笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年5月20日 法令等に規定された利率の硬直性を排すべし。


昨日の日経に、法令等に規定された利率の硬直性の問題点についての特集が組まれていたが、私も、日ごろ同様の考えをもっていた。

この記事によれば、この法定利率の硬直性を悪用(善用かな?)すれば、収めるべき税金より多く税金を納めれば、市中運用よりはるかに高い還付加算金(公定歩合+4%を加算。ただし、上限年7.3%)をいただけるのだという。

これは、納税者にとってうまい話であるが、逆の場合は、深刻である。

ここで、たとえば、延滞税の根拠となっている遅延利息(日歩4銭)と公定歩合との乖離率を見てみると、次のとおりとなる。

遅延利息14.6%をそのときの公定歩合でわってみると、
両指標の乖離率は、

1973/12/22  1.66 1975/10/24  2.24 1977/09/05  3.43 1978/03/16  4.17 1979/11/02  2.33 1980/03/19  1.66 1981/12/11  2.65 1983/10/22  2.92 1986/11/01  4.86 1987/02/23  5.84 1989/12/25  4.25 1990/08/30  2.43 1991/12/30  3.24 1992/07/27  4.49 1993/09/21  8.34 1995/09/08 29.2  2001/02/13 41.7 2001/09/19 146.0

との、恐るべき推移となる。

金融界の約定利息、遅延利息は、国税の世界では、それぞれ、利子税、延滞税にあたる。

ここ数年の公定歩合の低金利化によって、長年固定されてきた、これら法定利率の利率の相対的な高さと硬直性が炙り出されてきたのだろう。

国税の世界では、最近になって、延滞税と利子税については、公定歩合連動方式がとられているが、金融の世界では、遅延利息は、そのままである。

EUにおいては、EU指令で、遅延利息の公定歩合連動化が指示され、この指令を国内法化する動きが、近年見られる。

ドイツにおいては、民法第288条第2項の改正を行い、2002年1月より、遅延利息を「割引歩合+8%」とすることとした。

遅延利息日歩4銭が、どのような根拠で決まったかについては、わからないが、日本においても、金融界における遅延利息の流動化と、それに連動した、各種法定利率の流動化が、この際、望まれる。

もっとも、この場合にも、非負制約(ゼロの水準に近くなるほど、インセンティブに限界が生じること)が働くので、公定歩合がゼロに近くなるにつれ、これらの法定利率に占める懲戒的な効果が逓減してしまうという問題がでてくるので、公定歩合の水準によって、付加部分利率については、段階的適用も考えなければならないだろう。

なお、これと関連して、財投融資の既往貸付金利についても、借り換え融資を認めることも含めた、弾力的適用が図られなければならないだろう。

この不況の時代には、これらの法定利率の硬直化があることによって、庶民にとって、あらゆる公的機関が、「あこぎな取立人」と化す、危険性を秘めたものであることを、政策当局者は、よく、肝に銘じるべきである。

なお、硬直化した、これらの代表的な法定利率として、次のものがあげられる。

利子税--7.3%、2001年1月より、公定歩合+4%、ただし、上限7.3%、根拠法は国税通則法など、  

還付加算金--7.3%、2001年1月より、公定歩合+4%、ただし、上限年7.3%、根拠法は同上、 

延滞税--14.6%、2000年より、納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間 については、公定歩合+4%、ただし、上限7.3%、根拠法は同上、 

相続税の延納--3.6%から6.6%、根拠法は相 続法、  社内預金の下限利率--0.5%、根拠法は労働基準法省令、

金銭貸し借りでの有効上限金利--15%から20%、根拠法は出資法、

法外な金利を規制する上限金利--29.2%、根拠法は出資法、

借地権設定の際の通常の利率--3.5%、根拠法は法人税基本通達


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