笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年3月10日 2世候補立候補制限法は憲法違反

自らも、4世議員である鳩山由紀夫さんが、「二世候補立候補制限法」成立にご熱心だというが、憲法44条の「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、 性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」をどうやってクリアーするおつもりなのだろう。

ちなみに、明治憲法においては、議員の資格については規定があった(34条、35条)が、選挙人の資格については規定が なかった。
(参考)
第34条 貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅任セラルタル議員ヲ以テ組織ス
第35条 衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス

現行憲法では、15条3項で普通選挙を定め、14条1項で婦人参政権を可能とする、性による差別の禁止を含む、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」の平等を定めており、44条では、14条で列挙されていない「教育、財産または収入」による差別をも明示的に禁止 している。

また、ここでいう「門地」とは、英語の「Descent」にあたるものとおもわれ、のちの人種差別撤廃条約で、「門地」か「世系」かで、論議のあった点である。

したがって、「二世」が「門地」にあたるとして、議論をすすめれば、その問題にとどまらず、かねてから議論のある「嫡出子・非嫡出子の相続上の平等問題」や、人権問題の根本にまで、敷衍して、議論を進めていかなければならないという、収拾の付かない議論となるおそれもある。

なお、15条3項では、直接には選挙人資格の平等を定めているのに対し、44条では、被選挙人資格の平等も定めている。

 

以上にみたように、二世候補立候補制限法の憲法上の疑義をクリアーするためには、人権問題の根本にまで、むしかえし、踏み込まなければならないことになる。

こんな不可能なことを提案するのに、まさか、憲法改正なんてこと、いうのではないだろうが、憲法上の「門地」の概念を取り巻くいろいろな問題に気を配った慎重な対応が望まれる。 

 

参考 マッカーサー草案日本国憲法(外務省訳)http://www.246.ne.jp/~s-sampei/macken.html
と、日本国憲法との対比

マッカーサー草案日本国憲法
第十三条
一切ノ自然人ハ法律上平等ナリ政治的、経済的又ハ社会的関係ニ於テ人種、信条、性別、社会的身分、階級又ハ国籍起源ノ如何ニ依リ如何ナル差別的待遇モ許容又ハ黙認セラルルコト無カルヘシ

日本国憲法
第14条
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。


マッカーサー草案日本国憲法
第十四条
人民ハ其ノ政府及皇位ノ終局的決定者ナリ彼等ハ其ノ公務員ヲ選定及罷免スル不可譲ノ権利ヲ有ス
一切ノ公務員ハ全社会ノ奴僕ニシテ如何ナル団体ノ奴僕ニモアラス
有ラユル選挙ニ於テ投票ノ秘密ハ不可侵ニ保タルヘシ選挙人ハ其ノ選択ニ関シ公的ニモ私的ニモ責ヲ問ハルルコト無カルヘシ

日本国憲法
第15条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。



マッカーサー草案日本国憲法
第四十二条
選挙人及国会議員候補者ノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ而シテ右資格ヲ定ムルニ当リテハ性別、人種、信条、皮膚色又ハ社会上ノ身分ニ因リ何等ノ差別ヲ為スヲ得ス

日本国憲法
第44条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。



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