笹山登生の発言・寸感アラカルト


2001年2月16日 生き物によるバリアフリー・インフラの実現

懸案の「身体障害者補助犬法案」が、成立の見通しとなっているが、  先日、わたくしも、アイマスクをして、盲導犬に導かれる体験をする機会を得た。

 

犬は、「タヒチ」といって、先日のNHKの「プロジェクトX」「ゆけ チャンピイ 奇跡の犬」の主人公(財)アイメイト協会の犬だ。

 

わずか10メートル足らずの、椅子で阻まれ、曲がりくねったコースを、「タヒチ」に導かれて、通った時間の長く思えたことよ。

 

足がどうしても、爪先立ちになり、つんのめりそうになる。

時々、わたくしの足の膝に触る「タヒチ」の毛の感触が、これほど頼もしく思えたことはない。

 

日本の盲導犬の数は、約850頭、イギリス約4、000頭、アメリカ約10、000頭、フランス約6、000頭、ドイツ約1、100頭とのことである。

 

現在、日本には、約34万人の法定盲人がおられて、そのうち約12万人が全盲、そのうち盲導犬の使用を希望しているとみられる方は、法定資格障害者の1−2パーセントということで、そのうち盲導犬を使用されている方は、約0.13パーセントにすぎないという。

 

アイメイト協会の専務さんの話によれば、盲導犬は、数だけでは、考えられない側面もあるというが、それにしても、数がすくない。

今回の法律の対象は、盲導犬、聴導犬、介助犬ということだが、これらの犬のアクセス権をみとめ、バリアフリー社会のソフト的な役割を果たすことをねがいたいものだ。

 

それにしても、盲導犬の育成には、一頭当たり約250万円かかるそうで、  その費用の90パーセントは寄付や募金にささえられており、残り10パーセントが助成金でまかなわれているという。これを、現在日本で盲導犬を必要とされている、7、800人の分だけ盲導犬の数を揃えるとなれば、単純計算で、195億円の育成費用がかかるということだ。しかし、ものは考えようで、ハードのバリアフリー建設費用(平成13年度のバリアフリー関係予算は、2,957億円、平成14年度は、これに958億円積み増しの予定)の一部を、盲導犬の育成費用にまわせば、たいした金額ではない。 

 

この辺の財政的な問題克服が、これからの政治の課題だろう。また、これに加え、金の問題だけでなく、ボランティアの協力も必要だ。たとえば、盲導犬となる可能性のある生後50日前後の小犬を育ててくれる「パピーウォーカー」という名のボランティアや、10才前後となり、リタイアした盲導犬を扱ってくれる「リタイア犬ボランティア」も、必要である。

 

ハードのバリアフリー・インフラ整備に対し、これら生き物によるソフトのバリアフリー・インフラ整備への、適正な金銭的・人的資源の再配分を、日本版ADA法の制定とともに、考えるべきときだ。


HOMEへ目次へ

HOME -オピニオン -政策提言 -発言-profile & open -著書 -政策行動-図書館-掲示板-コラム-リンク-政策まんが