産業遺産の保全と活用の充実を要請


2000年4月19日、笹山登生衆議院議員は、文教委員会において、中曽根文部大臣並びに文化庁に対し、産業遺産の保全と活用について、その充実を求めた。

まづ、笹山議員は、21世紀を迎えるにあたり、ともすれば未来志向型の施策に偏りがちであることを指摘、ここで、20世紀の日本経済の基礎をつくった産業遺産に目を向け、それをジャンピング・ボードにし、新たな世紀の産業インフラ構築に向かうべきだあると強調した。

その具体策として、笹山議員は、産業遺産の文化財登録への一層の推進と、石見銀山などの世界遺産登録に向けた文化庁の努力を促した。

さらに笹山議員は、文化庁のホームページが、登録文化財のデジタル・ミュージアム化していない状況を指摘し、その改善を求めた。

これに対し、文化庁は、産業遺産の文化財登録や世界遺産登録について、文化庁としても、その増加なり推薦への努力をはかるほか、ホーム・ページの早急の改善をはかると約束した。

さらに笹山議員は、産業遺産について、(1)保存の多様化、(2)全国的調査の実施、(3)デジタル情報のシステム化、(4)動態保存 の4点について指摘し、その早急な改善を文化庁に求めた。

次に笹山議員は、産業遺産の保全と活用について述べ、単に産業遺産を守るだけでなく、地域振興の一手法として、あるいは社会教育・生涯教育・児童の総合的教育の場として、もっと積極的に、文化庁が中心となって、関連する他の省庁との連携のもとに、活用の方途を模索するべきであると主張した。
文化庁は、これを認め、今後、他の省庁と連携し、積極的対応をすることを約束した。

最後に、笹山議員は、中曽根大臣に対し、次のような質問を行った。

笹山議員は、中曽根大臣の故郷の群馬県が、かつて、蚕繭で栄えた産業遺産の宝庫であることに触れ、特に、東京電力佐久発電所は、セメント王と呼ばれた浅野総一郎氏が、東洋一の発電所建設を目指したもので、途中の若返り工事の後、いまも稼動していることに注目、まさにこれこそ、動態保存の典型的な例であるとした。

そして、笹山議員は、21世紀を迎えるにあたり、今後10年以上をかけ、日本の20世紀の産業技術のすべてを網羅した、産業技術博物館設立への道を、中曽根大臣がつけるべき時であるとした。

また、ドイツの例にならい、産炭地域などをにおいて、産業遺産を活用した地域振興策を早急に、実施すべきであることを強調した。

これに対し、中曽根大臣は、各省庁との連携のもとに、これらの構想を含む産業遺産活用のための施策の充実に、一層つとめることを、笹山議員に確約した。

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その後の経緯について( 平成12年12月8日記〉


日本で初めて、産業遺産の世界遺産登録実現へ。

2000年(平成12)11月17日 国の文化財保護審議会が石見銀山の世界遺産暫定リスト入りを決定しました
詳細は、次のURLを参照してください(http://www.st.rim.or.jp/~adachima/sinpou2000.11.18.2.html )

これは、かねて、私が、衆議院文教委員会で、「世界では産業遺産の世界遺産があるのに、日本では、ひとつもないのがおかしい。」と、文化庁に訴えてきたもので、それが実現の方向に大きく向かったということです。(上記文教委員会質疑報告参照)
これで、来年の1月、政府は、パリのユネスコ世界遺産センターに、暫定リストを提出し、その後、政府が来年10月1日までにユネスコ世界遺産委員会に石見銀山を推薦し、それを受け、国際記念物遺跡会議(イコモス)が評価の上、順調に行けば,再来年12月、世界遺産委員会で、正式に登録を決定する運びになります。
これからが大変ですが、産業遺産という地味な存在に、いくらかでも光があたることに、私自身貢献できて、うれしい気持ちでいっぱいです



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