「改めて、諫早湾干潟問題について問う」
1999年4月10日、東京・虎屋第2ビルで、シンポジウム「よみがえれ!諫早干潟」が開かれ、笹山登生衆議院議員も、パネラーとして、出席した。
このシンポジウムは、諫早湾の閉め切りから2年を迎えたのに合わせ、また、コスタリカでのラムサール条約締結国会議を機に、改めて、日本の湿地問題を考えることを兼ね、開催された。
主催は、環境NGOの世界自然保護基金日本委員会などによるものである。
この席で、笹山登生衆議院議員は、次のような見解を述べた。
1、諫早湾問題の功罪としては次のことがあること
「功」としては
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諫早効果ともいうべきものが、形成され、干潟、湿地の
重要性が世間的に認識され、後の藤前干潟、三番瀬干潟
問題に好影響を与えた。
- 提言型の新しいNGOの姿が生れたこと。
- 干潟・湿地に対する省庁の姿勢が変化したこと。
「罪」としては
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省庁とNGOとのテーブルができなかったこと。
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「むつごろうか、人間か」というような矮小化された問題、
長崎県一地方の個別の問題にとどまったこと。
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政党や政治家が、この問題についての持続的な対応ができ
なかったこと。
2、問題点と今後の対応については、
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個別問題にとどまらず、干潟・湿地に対する恒久的な対策
を考えるべき時である。
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諫早が干拓中止NOで、藤前・三番瀬は干拓中止OKとい
う行政の対応では、諌早の干潟としての他地に劣らない規
模、生態的価値からいって、一貫していないのではなかろ
うか。
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「ダイオキシンだ、環境ホルモンだ」などと、環境トピック
ス的にのみ反応する政治家・政党のあり方に疑問を感じる。
もっと、持続的運動の展開や、恒久的解決のための政策課
題設定を考えなければならない。
3、今後の解決すべき課題について
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県の対応に注目。事業縮小に妥協点を見出す。
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多様なオルタナライブの提示を我々も、していかなければならな
い。
また、ミチゲーションの手法を取り入れた場合のガイドラインの
設定や、代償措置についての考え方の整理もする必要がある。
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国境を越えた、Natura2000のような生態系ネットワークの確立と生物多様性国家戦略の再構築とアクションプランの策定が、早急に必要である。
以上の笹山登生衆議院議員の総括と主張について、参加したNGO側からも、賛成の意向が表明された。
以上
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