笹山登生の発言・寸感アラカルト


2002年4月30日 融資企業が存続することにインセンティブ が働かない、「瑕疵担保特約スキーム」の欠陥

このところ、新生銀行系列の企業の破産が目立つが、今回の宝幸水産のケースは、意図的 に傷口を大きくさせられ、瑕疵担保特約条項の適用をうけやすい状態にまで、追い詰められた企 業の悲劇がつたわってくる。

そもそも、民法の瑕疵担保責任とは、物の売買を想定したもので、 金融債権を想定した ものではない。

学説的には、法定責任説と契約責任説とがあり、その対象とすべきものについてなど、違いがある。http://www.law.kyoto-u.ac.jp/matsuoka/lecture/08Sales3.htm参照

物の売買であれば、瑕疵担保責任の対象にしようとして、買った当事者が、物を破損すれば、す ぐにわかってしまうが、金融債権の場合は、企業内外の経済環境によって相対価値は、どうにで も変わりうる。

そもそも、このスキームには、無理があるのだ。

いわば、貸家にしようと買った、家の買い主が、なにげに、シロアリを縁の下に放すは、地下の水道管を故意に濾水させるはで、「これじゃ、貸家の借り手がいない、さあ、どうしてくれるんだ。預 金保険機構さん、こうなったら、当初の約束なんだから、買い戻してくださいよ。」といっているよう なものではないのか。

「瑕疵担保特約」が、「銀行にとって、融資企業が、いくらかでも長らえてくれなければ、こまる。」と いう必要性を奪い、銀行が無傷で、債権譲渡できるんだから、特約期間内に、早く死んでもらった ほうがいい。」というインセンティブのみ働いているというわけだ。

これじゃ、多額の保険金を 病人にかけて、死を待っているようなものじゃないか。
アングロサクソン的金融行政のとどのつまり、泣くのは、無力な民間企業のみだ。


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