笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年8月3日 政府系金融機関改革のポイント

昨日から、URLhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020803-00002155-mai-bus_all のように、経済財政諮問会議で、政府系金融機関についての論議が始まった。

ポイントは、いくつかあるだろうが、私なりに上げれば、以下のとおりである。


1.天下り問題−

これは深刻ですね。というか、諸悪の根源です。

私がサラリーマン時代をすごした農林中央金庫というところは、かつては政府系であったのが、とっくの昔に純粋民間金融機関になったにもかかわらず、ここ何十年と、農林水産省の事務次官経験者が天下りしている。

勤めている身になって御覧なさい。

学校を出た人が、意気に燃えて勤め初めても、いくらがんばっても、その機関のトップになれないことが初めから分かっているんじゃ、がっくりくるよね。

断固廃すべし。

このように民間金融機関と称されながらも、実際上は、天下りの宝庫となっているところもあることをお忘れなく。


2.民間との協調融資ができない-

もちろん、民間金融機関がリスキーな貸し出しに意慾的でないことは問題で、それを補完する社会的役割を政府系が果たしていることは、事実。

しかし、よく知られていないことだが、民間金融機関との協調融資ができにくいネックが、政府系金融機関の担保設定にある。

すなわち、民間金融機関との協調融資をしても、政府系金融機関の担保順位は、第一位を条件としている。

協調融資なんだから、同順位が当たり前だろうが。

こんな、目に見えないところがネックになっている。


3.固定金利-

政府系金融機関の原資が財投である限り、財投運用利回りにスライドした固定金利が、いったん融資されれば、未来永劫付きまとう。

これを変動金利化する知恵がなければ、この、変化極まりない時代に即応した金融機関とはいえない。

繰上げ償還にしても、民間融資に比し制約が多い。

一部償還で、毎月の償還額を少なくすることも、償還期間を短縮することも、できにくいメニューとなっている。

このあたりを改善しなければ、ユーザーのニーズに即応し得ない。


4.利子補給という、迂回した隠れ補助−

融資それぞれについての利子補給でなく、どうせ政策金融に補助をするのだから、政策金融機関本体にインセンティブを与え、個々の融資については、表面金利と実質金利とを一致させたほうが、わかりやすいのではないのか。

このような迂回した措置なもんだから、政治家の介入が入ってしまう。


5.融資分野についての、民間金融機関との競合−

たとえば、食品産業分野などにおいては、民間金融機関のテリトリーと著しく競合する融資分野がある。

官僚の現役が、公庫に転出した先輩に対し、政策金融のメニューを増やし、テリトリーの拡大を配慮している節も、時々見られる。

民間金融機関がリスキーな融資分野に踏み出すことも大事であるが、民間融資に適した分野までをも、政府系金融が奪うこともあるまいに。


まあ、こんなところですが、なんとしても、1番目の天下りを廃することが、その他もろもろの改革につながっていくものと思われますね。

私自身、若いとき、そんなところに勤めていたんですから、これは確かなことです。



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