デジタル音楽配信の環境整備に国家的取り組みを
1999年6月11日、笹山登生議員は、衆議院文教委員会における「著作権法改正」にかかる質疑のなかで、「MP3と著作権の問題」について、次の通りの質問を、有馬文部大臣などに対し、行った。
冒頭、笹山議員は、近時、文部省職員がおこした不祥事に触れ、「文部省は全国の子供達のつぶらな瞳に見つめられているという自覚をもって仕事をするように」との苦言を呈したのに対し、有馬文相から、「今後、厳正に対処する」との確約を得た。
また、笹山議員は、札幌市内の少年がMP3を使って有名アーティストの音楽をHP上にアップ・ロードした事件に触れ、警察庁に、その検挙にいたる過程について明らかにするように要求し、さらにこの事件のみをスケープ・ゴートにすることなく、違法サイトに対する恒久的な対応をするように求めた。
笹山議員は、この際、「罪を憎んで、人を憎まず」のたとえの通り、「著作権侵害は憎んでも、MP3というデジタルフォーマットは憎まず」との姿勢が必要との見解に立って、MP3との共存共栄をはかるための諸環境の整備を、文部省、通産省に求めた。
とくに、笹山議員は近時、アメリカのRIAA(全米レコード業界組合)のMP3に対する対応が、「MP3憎し」の立場から「MP3との共存共栄」の立場に変化しつつあることを取り上げ、SDMI(Secure
Digital Music Initiative = 安全なデジタル音楽計画)にキャッチアップしうる、JASRAC(日本音楽著作権協会)を含む日本側の対応を求めた。
そのため、笹山議員は
- JASRACとNMRC(ネットワーク音楽著作権連絡協議会)
とのネットワーク上音楽利用の使用料等について、暫定合意から本格合意への早急な移行を促すこと
- 今年6月JASRAC発表の「DAWN2001(Designs
for the Adminisitration of Works using New
Technology)」の履行と、SDMIに準じたRipping段階でのセキュリティ確保を検討すること
を、文部省とJASRAC連携のもとに行うことを求めた。
最後に、笹山議員は、デジタル音楽配信や、ノン・パッケージ流通は世界の潮流となりつつあること、これらに乗り遅れることは、日本の音楽アーティストの世界への音楽配信力が、衰えることにつながるので、著作権侵害を防ぎながら、新しいデジタル音楽配信が、スムーズに出来るための諸環境の整備が急務であり、それが、新しいビジネスチャンスを生むことになるため、文部省、通産省一体となり「ソフト・ハード・業界関係者・ユーザーが一堂に会したデジタル音楽配信推進のための総合的な懇談会」を設置することなどを関係省庁に求めた。
これらの笹山議員の質問に対し、有馬文部大臣は、著作権を守りつつ、デジタル音楽配信の伸長をはかることが、日本文化の発展につながるとし、今後、関係団体、業界一体となった積極的な取り組みをはかるとの決意を述べた。
(1999.6.14)
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