う。また、測定結果が8,000Bq/kg を超えた場合、又は8,000Bq/kg に近い値となった場合は、一定の間隔(1 ヶ月程度)をおいて、測定を継続することが望ましい。」

「(2)当面の取扱い

ア 8,000Bq/kg を超える主灰又は飛灰については、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)に場所を定めて、一時保管する。一時保管の方法は、「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」(平成23 年6月23 日)に準拠する。
イ 8,000Bq/kg 以下の主灰又は飛灰については、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)に、埋立処分する。念のための措置として、可能な限り、飛灰と主灰の埋立場所を分け、それぞれの埋立場所が特定できるように措置する。
ウ また、8,000Bq/kg を超える主灰又は飛灰が確認された場合は、一時保管場所付近での空間線量率及び埋立地の排水のモニタリングを実施する。」

「(3)作業者の安全確保

一般廃棄物に放射性セシウムが含まれている場合、焼却に伴い、主灰又は飛灰に濃縮されるので、その濃度レベルによっては主灰又は飛灰を取り扱う作業者の安全について注意が必要となる場合がある。その目安として次のふたつがある。
ア.「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」において、作業者の安全も確保されるレベルとして示した8,000Bq/kg

8,000Bq/kg を超える場合には、埋立作業に当たってできるだけ頻繁に覆土を行うことが望ましい。また、10,000Bq/kg を超える場合には、電離則に従って作業者の安全を確保することとする。」

2011年7月14日

2011年7月14日に第四回災害廃棄物安全評価検討会が開かれた。

ここにおいて大迫委員から次のような意見が述べられた。

「焼却シナリオの説明の使い方なんですが、ダブルスタンダードに今なっているんじゃないかということを申し上げたくて、この被曝のシナリオ評価に関しては、例えば8,000Bq/m3を決めたときに、埋立作業の作業者の被曝を考えて数値を決めているわけですね。一方で焼却は、先ほどの線量限度の告示ということで、原子炉で使われている数字がメルクマールになって、先ほどの20Bq/m3、30Bq/m3という数値でもって判断をするというような、説明の方向にもなってきているわけです」

また、井口委員から次のような意見が述べられた。

「今回測定された部分の災害廃棄物の置き場については、もう8,000Bq/kgを超えていないというのが確認できたのですが、今後、例えば、よりセシウム濃度の高い地域、避難区域とか、そこら辺のところの評価をする場合に、やはりこれがある程度生きてくるのではないかと思うので、そうしたときに、もう尐し妥当な線を引いておいたほうがよろしいのではないかと思う次第です。あまりにも過剰に評価して、後でいろいろ計画を立てる場合に無駄なことをやってもしようがないという気がするので、今回のデータをもっとうまく生かして、よりもっともらしい評価値をもう一度検討されてはいかがかという、そういう提案です。」

企画課長から次のようなとりまとめがあった。

「個々に条件が異なる、埋め立て処分された場所、いろいろ条件が異なるわけでありまして、そういったところで長期的な管理が必要になるということでございますので、現時点では8,000Bq/kgを超えるものについては、埋め立て処分するということではなくて、国によって処分の安全性が確認されるまでの間は一時保管とするという、こういう考え方になっています。ここで8,000Bq/kgというのは、埋め立て作業者の安全も確保されるレベルと、こういう説明になっているわけです。」

「8,000Bq/kg以下のものに関しても、今は、土壌層を下に敷いて、即日覆土というような形の対応であり、水を入れる・入れないというところは、若干、そこら辺の考え方がまだ十分整理されていない。そういったこともぜひ、ちゃんと認識した上で検討するべきかと思います。」

参考「当日の議事録

 

2011年8月10日

2011年8月10日に第五回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、「災害廃棄物の広域処理の推進について」(資料7.ガイドライン)が了承された。

2011年8月11日

2011年8月11日、環境省から都道府県に対して「東日本大震災により生じた災害廃棄物の
広域処理の推進に係るガイドラインについて
」がだされ「災害廃棄物の広域処理の推進について
(東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン
)」が送付された。

この中で「8000ベクレル以下」については次の記述がある。

「放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ)が8,000Bq/kg以下である主灰は、一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)における埋立処分を可能とする。ここで放射性セシウム濃度の目安8,000Bq/kgは、埋立作業者の安全も確保される濃度レベルである。」

 

2011年8月27日

2012年8月27日に第6回災害廃棄物安全評価検討会が開かれ、「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について」が提出され了解され、8月29日に同様の文書「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について」が環境省から各都道府県廃棄物行政主管部(局)長宛、出された。

この中で「8000ベクレル/kg」については次のように書かれている。

「平成23年6月28日付け「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取扱い」(以下「焼却灰の取扱方針」という。)において、東北地方及び関東地方等の16都県に対し、一般廃棄物処理施設における焼却灰の測定及び当面の取扱いについてお知らせしたところです。
これに関連して、16都県における焼却灰中の放射性セシウム濃度の測定結果を整理した上で、一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について、処理における安全性の考え方や処理施設におけるモニタリングの方法等について、別添のとおり取りまとめました。
この内容については、8月27日に開催した災害廃棄物安全評価検討会において御検討いただき、廃棄物処理システムの積極的な活用により、身近な生活環境中にある放射性物質を速やかにできる限り除去することが人の健康へのリスクを軽減する上で有効との考え方や、これを踏まえて、8,000Bq/kg以下の焼却灰等の速やかな処理を促進することが具体的な対応として必要との方針が了解されました。」

2011年8月31日

2011年8月31日に環境省から「8000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の焼却灰等の処分方法に関する方針」との文書が都道府県・政令市宛出された。

このなかで「8000ベクレル/kg」については、次の記述がある。

「放射性セシウム濃度が8,000 Bq/kg 以下の廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業員の被ばく線量は、原子力安全委員会による作業員の目安である年間1mSv を下回っている。このように、8,000 Bq/kg は作業員の安全も確保される濃度レベルである(環境省「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」参考)」

2011年9月25日

2011年9月25日に第7回災害廃棄物安全評価委員会が開催され「一般廃棄物焼却施設から排出される放射性セシウムを含む焼却灰の処理について(今後の進め方について)」との資料が提出され、了承され、2011年9月28日に、環境省から同様の文書「一般廃棄物焼却施設から排出される放射性セシウムを含む焼却灰の処理について(今後の進め方)」が都道府県宛に出された。た。

この中で「8000ベクレル/kg」については、次の記述がある。

「一般廃棄物焼却施設の焼却灰の測定を要請した16都県に対して、8,000Bq/kg以下の焼却灰等の処理の実態等について追加的な調査を実施したところ、以下に示すように、多くの場合、管理型処分場にて処理されていることが確認された。しかし、一時保管を余儀なくされている場合もあることから、引き続き、関係者の理解促進を図りつつ、8月29日付け処理方針を踏まえた適切な処理を促進することが必要である。

① 回答の得られた16都県410施設中、16都県390施設においては、8,000Bq/kg 以下の焼却灰等を管理型処分場にて処分している(主灰、飛灰ともに8,000Bq/kgを超えている7施設は除く)。」

「対策の緊急性を考慮すれば、これまでに得られている知見をもとに、処分先の見通しが得られた施設の焼却灰等を対象に、溶出抑制措置を含めた最適な手法について、個別の施設に即して具体的に検討していくことが適当。
そのためには、都道府県を含めた関係者の協力の下、国の積極的な関与により、まずはモデル事業として、先導的な取組を具体化する必要がある。
その際、現場における現実的な対応を考慮して、次のような考え方で検討を進めることが適当。
① 飛灰については、溶出を抑制するためのセメント固化等の措置により8,000Bq/kg以下となる場合には、その後の工程における作業者の安全の観点からも、溶出抑制の措置を焼却施設の場内にて行うことが有効。」

また、この9月25日の第7回災害廃棄物安全評価委員会では環境省から「指定廃棄物の指定基準について」との資料(資料5-3)が提出され「どのようにさだめるのか?」との問題提起がなされた。

 2011年10月10日

2011年10月10日の第8回災害廃棄物安全評価委員会(2011年10月10日)において、環境省から.環境省から、資料3、4-1、4-2、4-3に基づき、放射性物質汚染対処特別措置法の省令等により定めることになる、指定廃棄物の指定基準、廃棄物の放射性物質による汚染状態の調査義務の対象とする施設及びその調査方法について説明があった。

ここで環境省から指定廃棄物の指定基準案として8,000Bq/kgを提示し、委員から了承された。

同時に委員から指定廃棄物の指定基準及び特定廃棄物の処理基準等について、環境省において、委員の意見を踏まえ、パブリックコメントの準備を進めることが了承された。

2011年10月25日

2011年10月25日に原子力安全委員会が開かれ「1キログラムあたり8,000 ベクレル以下」について

「(坂川) 災害廃棄物は普通8000Bq/kg 以下だが、焼却後はそれを超える場合がある。焼却灰については、一般廃棄物は10 万Bq/kg 以下だが、産業廃棄物は10 万Bq/kg を超えるものが発生している。」

「(丸山)埋立処分について8000Bq/kg 以下の廃棄物でも、跡地利用制限を設けることが必要ではないか。」

との意見が委員から出された。

2011年11月8日

2011年11月8日(火)から2011年11月17日(木)にかけて、「放射性物質汚染対処特措法関係省令案に対する意見の募集(パブリックコメント)」がされた。

なお、この意見募集について、「放射性物質汚染対処特措法 省令事項素案について」との資料が添付され、このなかに「3.指定廃棄物の指定基準(第17 条第1項)」として以下のように書かれている。

「法第17 条第1項では「環境大臣は、前条第一項の規定による調査の結果、同項各号に定める廃
棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、当該廃棄物を特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物として指定するものとする。」こととされている。よって、環境省令では「セシウム134 及びセシウム137 の放射能濃度の合計値が、1キログラムあたり8,000 ベクレル以下であること」を定めることとする。」

2011年11月11日

2011年11月11日、原子力安全委員会が開かれ、「1キログラムあたり8,000 ベクレル以下」について

「(木村)8000Bq/kg 以下なら間違いなく10μSv/年を下回る。」

「(倉崎)8000Bq/kg 以下でも管理期間終了後に制限を設けなければ、10μSv/年を超えるケースがある。指定地域外の廃棄物も同様のことがありうることになる。特定一般廃棄物等の要件は、県を指定しているが指定範囲は妥当か。」

「(代谷)低線量被ばくを気にしている人が増えている。管理期間終了後も含めて評価して説明することが必要になると思う。8000Bq/kg 以下でも、測った記録を残すことは重要。」

との委員からの意見があった。

2011年11月15日

2011年11月15日、第九回災害廃棄物安全検討委員会が開かれ、環境省から資料8により「放射性物質汚染対処特措法 省令事項素案について」の説明があった。

このなかで特別措置法施行規則第7条1項について「環境省令では「セシウム134 及びセシウム137 の放射能濃度の合計値が、1キログラムあたり8,000 ベクレル以下であること」との記載があった。

2011年11月22日

2011年11月22日に環境省は放射線審議会に対し「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法の規定に基づく放射線障害の防止に関する技術的基準の策定について」として「指定廃棄物の基準  セシウム百三十四及びセシウム百三十七の放射能濃度の合計値が、一キログラムあたり八千ベクレル以下であること」についての意見を求め了承された。

2011年11月22日に環境省は「放射性物質汚染対処特別措置法の規定に基づく
放射線障害の防止に関する技術的基準について
」を発表している。

ここで、環境省は「8000Bq/kg以下」としたことについて、次のように書いている。

「2.指定廃棄物の指定基準
【指定廃棄物の指定基準の考え方②】
○シナリオ評価により、8,000Bq/kgの廃棄物を通常の処理方法で処理する場合、周辺住民よりも被ばくしやすい作業者でも、その被ばく線量は、原子力安全委員会の示しためやすである1mSv/年を下回ることを確認した(例えば、8,000Bq/kgの廃棄物をそのまま埋立処分する場合の作業員の被ばく量は、0.78mSv/年※。)。
○このように、8,000Bq/kg以下の廃棄物については、特別な処理方法をとることなく、周辺住民・作業者のいずれにとっても安全に処理することができる。したがって、指定基準は8,000Bq/kgとする。」

2011年12月1日

2011年12月1日、環境省は11月30日付諮問文書を原子力安全委員会に提出した。

 

2011年12月2日

2011年12月2日に第十回災害廃棄物安全検討委員会が開かれ、環境省から「放射性物質汚染対処特措法省令事項素案 パブリックコメント結果を踏まえた修正について」の報告があった。

ここにおいて「8000Bq/kg以下の廃棄物は遮水工のない安定型処分場における埋め立てを想定した安全評価においても処理の安全性が確保されることを確認している」との記述がある。

2011年12月2日に(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター より「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄処理分(技術資料 )」が発表された。

2011年12月9日

2011年12月9日、環境省は先に12月1日に原子力委員会に提出の11月30日付諮問文書を取り下げ、新たな諮問文書を原子力委員会に提出した。

2011年12月12日

2011年12月12日、原子力安全委員会は第85回原子力安全委員会を開き、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法第二十条等の環境省令の制定について」との答申を環境省に対して出した。

2011年12月14日

2011年12月14日に環境省令第3号として「放射性物質汚染対策特別措置法施行規則」が出され、その中の第23-26条で8000ベクレル超の管理基準を盛り込んだ結果、同時に8000ベクレル以下についもあぶり出し解釈で、これを認知させた。

放射性物質特措法施行規則第14条で「指定廃棄物は「8000Bq/kg以下」と規定し、その廃棄物とは、同施行規則第5条の調査にかかわるものであって、この調査は特措法第 16条一項に定める調査であり、この特措法第16条一項に定める調査とは特措法第24条に定める特定一般廃棄物処理施設を対象にした調査である」と規定した。

以上が、震災ガレキの広域処理の基準としている「1kgあたり8000ベクレル以下埋立処分可」の数字が生まれてきた経過である。

では、結論として、放射性物質汚染特別措置法と放射性物質汚染特別外法施行規則の中で、「8000Bq/kg以下埋立処分可」がどう位置づけられているかというと、下記のようになっていると結論付けられるであろう。

①環境省令33号(2011年12月14日)放射性物質特措法施行規則14条で「特別措置法17条一項の環境省令で定める基準(特別な管理が必要な福島原 発由来の廃棄物の指定基準」として「①特別措置法施行規則第5条に規定する調査によったもの、で、②8000Bq/kg以下であること」と規定してい.る。
②その「特別措置法施行規則第5条に規定する調査」では「特別措置法第16条一項で環境省令によって定める方法で調査したものによるもの」の中身を書いている。
したがって、「8000Bq/kg以下埋立処分可」の法的な位置づけは「特別措置法施行規則第5条に規定する調査」をパラメーターにして、放射性物質特措法施行規則14条と特別措置法施行規則第5条と特別措置法17条一項と特別措置法第16条一項とがつながってるという、きわめて微妙な状態にあるといえる。

なお、関連資料については、環境省のサイト「東日本大震災への対応について」からリンクされている資料をご参照されたい。

以上

追記

2012年4月17日

2012年4月17日に環境大臣から下記のような大臣告示が発せられた。

「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理に関する基準等(平成24年環境省告示第76号)」

告示 の概要

1災害廃棄物の受入れ基準
・可燃物:焼却後の焼却灰等の放射能濃度が8,000Bq/kg以下。焼却前の災害廃棄物の放射能濃度の目安として、240Bq/kg以下、流動床炉を用いる場合は480Bq/kg以下(十分な安全率をもった基準)。
・再生利用:製品としての流通前段階で、放射能濃度が100Bq/kg以下。
・不燃物:放射能濃度が8,000Bq/kg以下。実際の放射能濃度は、不検出から数百Bq/kg以下。

2処理の方法
・可燃物の焼却処理:高度の機能を有する排ガス処理装置(バグフィルタ等)が設置されている施設で焼却。焼却灰等は最終処分場に埋立。
→水面埋立の場合:陸域化した部分…陸上の最終処分場と同じ。
水面部分…水面埋立地の残余水面部の内水の放射能濃度が、最終処分場周辺の公共水域の放射能濃度限度以下(下記の式を満たすこと。)であることを要する。

3広域処理における安全性の確認方法
① 搬出側での確認方法
・ 一次仮置場(災害廃棄物の発生地周辺の仮置場)において、災害廃棄物の種類(木質、紙類、繊維等)ごとに放射能濃度を測定し、「1」の基準を満たしていることを確認。
・ 二次仮置場(広域処理が行われる災害廃棄物が搬出される場所)から災害廃棄物を搬出する際に、空間線量率を測定し、バックグラウンドと比較して有意に高くないことを確認。
② 受入側での確認方法

・可燃物の焼却処理、埋立:焼却灰等の放射能濃度を月1回程度測定。最終処分場の敷地境界にて空間線量率を週1回程度測定。水面埋立の場合、残余水面部の内水の放射能濃度を月1回程度測定。
・ 再生利用:再生利用前の均質化された状態で放射能濃度を月1回程度測定(製品についても同様)。

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